
不動産賃貸業を行う場合、不動産の取得時・所有中(事業を営んでいる間)・売却時で税金が発生します。
今回は、賃貸用不動産の取得時・所有中(事業を営んでいる間)・売却時で発生する税金を横断的にまとめていきます。
賃貸用不動産取得する際にかかる税金
賃貸用不動産を取得する際に発生する税金は、以下の通りになります。
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税精算金
- 印紙税
登録免許税は、①賃貸用不動産(土地・建物)の取得をして所有権移転登記をする際や②金融機関から借り入れをして抵当権設定登記をする際に課税される国税です。
登録免許税の税率は、登記をする内容により異なります(例:購入の場合の所有権移転登記2%、抵当権設定登記0.4%)。
不動産を購入すると、登記をするために、登録免許税を払わなくてはなりません。そこで、土地、建物、抵当権にかかる登録免許税の税率・支払い方法等を分かり易く解説します。
不動産取得税は、賃貸用不動産(土地・建物)を取得した際に、1回だけ課税される都道府県から課税される地方税になります。
不動産取得税の税率は、原則4%になりますが、軽減措置の特例が多く存在し、税額を大幅に減らすことも可能です。
不動産取得税を納める必要がある人・不動産取得税の計算方法(軽減措置を含む)、不動産取得税の納税方法について解説していきます。
固定資産税精算金は、不動産の取得時に、買主が売主へ支払う固定資産税の精算金のことです。
固定資産税は1月1日時点の所有者に対して課税される税金のため、売買が行われても売主が納税義務者になります。
よって、1年のうちの買主の所有期間分だけ、売主がすでに支払っている固定資産税を精算する必要が出てきます。
固定資産税精算金は厳密に言えば、税金ではありませんが、賃貸用不動産を取得する際にはほぼ間違いなく、不動産売買契約書の中で明示される事項になります。
不動産売買時には、売主と買主の間で、固定資産税・都市計画税の清算手続きが必要になります。今回は、固定資産税・都市計画税の按分方法と按分時の注意点を確認していきましょう。
印紙税は、契約書など課税文書に対して課税される国税です。
①賃貸用不動産(土地・建物)の売買契約書や②金融機関との金銭消費貸借契約書は印紙税の課税文書に該当するので、印紙税の支払いが必要になります。
不動産売買や金融機関からの借り入れを行う場合、印紙税の話は避けて通れません。そこで今回は印紙税の説明をするとともにちょっとした節税方法も紹介します。
所有中(不動産賃貸業を営んでいる時)に発生する税金
不動産賃貸業を営んでいる時に発生する税金の種類は、法人と個人事業主で異なりますが、毎年発生するという点では共通しています。
個人事業主として不動産賃貸業を営んでいる時
個人事業主として不動産賃貸業を営んでいる場合、毎年以下の税金が発生します。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 固定資産税・都市計画税
不動産賃貸業を営んでいる場合、不動産所得(不動産賃貸から発生した利益)が発生します。
不動産所得が発生した場合には、所得税・住民税・個人事業税が課税されます。
なお、所得税の申告期限及び納期限は事業対象年度の「翌年」の2月16日から3月15日の間です。
また、所得税の確定申告書を提出すれば、同時に住民税・個人事業税の確定申告書の提出も完了します。
注意点として、申告が完了しても納税は納税者自身が行わないと完了しない点が挙げられます。
固定資産税は、賃貸用不動産を所有している人が必ず支払わなければならない税金です。
都市計画税は、「都市計画区域」に賃貸用不動産を所有している場合に支払う税金になります。
不動産賃貸業を営む個人事業主が支払う税金の種類・内容・納税時期についてまとめています。税金の種類や納税時期を知っていれば、資金繰りが楽になり、内容を知っていれば、節税に繋がる可能性があります。
個人事業主として不動産賃貸業を営んでいる時
法人として不動産賃貸業を営んでいる場合、毎年以下の税金が発生します。
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 固定資産税・都市計画税
法人の事業年度終了の日の翌日から2か月以内に法人税・法人住民税・法人事業税の確定申告書を提出する必要があります。
例えば、6月末決算の場合は8月31日までに確定申告書を提出しなければなりません。
なお、納税も当然に事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行わなければなりません。
法人が支払う法人税・法人住民税・法人事業税についてまとめた記事です。計算方法、申告期限、納税期限、納税方法を説明しています。
固定資産税は、賃貸用不動産を所有している人が必ず支払わなければならない税金です。
都市計画税は、「都市計画区域」に賃貸用不動産を所有している場合に支払う税金になります。
不動産売却の際に発生する税金
賃貸用不動産の売却の際に発生する税金は、法人と個人事業主で異なります。
個人事業主が賃貸用不動産を売却する場合
個人事業主が賃貸用不動産を売却する場合、以下の税金が発生します。
- 登録免許税
- 印紙税
- 所得税
- 住民税
賃貸用不動産を売却した場合、抵当権抹消登記を行う必要があるため、登録免許税が発生します。
抵当権抹消登記に掛かる費用は、1筆につき1,000円(土地・建物の場合、合計で2,000円)で、賃貸用不動産取得時と比べると微々たる費用負担となります。
賃貸用不動産を売却する場合、不動産賃貸契約書を買主との間で締結するため、印紙税も発生します。
個人事業主が賃貸用不動産を売却する場合、利益(譲渡所得)に応じて、所得税・住民税が発生します。
賃貸用不動産の保有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得になり、税率が39%(所得税率30%、住民税率9%)になります。
賃貸用不動産の保有期間が5年超の場合は、長期譲渡所得になり、税率が20%(所得税率15%、住民税率5%)になります。
個人事業主が不動産を売却する場合は長期譲渡所得になった方が短期譲渡所得になるより断然お得です。今回は譲渡所得の基本的なところから長期譲渡所得に該当させるまでの論点を一つずつ解説していきます。
法人が賃貸用不動産を売却する場合
法人が賃貸用不動産を売却する場合、以下の税金が発生します。
- 登録免許税
- 印紙税
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
賃貸用不動産を売却した場合、抵当権抹消登記を行う必要があるため、登録免許税が発生します。
抵当権抹消登記に掛かる費用は、1筆につき1,000円(土地・建物の場合、合計で2,000円)で、賃貸用不動産取得時と比べると微々たる費用負担となります。
賃貸用不動産を売却する場合、不動産賃貸契約書を買主との間で締結するため、印紙税も発生します。
法人税・法人住民税・法人事業税は、売却益(所得金額)がある場合に課税される税金です。
法人の場合、賃貸用不動産を保有していた間のその年の利益金額と賃貸用不動産を売却した時の利益金額(又は損失金額)を合算して、法人税・法人住民税・法人事業税の納税額を算定することになります。
不動産売却時に発生する税金には、印紙税、登録免許税、所得税(個人事業主)、法人税(会社)、消費税等があり、手数料には司法書士報酬、不動産会社に対する仲介手数料等があります。