融資を受ける前年に行う税金対策
この記事の対象者
  • 直近で銀行融資を受けることを考えている経営者
  • 将来的に銀行融資に興味がある経営者
  • 当期の決算を黒字にしたい経営者

くま君くま君

おさる先生!
今後の事業計画について相談したいんだけど、時間あるかな?


おさる先生おさる先生

大丈夫だよ。
経営も軌道に乗り始めたし、そろそろ新規借り入れでもして、事業規模を大きくしたいところだね。


くま君くま君

そうなんだよ。
来年あたりから事業規模を拡大させたいんだよね。


おさる先生おさる先生

うーん。
じゃあ、銀行融資との関係で、今年は黒字にしておきたいね。


くま君くま君

そうなんだよね…
ただ、このままいくとぎりぎりで赤字になっちゃうんだけど、どうすればいいかな?


おさる先生おさる先生

まずは、予定している経費で来年に回せるものは来年に回そうか…
この建物の修繕なんかは今年やらなくていいんじゃない?


くま君くま君

そうだね。


おさる先生おさる先生

あとは、今年買った建物の不動産取得税とかを資産計上しようか…
これだけでもずいぶん変わるはずだよ。


くま君くま君

本当だ。
これで黒字になったよ。

融資の際には、確定申告書の利益金額が重要

銀行融資を受ける場合、当然、銀行からの審査を受けなければなりません

この場合、銀行から求められる資料は、直近2年分の確定申告書と決算書です。

つまり、銀行の審査で見られる利益金額は、前年度と前々年度の決算書の利益金額です。

よって、銀行融資を受けようと思ったら、前年度又は前々年度から計画的に準備した方が、より融資を受けられる確率が高くなります

一般的には、納税額を抑えたいから、節税しようという考えの経営者が多いわけですが、直近で銀行融資を受ける可能性が高い会社は銀行融資の前年度又は前々年度から計画的に準備しておく必要があります

銀行融資を受けるために決算書の利益金額は黒字にしよう

それでは、融資を受けるために前年度又は前々年度の利益金額を黒字にしようとする場合、どうしたらいいでしょうか?

今回は不動産賃貸業を例に考えてみますが、他の事業でも同じように売上を増加させる又は経費を減少させる経営努力が考えられます。

  1. 空室をできるだけなくす(売上高の増加)
  2. 賃料を上げるように努力する(売上高の増加)
  3. 修繕費などの経費を削減したり、先送りにする(経費の減少)

しかし、頑張って売上高を多くしたり、経費を削減したりしても、限界があり、赤字になってしまうことも十分にありえます

そんな時に、駄目押しの一手として次のような方法が考えられます。

  • 損金(経費)の計上を一部取りやめる
  • 損金(経費)処理「できる」規定ものを資産計上する

損金(経費)の計上を一部取りやめる

損金(経費)に計上できるものをあえて計上しなくても、税務上は問題ありません。

税金が増加することになるので、税務署的にも問題ないからです。

損金(経費)処理「できる」規定ものを固定資産計上する

まず、「固定資産」とはなにかというと、建物や自動車など、会社が財産として長年に渡り保有するものです。

固定資産の取得のために支払った金額のうち一部(①不動産取得税、②自動車取得税、③登録免許税、④その他登記又は登録のために要する費用など)は、取得年度の損金(経費)としても良いし、または、固定資産として計上しても良いという税務上の規定があります。

よって、黒字を計上したい年度では、固定資産の取得のために支払った金額の一部を固定資産として計上します。

通常は、節税対策のため、固定資産の取得にかかったお金の一部は損金(経費)で処理したいのですが、税務上は損金(経費)に計上「できる」規定のため、通常と逆の発想で、固定資産計上することになります。

なお、固定資産に計上した建物や自動車の金額は減価償却という方法で翌年度以降徐々に損金(経費)に算入されます

よって、最終的な損金(経費)計上額は同じになりますが、単年度で見たときは一括で損金(経費)計上するより、損金(経費)の合計額が抑えられ、会社の黒字額は大きくなります