この記事の対象者
  • 投資用不動産を購入して個人事業主になった人
  • 青色申告承認申請書の絡みで個人事業主の開業日を知りたい人
  • 転勤などで自宅(マイホーム)の貸し出しを行おうという人

くま君くま君

おさる先生!
投資用不動産を購入して、不動産賃貸業を始めようと思うんだけど、税務上の注意点ってある?


おさる先生おさる先生

くま君はサラリーマンだから、今回、初めて個人事業主になるんだね。
それなら、個人事業主としての開業日がポイントになるよ。
開業日から2か月以内に所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出すると税金がすごく安くなるんだ。


くま君くま君

そうなんだ。
開業日は、僕が開業したと思った日でいいのかな?


おさる先生おさる先生

個人事業主の開業日は新しい事業や商売を始めた日になるよ。
開業したいと思った日だとちょっと主観的過ぎるので、客観的に見て「開業してます!」と言える資料が欲しいね。
例えば、くま君のように、投資用不動産を購入するなら、購入した投資用不動産の鍵を売主からもらった日とかだね。


くま君くま君

じゃあ、鍵をもらった日から開業日にするね。
開業日って誰かに知らせた方がいいの?


おさる先生おさる先生

うん。
税務署に個人事業の開廃業等届出書を事業開始の日から1か月以内に提出してね。


くま君くま君

はーい。
あれ?
僕、この書類、昔提出したことあるよ。


おさる先生おさる先生

あ、そういえば…
くま君、こないだまで大阪に転勤だったから、自宅のマンションを賃貸用として貸し出したままだね。


くま君くま君

うん。
おさる先生に自宅のマンションの賃貸でも、所得税の納税義務があるから、個人事業の開廃業等届出書と所得税の青色申告承認申請書を一応出しておけって…
もしかして、もう一度ださなくていい?


おさる先生おさる先生

全く変わっていないなら出さなくてもいいんだけど…
手続き上の問題になるから、税務署によって判断が異なりそうだね。
一応、最寄りの税務署に電話して指示を仰いでみてよ。


くま君くま君

うん、わかった。
おさる先生、ありがとう。




個人事業主の定義とは?また開業日はいつ?

個人事業主とは、自営業者のことで会社を設立しないで自ら事業を行っている個人のことをいいます。

では、個人事業主の開業日はいつになるでしょうか?

個人事業主の開業日は新しい事業や商売を始めた日です。

例えば、私は会計事務所と不動産賃貸業を個人事業主として営んでいます。

もともとは、サラリーマンだったので、サラリーマンを辞めた次の日を会計事務所を始めた日として開業日にしています。

それとは別に、不動産賃貸業も開業していているので、投資用不動産を購入して決済が終了し、売主から鍵の引き渡しを受けた日を開業日としています。

前者の会計事務所の開業日は実際に仕事を始めた日なので、非常に分かり易いです。

しかし、後者の不動産賃貸業の開業日は、以下の3パターンが開業日の候補になり、判断が非常に難しいです。

  1. 手付金の支払い日
  2. 不動産売買契約の成立日
  3. 決済が終わり、鍵の引渡しを受けた日

不動産賃貸業の場合は、①手付金支払い日では所有権はまだ買主に移転しておらず、②不動産売買契約の成立日でも決済状況によってはまだ鍵を入手しておらず、実質的な所有権がない可能性が高いです。

よって、不動産賃貸業の場合は、③決済が終わり、鍵の引渡しを受けた日が開業日となります

言い換えると、間違いなく投資用不動産の所有権が買主に移った日を開業日にします。

新しい事業や商売を始めるときは、実質的にどの日から開業するかを考えて開業日を選択しましょう。

開業日を厳密に選択する理由について

ここまでの説明で、「そもそもなぜそこまで開業日にこだわる必要があるか?」と思った方も多いはずです。

そこで、開業日をうやむやにしてはいけない理由をここからは説明していきます。

個人事業主の開業日が重要になる書類は、以下の2つです。

  1. 個人事業主の開廃業等届出書
  2. 所得税の青色申告承認申請書

どちらも税務署に提出する書類ですが、提出期限が定められています。

個人事業主の開廃業等届出書の提出期限は開業後1か月以内、所得税の青色申告承認申請書の提出期限は開業後2カ月以内です。

そして、特に重要になるのが、所得税の青色申告承認申請書の提出期限です。

所得税の青色申告承認を受けると、青色申告特別控除(65万円)など、多数の税務上のメリットがあります

逆に、所得税の青色申告承認申請書の提出が遅れると、その年度の青色申告は認められず、税務上のメリットを放棄することになります。

よって、所得税の青色申告承認申請書の提出期限を算定するもとになる開業日は非常に重要になりますので、必ず開業日を厳密に選択しておく必要があります。

自宅(マイホーム)の賃貸は個人事業主にあたらない?

個人事業主の話をしたので、その流れで自宅(マイホーム)の賃貸が個人事業にあたらないかの確認をしましょう。

サラリーマンで、転勤等があり、自宅(マイホーム)を賃貸する場合、「個人事業主にあたるの?」とよく相談されます。

結論としては、自宅(マイホーム)であっても、賃貸に出して、家賃収入を得ている以上、事業が開始されており、個人事業主にあたります

たとえ、投資用不動産を購入していなくても、自宅(マイホーム)を賃貸した時点で個人事業主になるので注意してください。

また、「自宅(マイホーム)の賃貸を行うことが個人事業主になると言われても、税務署から納税してくれと言われてないよ!」という人がいます。

自宅(マイホーム)の賃貸に伴う個人事業主の税金は、申告納税方式(納税者の側から支払う税金がありますと申告する方式)なので、納税者側が所得税の確定申告で税金を支払う対応しないといけません。つまり、税務署があなたの納税額を教えてくれるわけではありません

所得税の確定申告をして、税金を納めていないとある日突然、延滞税や加算税の支払いを請求される可能性がありますので、きちんと処理した方が得策でしょう。