個人事業主の業務マニュアル




<このページの趣旨>
  • 個人で不動産投資をしている人(これからしようとしている人も含む)向けに経理のプロとして10年、不動産投資を始めて5年の筆者が自身の経験も含めて作成する業務マニュアルです。
  • 不動産投資をしていて分からないこと、不効率になっていること、知らないで損していることをなくすために不動産投資で必要になる業務の全体像を体系的に分かり易く伝えていきたいです。
  • 特に、税理士に記帳・申告業務を不動産会社に管理業務を任せきりになっている人には是非読んでもらいたいです。
  • これから不動産投資(不動産賃貸業)を個人事業主として始める方のイメージづくりにも役立ちます。
  • 経理のプロとして知っていることを出し惜しみせずに書いた結果、分量的には1冊の本ぐらいありますので、良かったら「お気に入り登録」を利用して頂き、少しずつ読み進めたり、辞書がわりに使用して頂けると幸いです。

投資用不動産を購入するまで

投資用不動産を購入するまでの手続きは以下の通りになります。

  1. 投資用不動産の選定

    インターネットの情報は古い場合もあり、また囮広告の場合もありますので、実際に不動産会社を数店訪問してみて、信頼できる業者を見つけてください。
    不動産業者は表面利回り(年間の家賃収入の総額を物件価額で割った利率)で話すことが多いので、実質利回り(年間の家賃収入から支払利息や固定資産税などの諸費用を差し引いたものを、物件価額で割った利率)での計算はあなた自身で行う方がよいです。
    投資用不動産の品質(修繕の必要性や時期等)は、実際に不動産会社の担当者と見学に行き、その際に不動産会社の意見を参考にしつつ、投資に対するリターン(何年で投資額を回収できるか)に関しては、あなた自身で判断すると良いでしょう
    不動産会社側の立場としては、成功報酬なので、売買契約が成立しなければ、1円も入ってきません。また、当然、現地までの案内など不動産会社側では、人件費などの諸経費が発生していますし、すぐに成約して欲しいところです。
    しかし、買主側としては、人気物件を購入する場合を除いて、そこまで慌てる必要はないでしょう。ただし、投資用不動産の購入を躊躇していると、すぐに他の人の買い付けが入ってしまう場合も多々ありますので、意思決定はなるべく早くした方がよいでしょう。

  2. 銀行との借入れの交渉

    投資用不動産が決まったら、銀行との借入れの交渉になります。
    不動産会社に一任しても良いのですが、ご自身でも2年分の所得が分かる資料(個人事業主の場合は確定申告書やサラリーマンの場合は住民税の納税証明書等)と購入予定の物件情報を持って銀行回りをしてみてもよいでしょう。
    利率がより低い銀行が見つかることもありますし、融資の可否が変わる可能性もあります
    もし、建築制限がついている物件を購入する場合は、貸し出しをしてくれる銀行は限られます。その場合は、ご自身で銀行を開拓しないと買えない可能性もあります
    ちなみに、利率は少し高くなりますが、例えば、三井住友トラスト・ローン&ファイナンスなどは建築制限があっても貸し出してくれる可能性が高いです。

  3. 開業費の集計

    個人事業主(大家)が開業をしよう決めてから開業するまでの間にかかった費用の総額を開業費といいます。
    この開業費をきちんと集計しておけば、開業後の任意な時期に経費に計上できますので、節税効果が非常に高いです
    開業費についての詳しい説明と集計方法は下記の「開業費関係の記事」をご覧ください。

  4. 不動産用銀行口座の開設

    大家(個人事業主)として不動産賃貸業を行う場合、必ずしも専用の銀行口座を開設する必要はありません
    しかし、専用の銀行口座を作成しておけば、専用口座にあるお金は必ず不動産投資用のものであり、売上の計上漏れや経費の計上漏れを防ぐことが可能になります。
    また、個人通帳との分離もできるので、経費の私的使用の疑いもなくなるため、税務調査の時に指摘される事項も減り、結果的に余計な税金を増やさない効果が期待できます

開業費関係の記事

開業までの手続き・提出書類

投資用不動産の売買契約を済まして、投資用不動産を購入できた段階で行わなければならない手続きは以下の通りになります。

  1. 税務署に対する書類の提出

    大家(個人事業主)として不動産賃貸業を行う場合に税務署に提出しなければならない書類は、
    ①必ず提出しなければならない書類(個人事業の開業・廃業等届出書所得税の青色申告承認申請書
    ②給料を支払う場合に提出しなければならない書類(給与支払事務所等の開設届出書青色事業専従者給与に関する届出書
    ③給料を支払う場合でも給料支払対象者が少ない場合に提出すると業務処理が楽になる書類(源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
    となります。
    なお、「個人事業主が開業に必要となる税務上の届出の種類と内容について」で書類の詳しい内容と書き方を説明しています。
    特に所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出すると大幅な節税になりますので以下の「青色申告関連記事」を確認してください。
    また、不動産賃貸業の開業日についても税務上の重要な論点になりますので、「不動産賃貸業の個人事業主の開業日はいつか?自宅の貸し出しについては所得税の納税義務があるか?」もあわせて確認してください。

  2. 引き継いだ賃貸借契約書の読み込み

    売買契約の終了後に売主から引き継いだ賃貸借契約書は必ず読み込みましょう。
    特に、契約者名、契約期間、連帯保証人特約のところは非常に重要な情報になります。
    契約者が高齢の場合は孤独死保険の設定を検討したり、連帯保証人がいない場合は家賃保証会社の加入を検討する必要があります。

  3. 賃借人に対する挨拶・振込口座変更の案内

    まずは、売買契約に基づく賃貸人の変更と家賃の振込先口座変更の案内を書面で郵送しましょう。
    書面中に前所有者に家賃を支払っても無効な旨は必ず記載するようにしましょう
    書面を見ていなかったり、書面を疑う人もいますので、できるだけスムーズに引き継ぎを行うためには、書面送付後に賃借人に対して挨拶を行った方がよりベターです。
    不動産賃貸業を行っていて一番トラブルが多い局面の1つなので、慎重な対応が求められます。

青色申告関連記事

これだけは覚えておくべき経理知識

不動産投資行う上で避けて通れないのが日々の業務の記帳と年度末の確定申告書の作成です。最低限の知識をあなた自身が持ち合わせていなければ、節税対策どころか適切な確定申告書も作成できないことになります。

記帳や確定申告の作成は「経理・税務の業務内容」で説明しますが、ここでは不動産賃貸業を行う個人事業主(大家)として最低限知っておいてほしい知識について説明していきます。

必要になる簿記・税金の知識と勉強方法

不動産賃貸業を営む個人事業主に必要となる知識は記帳を行うための簿記の知識確定申告を行うための所得税の知識です。事務所の賃貸で売上高が1,000万円超ある場合は消費税の知識もあわせて必要になります。

簿記、所得税、消費税のすべての実務上知識をおさえることは不可能ですので、不動産賃貸業を行う個人事業主に必要な知識に絞って覚えていくことになります。

簿記の知識については、私が経営している別サイト「最速簿記」で無料で学習できます。特に不動産賃貸業を営む個人事業主で必要になる章を以下の「大家のための簿記の基礎」にまとめましたので、ご覧ください。

その後に「経理・税務の業務内容」でご自身の業務に関係がある箇所を読んで頂けると一通りの知識が身につくはずです。

簿記の基礎知識をおさえるだけで2時間程度、所得税・消費税の関連記事も多数あるので、集中力が続く範囲で分けて勉強するとよいでしょう。

ポイントとしては、自身の業務に関連している動画と記事を網羅的に確認しつつ、記帳作業効率化・節税のために必要になる知識だけを集中して確認することでしょう。

基礎さえできてしまえば、あとはこのサイトでいつでも内容の検索・確認ができますので、根詰めずに気楽に勉強してください

【大家のための簿記の基礎】

個人事業主が不動産投資で必要になるシステム

個人事業主が不動産投資で必要になるシステムは3つだけです。レインズという業務管理システム、やよいの青色申告等の会計システム、国税庁のホームページにある確定申告書の作成システムです。

業務管理システムは不動産会社間で物件の融通をしているシステムで賃借人を募集する場合に必要になるシステムですが、不動産会社しか利用できず、個人事業主が使用することは不可能なので、賃借人を募集する場合は不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。国税庁のホームページにある確定申告書の作成システムは無料で誰でも利用できます

民間でも確定申告書の作成システムは販売されていますが、あなた自身で確定申告書を作成する場合は、無料で最新のシステムが使えて、なおかつ国税庁のお墨付きのシステムである国税庁の確定申告書の作成システムを利用するのが良いでしょう。

反対に会計システムに関しては、お金を出して購入すべきです。各社それぞれ知恵を出して年々会計システム自体は良くなってきているのですが、良いシステムは皆真似するので、使用感・値段についてはどのシステムを使用しても大差はありません

ただし、個人的にはやよいの青色申告を使用することをお勧めします。理由としては、もしあなたが会計業務を会計事務所に委託しようと思ったときに、やよいの青色申告であればどこの事務所も対応しているからです。つまり、選べる会計事務所が多くなりますから、必然的に価格競争が起き、値段交渉もしやすくなるからです。

以下にお勧め会計ソフトを2つ紹介します。もしよかったら、こちらから購入して頂けると管理人としては有難いです。

  1. やよいの青色申告18

    価格 4.0
    操作 5.0
    機能 4.5
    ■シェアNo1ですべての会計・税務事務所が対応可能
    ■これ1つで青色申告の確定申告までできる
    ■個人事業主で簿記・会計に自信のない方におすすめ

    【管理人のコメント】
    ・すべての会計事務所で対応可能なので、事業が大きくなり、記帳を会計事務所に依頼するときに移行が簡単です
    ・ユーザーが多いので、記帳のパートを雇う場合でも、操作できる人が他の会計システムより非常に多いです
    ・やよいの青色申告を勧めて青色申告をできなかった人は会計事務所的には残念ですが今のところいません。

  2. MFクラウド確定申告

    価格 4.5
    操作 4.0
    機能 4.0
    ■クラウド会計で一番人気
    ■簿記の知識がなくても簡単に使える
    ■個人事業主で簿記・会計に自信のない方におすすめ

    【管理人のコメント】
    ・機能的にはやよいの青色申告とさほど変わりませんのでどちらかお好みで選ぶことになりますが、値段だけで考えるとやよいの青色申告より多少安いです
    ・簿記・会計知識に自信がない人にはやよいの青色申告より少しだけわかりやすい作りです。

不動産賃貸業を行う個人事業主の経理関係の年間スケジュール

不動産賃貸業を営む個人事業主に適用される事業年度は1月1日~12月31日です。

経理関係のスケジュールとしては、以下の2つがあります。

経理関係スケジュール
①大家として必ず支払わなければならない税金の年間スケジュール(所得税住民税固定資産税
②大家としてある一定規模以上になると支払う義務がある税金の年間スケジュール(事業税消費税償却資産税

経理関係スケジュールの詳しいまとめについては、「不動産賃貸業を行う個人事業主の確定申告までの流れ」、「大家(個人事業主)が納める税金の種類と納税時期について」で記載していますので、ご覧ください。

なお、個別の税金の詳細については、所得税・住民税・事業税については、「個人事業主の節税対策」、固定資産税については以下の「固定資産税の詳細」、消費税については「消費税の詳細」、償却資産税については「固定資産税(償却資産税)を意識しよう」をご覧ください。

固定資産税の詳細

補助簿の意味と必要性

経理業務を行う上で、現金出納帳・売上帳・売掛金元帳などの補助簿を確定申告で必要になる損益計算書・貸借対照表、税務調査が入ったときに必要になる総勘定元帳と同じように作成しなければいけないと思っている人は意外と多いです。

しかし、補助簿はあくまでも、あなたの管理用に必要なもので必ずしも作成する必要があるものではありません。例えば、売上の計上漏れがよく発生してしまうのなら、売上帳を作成すればよいいだけです。

補助簿よりも不動産投資(不動産賃貸業)を行う個人事業主の場合、最低限必要になるのは、賃貸収入の月別・人別の管理表です。

確定申告の際に「不動産所得の収入の内訳」を作成しなければならず、月額賃料・年間賃料・敷金の金額・礼金の金額を人別に必ず把握しなければなりません

よって、「不動産所得の収入の内訳」の形式に合わせた賃貸収入の月別・人別管理表を作成し、そこからやよいの青色申告などのソフトに飛ばす仕訳を作成すれば、売上計上漏れも防げ、なおかつ期末の確定申告を作成する際の手間が大幅に短縮できるのでお勧めです。

内部統制とは?

内部統制とは、間違いを発見するためのチェック機能のことです。上場している会社ならば、会社の持ち主である株主のためにミスは許されないため、必ず内部統制を構築し、その監査まで受けなければなりません。

不動産投資(不動産賃貸業)を行う個人事業主の場合は、株式会社ほどの内部統制を構築する必要はありませんが、最低限の内部統制を構築しておけば、少しの努力でミスが減り、税務調査のときに指摘事項を減らすことができます。結果的に、税務調査時に過少申告加算税や重加算税といったペナルティーがなくなり、お金があなたのもとに残ることになります。

では最低限の内部統制とはどのようなものでしょうか?以下に記載しておきますので、取り入れてみてください。

現金・預金については総勘定元帳の残高と実際の残高を合わせる

総勘定元帳はやよいの青色申告等の会計ソフトに日々の仕訳を記帳すれば自動的に作成されますので、総勘定元帳の現金と預金勘定については、必ず実際の手持ち現金や通帳の残高と合わせてください。ズレが生じた場合、仕訳の桁が間違っていたり同じ仕訳が2重で入力されていたり仕訳の漏れがある可能性があります。

チェックの頻度ですが、記帳の頻度にもよりますが、3か月に1回ぐらい月末に実施すると効率的です。ただし、間違いが多いと感じる場合には、1か月ごとに月末でチェックしましょう(原因不明を回避するため)。

確定申告書を作成する前にもう一度仕訳を点検する

期末に確定申告書を作成する前にもう一度、やよいの青色申告などの会計ソフトの仕訳を確認しましょう。確定申告書の作成を始めてしまうと、もし仕訳が間違っていたときに修正が大変になります

1年間の仕訳の一覧はやよいの青色申告ならExcelで見ることができます。Excelのソート機能(並べ替え機能)をうまく使い、以下の3つの点をもう一度確認してください。

再点検事項
①間違っていた場合に影響の大きいもの(例えば100万円超の取引)の確認
②土地・建物の購入・売却時の仕訳の確認
③資本的支出と修繕費の仕訳を摘要欄で確認

節税対策と記帳の効率化について

まずは節税対策ですが、期末日を過ぎてしまうとできる手段がほぼなくります。不動産賃貸業の場合、売上の予測が建てやすいため、期末の業績については期中でほぼ把握できてしまうでしょう。そこで、期末日の3か月前の月末、つまり、9月末までにそれまでの記帳を行いましょう。

できることなら、9月末の「現金・預金について総勘定元帳の残高と実際の残高を合わせる作業」と同時に「確定申告書を作成する前にもう一度仕訳を点検する作業」の9か月分を先取りして行ってしまいましょう

節税対策の第一歩は今年どれくらい利益がでるかを期末の3か月前ぐらいに正確に予想することです。節税手段があってもなにをどこまでやらないといけないかが正確に見えないと、やり過ぎ、又はやらなすぎになってしまいます。

記帳の効率化は不動産賃貸業の業務量を減らし、更なら内部統制を構築する上で非常に重要です。最近では、領収書をPDFやJPEG化して、そのままやよいの青色申告等の会計ソフトに取り込むと仕訳まで作成してくれる機能があります。

また、会計事務所の多くの人が採用している方法ですが、Excelが得意な人は会計ソフトで仕訳を起票するより、Excelに必要情報を打ち込んで、会計ソフトに取り込む方法もあります。記帳の方法は1つではないので、なにがあなたにとって一番やりやすい方法かを一度きちんと試してみると、かなりの業務量の短縮になると考えられます。

節税の種類と個人事業主の場合の考え方

不動産賃貸業を行う個人事業主の節税という言葉には2つの意味が含まれています。1つ目は納税額自体が減る効果をもたらすもの(税額の控除)、2つ目は納税額自体は減りませんが、利益を翌期以降に繰り延べるもの(税額の繰延べ)です。

また、節税をする方法にも2種類の方法があります。1つ目はお金を払う節税、2つ目はお金を払わない節税です。

つまり、不動産賃貸業を行う個人事業主は以下の4つのパターンを意識しながら、節税対策を考えていくことになります。

節税パターン
税額の控除・お金を支払う
⇒例:小規模企業共済(払い戻し時に退職所得になるので、実質払込んだ額の半分は税額の控除になる)
税額の控除・お金を支払わない
⇒例:青色申告特別控除(65万円まで税額の控除になる)
税額の繰延べ・お金を支払う
⇒例:短期前払費用(地震保険料などの前払費用は本来は期間分割されるが、一定の条件を満たせば支払った日に全額経費にできるため税額の繰延べ、お金を支払うになる)
税額の繰延べ・お金を支払わない
⇒例:固定資産の減価償却費(厳密には購入時にお金を支払っているが、翌期以降は税額の繰延べ、お金を支払わないになる)

税額の控除は所得税の制度自体を活用するもので、建付けが非常に重要になり、一回手続きを行うと長期間拘束されるものであり、メンテナンスを行いながら引き継いでいくことになります。税額の繰延べは年度末に利益の最終値が見えた時点で、使える方法を検討していくことになります。個人事業主の場合、まずは節税する趣旨を考えた上で、節税方法を考えていくことになるでしょう。

なお個別の節税方法の記事は「個人事業主の節税対策」で記載していますので、関心のある項目をご覧ください。

個人事業主の節税対策

税理士に依頼する業務内容の確認

税理士の資格を得るのは大変で、その税理士資格を持つ人に業務を依頼する場合、それなりの金額が発生します。事務所の規模にもよりますが、税理士本人が仕事をするとなると、最低でも1時間あたりの単価が10,000円以上ないとまず商売にならないでしょう。

やよいの青色申告などの会計ソフトと国税庁の確定申告作成システムは日々進化しており、余程時間のない人以外は、記帳から確定申告書まで自分で作成できてしまいます。まずはあなた自身で記帳から確定申告までの一連の経理・税務実務をできないか検討してみてください

そのうえで、自分でできないところや普段行わない取引で尚且つ金額が多額になる箇所(例:不動産の売買、保険金の入手、収用取引等)があれば、税理士に相談するのがよいと思います。注意点としては、金額が大きく税務の細かい判断を伴うものだけは、必ず税理士に相談しておかないと後で、税務報酬以上の追徴課税を受ける可能性がありますので注意してください。

イメージとしては、作成作業をあなた自身で行い、チェック機能を税理士にお願いする形です。こうすることで、費用も安く抑えられ、規模が大きくなった時にすべてを外注すしても、あなた自身が業務内容を分かっているので、会計事務所との価格交渉や相談事項の正確性も増し、費用対効果を最大限に良くすることができます

逆に、もし現状安い値段(総額10万円~20万円程度)で会計事務所や税理士事務所に作業をお願いしている場合、必ずもう一度契約内容を確認してください

業務委託の内容が記帳作業・確定申告書の作成作業であっても、記帳作業を無資格者が作っていて、税理士本人の税務判断がない場合や会計事務所内で担当者と査閲者でのダブルチェックの体制がない場合は税務リスクは高くなっていると考えてください。会計事務所に記帳業務・申告業務を外注するとしても、必ず担当者の実務能力と会計事務所内でのダブルチェック体制の有無を事前に確認して見極める必要があります

経理・税務の業務内容

経理・税務業務はきちんと行わないと後で税務調査に入られた時大変なことになりますので、不動産賃貸業を個人事業主として行う場合、経理・税務業務を行うのがメインの仕事の1つになるでしょう。

「では一体なにを行えばいいか?」をここから先では体系的に説明していきますので、順番に読んでいけば、一通りの経理・税務業務を理解できるでしょう。

期中業務

会計ソフトの購入について

お勧め会計ソフトは上記「個人事業主が不動産投資で必要になるシステム」で紹介した通りになります。

ただし、同じ会計ソフトでもインターネット上で操作を行うオンライン版とパソコンにソフトをインストールして操作を行うデスクトップアプリ版があります。

例えば、やよいの青色申告だと「やよいの青色申告 オンライン」と「やよいの青色申告○○(○○は18などの対象年度)」の2つがあります。オンライン版とデスクトップアプリ版のメリット・デメリットは以下の通りになります。

オンライン版の長所
  • バージョンアップ不要なので、いつでも最新バージョンを使用できる
  • インストール不要ですぐに使用できる
  • もしパソコンが壊れてもデータ自動バックアップで安心
  • オンライン版の短所
  • 仕訳確定時などのLOAD時間が長いのでデスクトップ版の倍近くの時間がかかる
  • 1年更新なので毎年お金がかかる
  • デスクトップアプリ版の長所
  • LOAD時間がないのでオンライン版の半分くらいの時間で作業が完了する
  • 会計ソフトは最新版を使用する必要はない(赤字の場合は買い替えなくてもよい)ので、トータルコストがオンライン版より安くなり、さらに利益調整弁になる
  • デスクトップアプリ版の短所
  • バックアップを自分で作成し、保存しておく必要がある
  • では、オンライン版とデスクトップアプリ版のどちらがお勧めかというと、現状ではデスクトップアプリ版でしょう。デスクトップアプリ版のバックアップをとる手間に比べて、オンライン版のLOADによる待ち時間の方が遥かに長く苦痛を感じる可能性が高いからです。

    ただし、会計ソフト業者側はオンライン版を推奨したいみたいなので、今後このLoad時間が短くなればオンライン版の方が良くなるかもしれません。オンライン版とデスクトップ版の移行は可能ですので、現状デスクトップアプリ版、もしオンライン版が良くなればオンライン版に乗り換えてるのもありでしょう。

    会計ソフトの初期設定について

    会計ソフトの初期設定に関しては、各会計ソフト会社が詳しいマニュアルを作成していますので、購入時にマニュアルを見ればよいでしょう。

    ただし、マニュアルはあくまで会計ソフトを使用するためのものです。最近は、「簿記知識0、実務経験0から始めれる」と謳っている会計ソフトも多いですが、あくまで会計システムでは、決算書や確定申告書の形を作れるだけであり、中身の正確性までは担保してくれません

    最低限の知識をきちんとつけないと税務調査のときに痛い目に会います。少しずつでもいいので、このページに書かれている内容ぐらいの知識を最終的には持って頂けると良いでしょう。

    個人事業主の不動産賃貸業の勘定科目と仕訳例

    会計ソフトの初期設定が終わると、いよいよ仕訳を入力することになります。ちなみに、不動産賃貸業を行う個人事業主(大家)が使用する勘定科目は多くありません

    不動産賃貸業で大家が仕訳で使う勘定科目一覧」で詳しく説明をしているので、ぜひご覧ください。

    仕訳例については、個人事業主として不動産賃貸業を経営するために必要になる、不動産売買の仕訳固定資産計上の仕訳売上の仕訳経費の仕訳に分けて記載します。関連記事もあわせてご覧頂くと、不動産賃貸業で使用する仕訳をすべて網羅することができます

    不動産売買の仕訳

    投資用不動産を購入する場合、投資用不動産の購入価格だけでなく、不動産会社に支払った仲介手数料等、投資用不動産を取得するために直接支払った金額も固定資産に計上されることだけは必ず覚えておいてください。

    投資用不動産を取得するために直接支払った金額を経費計上していると税務調査時に必ず否認され、金額が大きいだけにかなりのダメージになります

    また、節税対策を考えたいのならば、投資用不動産の購入価額を土地と建物でどう按分するかを慎重に考えてください。購入価額を建物に多く計上できれば、非常に節税になります

    詳細については、以下の【不動産売買に関する論点事項】の記事をご確認ください。

    【不動産売買に関する論点事項】

    固定資産計上の仕訳

    投資用不動産を購入したときには建物土地という勘定科目が固定資産に計上されます。また、賃貸用の部屋にエアコンを新しく購入した場合は固定資産の工具器具備品という勘定科目を使用します。

    建物・工具器具備品(土地を除く)などの固定資産は税務上、減価償却という方法により、毎年一定額を固定資産から経費に振り替えます。言い換えると、固定資産関係の支払いをした場合には、その期の経費に計上するのではなく、一旦、固定資産に計上され、年度按分をしながら徐々に経費に計上されることになります。

    固定資産の計上の仕訳で、論点になるのは次の2点です。

    固定資産の仕訳の論点
    ①建物の修繕を行った時の修繕にかかった費用が修繕費になるか資本的支出(固定資産)になるか
    ②固定資産を購入した時に固定資産の勘定科目をなににするか(建物・建物付属設備・構築物・工具器具備品)

    ①修繕費と資本的支出(固定資産)についての論点とは、ある修繕をした時に、修繕「」より良い材料を使った場合に修繕費という費用の勘定科目ではなく、固定資産に計上して、年度按分をしながら徐々に減価償却費という費用に計上して下さいというものです。

    例えば、トイレの壁紙を張り替えたときに、張替え前と同じ壁紙を使用すれば、修繕費となり、消臭機能付きの壁紙に張り替えたのなら工具器具備品という固定資産になります。

    ②固定資産を購入した時に固定資産の勘定科目をなににするかについての論点とは、固定資産を購入したときに、勘定科目をなににするかということです。勘定科目によって、減価償却費として経費に計上できる年額が変わってきます

    例えば、キッチンを入れ替えた場合、そのキッチンを取り外せれば、工具器具備品に計上できますし、取り外せないで建物と一体になってしまうのなら、建物に計上することになります。器具備品と建物のどちらで計上するかによって、1年間で計上できる減価償却費は3倍~7倍違ってきます

    固定資産計上の仕訳に関する詳細については、以下の【固定資産計上の仕訳に関する論点事項】の記事をご確認ください。

    【固定資産計上の仕訳に関する論点事項】

    <資本的支出と修繕費関係>

    <固定資産の勘定科目>

    売上の仕訳

    不動産賃貸業での売上の種類は賃借人からの毎月の家賃礼金や権利金更新料その他の手数料収入ぐらいで種類が非常に限定されています。

    例えば、やよいの青色申告の勘定科目を見ると、【不】賃借料、【不】礼金・権利金、【不】更新料と実際の取引と勘定科目がほぼ一緒のため非常にわかりやすいです。その他の手数料を含めた、その他の売上があれば、「雑収入」という勘定科目にしておけば十分です。

    なお、敷金だけは賃貸借契約の内容により、以下のように勘定科目が変わるので注意が必要です。

    敷金の仕訳
    敷金を賃借人の退去時に返還する予定なら、流動負債の「預り金」や「保証金・敷金」に計上
    敷金を賃借人の退去時に返還しないのなら、賃貸借契約で決めた時期に「売上」に計上
    ※ 敷金を返還するかどうかで仕訳が変わってきます。返還するのであれば、売上ではなくただ単に賃借人から預かっているだけだからです。

    売上の仕訳に関する詳細については、以下の【不動産賃貸業の売上に関する論点事項】の記事をご確認ください。

    【不動産賃貸業の売上に関する論点事項】

    経費の仕訳

    個人事業主として不動産賃貸業を営む場合、売上を計上するため(業務を遂行するため)に費やした金額を経費に計上することができます。経費に計上できるのは、その年に債務の確定した金額です。

    ただし、業務を遂行するための支出が家事のためと業務のための両方に関係する場合、経費に計上できるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分の金額に限られます。

    よく、会社に比べて個人事業主の方が交際費の上限800万円などが制限がないため、計上できる経費が多いと思われがちですが、個人事業主は上記のような制約があり、経費に計上しずらい取引が結構多いため、実務上は会社に比べて個人事業主の計上できる経費は少なくなる傾向にあります

    経費の仕訳に関する詳細については、以下の【個人事業主の経費に関する論点事項】の記事をご確認ください。

    【個人事業主の経費に関する論点事項】

    記帳はどのくらいの頻度で行うとよいか?

    1か月に1回必ず記帳(会計ソフトで仕訳を入力すること)を行ってください

    不動産賃貸業の場合、通常、月末に賃借人から家賃の入金があるはずなので、翌月10日ぐらいまでに入金確認・未納の場合は賃借人に督促をするとともに、月末締めで経費の領収書を集め、銀行口座の残高記帳も行いましょう。そのうえで、毎月中旬ぐらいに記帳を行うと業務サイクル的にちょうどよいでしょう。

    期末業務

    流れとしては、会計ソフトに入力したデータの総点検後に確定申告書の作成・提出・納税を3月15日まで行うことになります。

    データの総点検を行おう

    期中の手続きでやよいの青色申告などの会計ソフトを通じて記帳を行っていますので、まずは、その総点検をもう一度行うことになります。仕訳数が多い場合、ざっとすべての仕訳を見ていくと、結局なにを見ているかの認識が薄れてしまい、重要な修正箇所を見逃しがちになりますので、以下の手順で総点検を行いましょう。

    1. 決算数値の確認。前期・前々期比較を行う

      会計ソフトの中にある残高試算表から今期末(12月31日)の損益計算書の決算数値が異常値でないかを確認してください。可能ならば、残高試算表はエクセル化できるので、エクセルに落として、前々期、前期、当期と並べて異常値がないか比較するとさらに良いです。

    2. 仕訳をエクセル化して並び替え・検索機能を利用する

      その後に、各々の仕訳を確認していくことになります。会計ソフトに打ち込んだ仕訳はエクセル化できますので、エクセルの並び替え機能(ソート機能)や検索機能(CTRL+F)を使って、残高試算表を横断的に見て異常値のところ、金額の大きいところ、摘要欄がおかしいところを主にチェックしてください。

    確定申告書の作り方

    雛形は税務署から事前に送られてきますが、それを使用すると手書きになり、非常に面倒くさいので、国税庁のホームページにある確定申告書の作成システムで確定申告書を作成することをお勧めします。

    会計ソフトにも、確定申告書を作成できる機能がついていますが、国税庁の「確定申告書の作成システム」を利用した方が良いでしょう。最新の確定申告書のひな形に自動的になっており、さらに無料で利用でき、分からない時は直接税務署に聞けますので、民間の会計ソフト会社よりもサポートが手厚くなっています

    確定申告書が作成できたら、税務署に提出するのみです。ただし、申告書の提出で作業終了ではなく、申告した税額を納付して初めて作業終了なので注意してください。

    確定申告に関する大まかな流れと個別論点を「確定申告関係の記事」以下のページにまとめておきましたので、ご関心があるところを追加で確認しておいてください。

    確定申告関係の記事

    不動産管理の業務内容

    不動産投資を行う上では、建物の管理や入退去者の管理が必要になります。賃借人の募集など一部の業務はどうしても不動産会社の力を借りないといけないところになりますが、それ以外の不動産の管理業務はあなた自身でもできるところになります。

    不動産会社によってサービス内容はまちまちであり、また、単発で必要な管理業務だけを請け負ってくれる不動産会社もあるので、どこまで管理業務を外注するかをあなた自身が決めることになります。まずは必要になる不動産管理業務を見極めましょう。

    物件管理(業者の選定)について

    退去者が出たときのルームクリーニング、原状回復工事、水漏れや雨漏りの修繕、本格的なリフォームまで投資用の建物を所有するとたくさんの業者と関わることになります。

    もし、緊急の場合は、不動産会社を通してお願いすれば、すぐに業者は見つかりますが、当然ですが仲介料が含まれてしまいます

    よって、平常時に物件の近くの業者を2つ、3つピックアップしておくと良いでしょう。可能であれば、緊急でなくてもやっておかなければならない作業を頼んでみて、信頼できるかを確認しておけばなおさら良いでしょう。

    緊急時に、業者を知らないと慌てるばかりか、割高で工事されてしまう場合もあるので、平常時に必ず見極めを行っておきましょう

    賃借人の募集について

    賃借人の募集は主にレインズというシステムを通じて行いますが、基本的には不動産会社しか利用できないので募集は不動産会社に任せてしまいましょう。不動産会社に対しては、成約時に家賃の1か月分の成約報酬を払うのが一般的です。

    成約率を高めるために、不動産賃貸業を営む個人事業主(大家)の側でできることが2つありますので以下で説明していきます。

    ①AD(広告宣伝費)を設定する

    あなたが依頼をしている不動産会社(以下A社)はレインズを通して賃借人の募集を出す側です。

    それとは別に、部屋を探している賃借人予定者は別の不動産会社(以下B社)であなたの物件を探すことになります。賃借人予定者は実際の物件にB社を通して内見に連れて行ってもらい、気に入ればB社を通して申込みをA社にしてきます。そして晴れて契約になるというのが賃借人募集の流れです。

    通常、あなたはA社に対して、成約のお礼に1か月分程度の成功報酬を支払いますが、B社に対してもAD(広告宣伝費)として成約のお礼に成功報酬を支払うことができます

    AD(広告宣伝費)を設定することにより、あなた自身は余計なお金を支払うことにはなりますが、その分の効果は十分にありますので、費用対効果を考えてみましょう

    ②レインズに乗せる写真や宣伝文章を自分で作る

    賃借人の募集をレインズなどで行う場合は、間取りや部屋内部の写真を載せた図面を作ることになります。

    不動産会社では、図面を作成するためのパソコンソフトを持っている場合が多いので、不動産会社に一度作成してもらえば良いでしょう。ただし、図面に載せる写真や宣伝文章などは、必ずチェックすることをお勧めします

    その図面を作った人のセンスが色濃く反映されますので、物件に愛着があるあなた自身で写真を撮り、長所になる宣伝文章を考えた方が良い場合もあります

    ただ、担当者が非常に優秀な場合、不動産会社の人が作った図面の方が見やすい場合もあるので、その時々で判断することになるでしょう。

    上記、2つはあなた自身でできる業務になりますので、依頼している不動産会社に相談の上、実行できれば成約率は各段に上がるでしょう

    賃借人の退去について

    賃借人が退去する場合には、退去予告が賃借人からあります。最初の賃貸借契約書の条項で、賃借人は退去の何日前までに退去予告をしないといけないか決められているので、それに従うことになります。通常、最初に賃借人から大家に電話が来て、その電話で退去日と現地立会日の確認をした後、賃貸借契約締結時に付録として挟んでおいた解約通知書に賃借人のサインと判子を押して送付してもらうことになります。

    そして、現地立会日に賃借人に貸していた部屋を確認のうえ、原状回復費と敷金の清算の決定を行うことになります。もし、住まいの近くに投資用不動産があるなら、この作業はご自身でも簡単にできてしまいます

    不動産投資の規模が大きくなった時の次ステップ

    不動産賃貸業の経営が安定して、投資用不動産の買い増しを繰り返していくと、不動産管理業務自体が増え、また、税務調査や融資に備えて、経理・税務の集計をきっちり行わなければならなかったり、はたまた節税対策も考えなければならなくなります。

    会社化の検討をしよう

    不動産投資の規模が大きくなると、売上が増大し、個人事業主として不動産賃貸業を続けていくよりも、会社を設立して不動産業賃貸業を行っていく方が節税出来る場合があります。

    会社化に踏み切る目安については、「法人化した方がお得?個人事業主の法人成りの本当の目安金額!」をご覧ください。

    なお、不動産賃貸業での会社を利用した節税方法は、「会社を利用した節税方法」にまとめてありますので、ご興味がある項目をご覧ください。

    会社を利用した節税方法

    固定資産税(償却資産税)を意識しよう

    償却資産税とは、事業に使用する固定資産(土地・建物を除く)に課税される税金です。固定資産の取得価額で150万円までは免税のため、不動産賃貸業を行っている人でも関係がある人は少ない税金です。

    ただし、所有不動産に門や塀がある場合駐車場がある場合や、家賃が高くて高価なエアコンがたくさんある場合償却資産税を支払わなければならなくなるので注意してください。

    詳しくは、「パソコンを保有しているだけで固定資産税がとられる!減価償却資産(償却資産)の固定資産税について!」、節税目的の場合は追加で「一括償却資産を活用して利益調整と固定資産税を節税しよう!」をご覧ください。

    消費税の課税事業者にならないかを意識しよう

    「基準期間における課税売上高」1,000万円超の個人事業主には、消費税が課税されることになります。

    「基準期間における課税売上高」とは、個人事業主の場合は前々年の課税売上高のことをいいます。

    なお、課税売上高とは、消費税が課税される対象になる売上高のことで不動産賃貸業では、事業用の不動産の貸付けは課税売上高となりますが、居住用の不動産の貸付けは課税売上高にはなりません

    要は、不動産賃貸業の場合、2年前の事業用の不動産から計上される売上高が1,000万円を超える場合、消費税の課税対象になると覚えておくとよいでしょう。

    消費税の計算方法はいろいろなパターンがあり、どのパターンを採用するかで納税額が大きく違ってきます。消費税の制度の説明とあなたがどのパターンを選択するかの参考となる記事のまとめは、以下の「消費税の詳細」をご覧ください。

    消費税の詳細

    管理業務の増加に備えて人員の確保か定型業務の外注化を考えよう

    投資用不動産の数が増えてくると、単純に部屋数の増加につながり、不動産管理業務が増えてきます。また、税務調査の機会も増え、経理・税務業務もより精密に行うことが求められます

    もし、自主管理をしている場合で、賃借人から頻繁に電話がかかってくるようになったら、不動産管理会社に業務を任せてしまうか、自分で不動産管理会社を作り、管理業務を人に任せてしまうのもありでしょう

    売上が大きくなってきたら、経理・税務業務も会計事務所にお願いして、あなたは成果物のチェックのみを行う方にシフトした方が良いでしょう。目安としては、株式会社を設立するぐらい、又は事務所の賃貸を行っている場合は事務所賃貸だけの売上高だけで5,000万円を超えたとき(消費税の課税事業者になったとき)に完全委託を考えると良いでしょう。株式会社化したときや消費税の課税事業者になったときは、税務リスクが高まりますので、必ず専門家である税理士に経理・税務業務を依頼した方が無難でしょう。

    銀行融資を受けられるように確定申告書(損益計算書)を整えよう

    不動産投資を続けていく限り、売上高を増やすためにも、また経営を安定させるためにも、新規の投資用不動産の購入が必要になります。手持ちの現金で不動産を購入できる場合は全く問題ありませんが、通常は銀行融資を受けることになります

    銀行融資を受けるためには、銀行側の審査を受ける必要があり、その際に最も重要になるのは、確定申告書です。確定申告書の中には損益計算書というものがあり、これを見て、銀行の融資担当者は融資を決めることになります。損益計算書とは、あなたの営業成績を数字で評価したものであり、1年間の具体的な利益金額を把握するために利用されます。

    銀行の融資担当者は決算書の損益計算書を2年分程度見て、融資できるかを決定することになります。

    よって、銀行融資を受けようと思ったら、不動産賃貸業を行う個人事業主側としては、2年分の確定申告書(損益計算書)を整えることになります。

    具体的には、損益計算書を必ず黒字(利益が出ている状態)にすることが必要ですが、それ以外にもいろいろ要件がありますので、以下の「銀行融資詳細」でまとめます。ご興味があれば、是非そちらをご覧ください。

    銀行融資詳細