
- 不動産取得税は①不動産を購入した時、②不動産の「贈与」を受けた時に課税されます。
- ただし、「相続」の場合は不動産取得税は課税されません。
- 不動産取得税の計算は、軽減措置が多く、煩雑ですので、都道府県税事務所に不動産取得税申告書を提出して、きちんと計算してもらいましょう。
- 不動産取得税の納税時期は、不動産取得後、3か月~6か月後と遅いため、納税資金だけは残しておいてください。

おさる先生!
相続で不動産を取得する予定なので、不動産取得税について知りたいんだけど…

うーん、相続で不動産を取得した場合には不動産取得税はかからないよ。

え、そうなの?
お爺さんに、この土地付きの建物をあげるから不動産取得税のことを聞いて来いと言われたんだけど…

………あ!
相続じゃなく、贈与の話かな?
お爺さんまだ生きてる?

うん、ぴんぴんしてるよ。

不動産の贈与だね。
お爺さんの言う通り、不動産の贈与の場合は、不動産取得税という税金がかかるよ。

うん。それで?

土地の不動産取得税は、固定資産税評価額÷2×3%になるよ。
建物の不動産取得税は、固定資産税評価額×3%(住居目的以外の建物は4%)になるよ。

固定資産税評価額って、購入する場合の値段のことかな…

ちょっと違うんだよね。
固定資産税評価額は購入する値段の土地の場合は7割、建物の場合は6割ぐらいかな…
だから、購入する値段で考えるならば、大体2%前後ぐらいだね。

そうなんだ。
不動産を取得したことを誰かに届出なくちゃいけないかな?
そもそも、不動産取得税ってどうやって払うのかな?

一応、不動産を取得した時に、都道府県税事務所に届出書を提出して、それを基に納税額が決定される仕組みになっているんだ。
ただ、届出書を提出していなくても、納税通知書が不動産購入後に届くよ。
大体、不動産売買契約締結後の3か月~6か月後かな…
そこに記載されている納税額を払えば大丈夫だよ。

分かったよ。
お爺さんに伝えてくるね。
おさる先生、ありがとう!
不動産取得税とは
建物・土地を購入した場合
建物・土地を購入するためには売主と買主の間で不動産売買契約を締結すればよく、売主以外の第三者に買主が所有権を主張するためには不動産所有権移転登記が必要になります。
ただ、税金の世界はこれだけでは終わりません。忘れた頃に、ある日突然不動産の買主に納税通知書が届きます。これが不動産取得税です。
土地・建物を直前に購入しており、お金をだいぶ消費した段階で納税通知書がやってくるので、「どのタイミングで不動産取得税の納税通知が届くか?」を理解していないと、資金繰りに非常に困る税金となっています。
建物・土地を新築した場合や贈与・相続を受けた場合
不動産の売買取引を行った場合、当然に不動産取得税の納税義務があるのですが、それ以外にも、建物を新築した人や土地・建物の贈与を受けた人も不動産取得税を支払う対象になります。
ただし、相続で引き継いだ土地・建物には通常、不動産取得税はかかりません。
相続で土地・建物を引き継いだ場合、相続人側が好き好んで不動産を取得しているわけではないので、不動産取得税を課してしまうのは酷だからです。
贈与と相続は不動産取得税がかかる・かからないで結論が違うので注意が必要です。
不動産取得税の計算方法
まずは原則的な計算方法を確認した後に、土地・建物それぞれの主な軽減措置適用後の計算方法を確認していきましょう。
不動産取得税の原則的な計算方法
不動産取得税=固定資産税評価額×不動産取得税率(4%)
固定資産税評価額は、不動産の実際の購入価格や建築工事費ではなく、総務大臣が定めた固定資産評価基準によって評価し、決定された価格です。
土地の固定資産税評価額は、実際の購入価格のおよそ7割程度、建物の固定資産税評価額は、実際の購入価格や建築工事費の5割~6割程度と言われています(立地により異なるのであくまで目安)。
注意点としては、「不動産取得税」の建物の固定資産税評価額は、「固定資産税」の固定資産税評価額と異なります。
「固定資産税」の固定資産税評価額は、年数の経過に応じた減価額を考慮にいれますが、「不動産取得税」の建物の固定資産税評価額は、常に不動産を取得した時の価格のままで、年数の経過に応じた減価額という概念はありません。
よって、「固定資産税」の固定資産税評価額よりも「不動産取得税」の固定資産税評価額は相対的に高くなります。
土地の不動産取得税の計算方法(軽減措置適用後)
不動産取得税=固定資産税評価額÷2×3%
建物の不動産取得税の計算方法(軽減措置適用後)
固定資産税評価額×3%(住居として賃貸する建物も含む。事務所用建物などは4%)
不動産取得税の計算例
- 固定資産税評価額が以下の場合のときに不動産取得税を計算してください。
- 賃貸用の中古アパート(8戸)の購入
- 土地の固定資産税評価額:2,100万円(取得価格3,000万円)
- 建物(住宅)の固定資産税評価額:400万円(建築費用700万円)
- 【解答】
不動産取得税は435,000円です。【解説】
- 土地の不動産取得税=2,100万円÷2×3%=315,000円
- 建物の不動産取得税=400万円×3%=120,000円
- 合計=315,000円+120,000円=435,000円
※ 計算の結果、100円未満の端数が生じたときは切り捨て。
不動産取得税申告書を提出する意味
不動産を取得した場合、不動産取得税申告書を都道府県税事務所に提出することが原則になっています。
ただし、不動産取得税申告書を提出しなくても、罰則はありませんし、後日普通に、不動産取得税の納税通知書が取得者に送られてきます。
そして、不動産取得税申告書は記載項目・添付書類が多く、作成するのは非常に煩わしいため、もしくは、提出義務があること自体を取得者が知らないため、提出をしていない人も多いです。
都道府県税事務所の方で、分かる限りの不動産取得税の軽減措置を適用したうえで納税通知書は送られてきますし、仮に送られてきた納税通知書の金額が間違っていても還付請求が出来るため、基本的にはそれほど問題ないです。
では、なんのために不動産の取得者は不動産取得税申告書を提出するのでしょうか?
それは、都道府県税事務所に正確な不動産取得税を計算してもらうためです。
上記で、不動産取得税の計算方法を説明しましたが、実はこれ以外にも要件次第では軽減措置の適用があります。
例えば、「新築」の賃貸用アパートを建設した時などには、不動産取得税を0円に出来るぐらいの軽減措置もあったりします。
不動産取得者が、軽減税率の適用の有無を自分で調べて、正しい納税額を算出するには限界があります。
都道府県税事務所に納税額を計算してもらうのが、一番正確な不動産取得税の算定方法であり、後で、再計算・還付請求のような非常に煩わしい追加作業を自分で行わなくても良いように、不動産取得税申告書はきちんと提出しておく必要があると考えられます。
不動産取得税の納税時期
不動産取得税は都道府県税で、都道府県税事務所が納税額を計算してくれることになります(賦課課税方式といいます)。
不動産取得後、3か月~6か月後に所在地の都道府県税事務所から納税通知書と納付書が届きますので、納付書に記載されている金額を1か月以内(期限が短いので注意!)に納付すればよいことになります。
①都道府県税事務所・金融機関・郵便局窓口での支払い、②コンビニでの支払い、③クレジットカードでの支払い等、支払い方法も手軽なので、納税資金だけきちんと確保できていれば、問題なく納税できるでしょう。