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少額減価償却資産の仕訳と勘定科目|40万円未満特例の要件を税理士が解説

2026 6/12
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節税
2017年5月8日2026年6月12日
少額減価償却資産は一括経費

「30万円未満の備品は一括で経費にできる」と覚えていませんか?この特例は令和8年4月1日以後の取得分から「40万円未満」に拡充されました。

少額減価償却資産の特例を使えば、本来なら数年かけて減価償却する資産を買った年に全額経費にできます。

この記事では、少額減価償却資産の仕訳と勘定科目、改正後の要件、年300万円の上限や償却資産税の落とし穴まで、税理士が初心者向けにわかりやすく解説します。

目次

少額減価償却資産とは?40万円未満を即時償却できる特例

少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等が40万円未満の資産を取得したとき、全額をその年の経費にできる制度です(令和8年3月31日以前の取得分は30万円未満)。

本来、10万円以上の備品や設備は固定資産に計上し、減価償却(=資産の取得価額を耐用年数に分けて少しずつ経費にする仕組み)をしなければなりません。

例えば20万円のパソコンは耐用年数4年なので、1年あたり5万円ずつしか経費になりません。この特例を使えば、購入した年に20万円全額を経費にできます(即時償却)。

話を進める前に、この記事で繰り返し出てくる3つの用語をここで整理しておきます。

減価償却

減価償却とは、固定資産の取得価額を耐用年数に分けて少しずつ経費にしていく仕組みです。

即時償却

即時償却とは、資産の取得価額の全額を、購入して使い始めた年に一度に経費へ計上することです。

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、青色申告の中小企業者等が40万円未満(改正前は30万円未満)の資産を即時償却できる制度です。

用語を押さえたところで、令和8年度税制改正で少額減価償却資産の特例の何が変わったのかを、新旧対比の表で確認しましょう。

項目令和8年3月31日までの取得令和8年4月1日以後の取得
取得価額の上限30万円未満40万円未満
適用期限令和8年3月31日令和11年3月31日(3年延長)
従業員数の要件500人以下400人以下

この改正は、財務省「令和8年度税制改正の大綱」と中小企業庁の案内で確認できます(記事末尾の出典参照)。

まずは、自社(自分)がこの特例を使えるかどうか、要件から確認しましょう。

特例を使える要件は「青色申告の中小企業者等」

特例を使えるのは、青色申告をしている中小企業者等だけです。

白色申告では使えません。

「中小企業者等」とは、ざっくりいえば資本金1億円以下で大企業の子会社になっていない会社のことで、青色申告の個人事業主も含まれます。

具体的な要件は次のとおりです。

  • 青色申告であること(法人・個人事業主とも)
  • 法人は資本金1億円以下の中小企業者等であること(大法人の子会社や通算法人は対象外)
  • 常時使用する従業員が400人以下であること(令和8年4月1日以後の取得分。改正前は500人以下)
  • 過去3年平均の所得が15億円を超える「適用除外事業者」でないこと

ひとつ注意点があります。令和4年4月からは、本業とは別に、貸し出すためだけに資産を買った場合は、この特例を使えなくなりました。

例えば、建設業の会社が節税のためにドローンや建設足場を大量に買い、よその会社に貸し出すようなケースです。このような「貸すためだけに買った資産」が対象外になります。

一方、賃貸経営が本業の大家さんは、貸すこと自体が本業です(税法上の言葉では「主要な事業として行われる貸付け」)。

物件に設置するエアコンや給湯器は、これまでどおり特例の対象になります。

次に、金額帯ごとにどの処理を選べるかを整理します。

金額で変わる経理処理【10万・20万・40万円の区分】

固定資産の経理処理は、取得価額10万円・20万円・40万円の3つのラインで選択肢が変わります。

取得価額選べる処理使える事業者
10万円未満消耗品費などで全額経費すべての事業者
10万円以上20万円未満一括償却資産(3年で均等償却)/少額減価償却資産の特例一括償却は全事業者・特例は中小企業者等
20万円以上40万円未満少額減価償却資産の特例/通常の減価償却特例は中小企業者等のみ
40万円以上固定資産に計上し、通常の減価償却すべての事業者

一括償却資産とは、20万円未満の資産を耐用年数に関係なく3年で均等に経費化できる制度です。こちらは白色申告でも使えます。

区分がわかったところで、本題の仕訳を具体例で見ていきます。

少額減価償却資産の特例の仕訳【勘定科目別に2パターン】

仕訳の方法は「消耗品費などの費用で処理する」「いったん器具備品に計上して減価償却費に振り替える」の2パターンです。どちらでも税金の計算結果は同じです。

例として、賃貸物件用に35万円の業務用エアコンを令和8年4月以後に購入した場合で見てみましょう(改正前は30万円以上のため特例を使えなかった価格帯です)。

パターン①費用(消耗品費)で処理する方法

借方金額貸方金額
消耗品費35万円現金預金35万円

パターン②資産計上して減価償却費に振り替える方法

【購入時の仕訳】

借方金額貸方金額
器具備品35万円現金預金35万円

【決算時の仕訳】

借方金額貸方金額
減価償却費35万円器具備品35万円

どちらの勘定科目でも全額がその年の経費(損金)になる点は同じです。ただし、いずれの場合も固定資産台帳への記録と、明細書の添付または青色申告決算書への記載(→手続きの章)が必要です。

仕訳とあわせて、年間の上限額も押さえておきましょう。

上限は年300万円|利益調整にも使える(計算例)

特例を使えるのは、1事業年度あたり取得価額の合計300万円までです(事業年度が1年未満の場合は月割り)。

例えば35万円のエアコンを9台(合計315万円)購入した場合、特例を使えるのは8台分の280万円まで。9台目は通常の減価償却になります。

また、この特例は「使うかどうかを資産ごとに選べる」制度です。

黒字の年は即時償却で利益を圧縮し、赤字の年は通常の減価償却を選ぶ、といった利益調整にも使えます。

もっとも、ここまで見てきた特例を「使えば必ず得」とは限りません。

特に20万円未満の資産では、金額の区分表に登場した一括償却資産との使い分けで税負担が変わるため、次の章で2つを比較してみましょう。

一括償却資産と少額減価償却資産の特例のどちらが有利?【比較】

すぐ経費にしたいなら少額減価償却資産の特例、償却資産税を抑えたいなら一括償却資産が有利です。

項目少額減価償却資産の特例一括償却資産
対象金額40万円未満
(改正前30万円未満)
20万円未満
経費になるスピード即時
(全額その年)
3年で均等
使える事業者青色申告の中小企業者等すべての事業者
償却資産税
(固定資産税)
対象になる対象外
年間の上限合計300万円なし

特例を使った資産は、償却資産税(=事業用の設備・備品にかかる固定資産税)の申告対象になります。一括償却資産は対象外のため、20万円未満で3年待てる資産は一括償却資産の方が有利な場合があります(償却資産税は課税標準の合計150万円未満なら課税されません)。

最後に、特例を使うための手続きを確認します。

適用手続き|申告書の書き方3ステップ

手続きは「経費として処理→明細書の作成→確定申告書に添付」の3ステップです。

STEP
経費として処理する

事業で使い始めた年度に、消耗品費や減価償却費などの勘定科目で取得価額の全額を経費に計上します。

STEP
明細書を作成する

法人は「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))」と適用額明細書を作成します。

個人事業主も原則はこの明細書の添付が必要ですが、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に取得価額の合計額などを記載し、摘要欄に「措法28の2」と書くことで、明細書の添付に代えることができます(取得価額の明細は手元に保管しておきます)。

個人事業主は青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄の摘要に「措法28の2」と記載します。

STEP
確定申告書に添付して提出する

法人は作成した明細書を、個人事業主は記載を済ませた青色申告決算書(明細書を作成した場合はその明細書)を、確定申告書に添付して提出します。

添付や記載がないと特例を適用できないため、忘れずに提出しましょう。

添付がないと特例は適用できないため、忘れずに提出しましょう。

取得価額が40万円(改正前30万円)未満かどうかは、税抜経理なら税抜金額・税込経理なら税込金額で判定します。境界線上の資産は、経理方式によって結論が変わることがあります。

まとめ|40万円未満なら買った年に全額経費にできる

  • 少額減価償却資産の特例は、令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満に拡充(適用期限は令和11年3月31日まで)
  • 使えるのは青色申告の中小企業者等(従業員400人以下)。白色申告では使えない
  • 仕訳は「消耗品費」でも「器具備品→減価償却費」でもよく、上限は年300万円
  • 特例を使った資産は償却資産税の対象。20万円未満は一括償却資産との比較も忘れずに

賃貸物件のエアコン・給湯器・防犯カメラなど、30万〜40万円台の設備はまさに今回の改正の恩恵が大きい価格帯です。

どの処理が有利かは、利益の状況や償却資産税との兼ね合いで変わります。判断に迷ったら、不動産業を専門とする税理士にご相談ください。

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よくある質問

少額減価償却資産の勘定科目は何を使えばいいですか?

「消耗品費」などの費用科目で処理する方法と、「器具備品」等でいったん資産計上して決算時に「減価償却費」へ振り替える方法の、どちらでも構いません。

いずれの場合も全額がその年の経費になります。

明細書の添付(個人事業主は青色申告決算書への記載でも可)を忘れないようにしましょう。

40万円未満が対象になるのは、いつ取得した資産からですか?

令和8年4月1日以後に取得して事業の用に供した資産からです。

令和8年3月31日までの取得分は、従来どおり30万円未満が対象です。

白色申告でも少額減価償却資産の特例は使えますか?

使えません。青色申告であることが要件です。

白色申告の場合でも、10万円未満の資産の全額経費処理と、20万円未満の一括償却資産(3年均等償却)は利用できます。

中古資産やソフトウェアも対象になりますか?

対象になります。

器具備品や機械などの有形資産のほか、ソフトウェア・特許権などの無形資産や中古資産も、40万円未満(改正前30万円未満)であれば対象です。

出典・参考

  • 国税庁タックスアンサーNo.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(令和7年4月1日現在=改正前の基準)
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
  • 中小企業庁「少額減価償却資産の特例」(改正後の制度概要)
  • 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」
節税
リライト済み2026-06 節税
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