不動産を取得して司法書士から請求書が届いたとき、「登録免許税の勘定科目は何にすればいい?」と迷っていませんか。結論からいうと、登録免許税の勘定科目は租税公課です。
この記事では、不動産取得時の登録免許税について、勘定科目と仕訳、計算方法、2026年最新の軽減税率、経費にできる範囲まで、不動産業を専門とする税理士が初心者向けに解説します。
登録免許税とは?不動産の登記でかかる国税
登録免許税とは、不動産を登記するときに国へ納める税金(国税)です。不動産を買って自分の名義に変える「所有権移転登記」や、住宅ローンの担保を設定する「抵当権設定登記」のときにかかります。
まずは関連する用語を整理しましょう。
- 登録免許税
-
不動産などの登記・登録をするときに課される国税(=国に納める税金)。
- 所有権移転登記
-
不動産の持ち主を売主から買主へ変える登記(=名義変更の手続き)。
- 抵当権設定登記
-
住宅ローンなどの担保として、その不動産に金融機関の権利を設定する登記。
- 課税標準
-
税額を計算するもとになる金額。登録免許税では原則として固定資産税評価額を使います。
登録免許税の勘定科目は「租税公課」|司法書士報酬は「支払手数料」
登録免許税の勘定科目は租税公課で処理します。個人事業主でも法人でも、同じ科目を使います。
一方、登記を代行してもらった司法書士への報酬は、税金ではないため支払手数料(または支払報酬料)で処理します。登録免許税と司法書士報酬は別々の勘定科目に分けて記帳するのがポイントです。
司法書士の請求書には、登録免許税(実費)と司法書士報酬がまとめて記載されていることが多いため、内訳を分けて仕訳します。
租税公課(=税金や公的な負担金をまとめる費用の科目)と、支払手数料(=専門家への報酬をまとめる科目)に切り分けるイメージです。
登録免許税は税金なので租税公課、司法書士への報酬は役務の対価なので支払手数料。請求書の金額を一括で計上せず、必ず内訳ごとに分けましょう。
登録免許税の仕訳を具体例でわかりやすく解説
登録免許税を支払ったときは、借方を租税公課、貸方を現金預金として仕訳します。例として、登録免許税50万円と司法書士報酬8万円(うち源泉所得税を考慮しない簡易例)を普通預金から支払ったケースを示します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 50万円 | 普通預金 | 50万円 |
| 支払手数料 | 8万円 | 普通預金 | 8万円 |
司法書士報酬は、支払先が個人か法人かで源泉徴収(=報酬からあらかじめ所得税を差し引いて納める仕組み)の有無が変わります。
| 支払先 | 源泉徴収 | 仕訳での扱い |
|---|---|---|
| 個人の司法書士 | 対象(〇) | 報酬から所得税を差し引き、差引分を預り金で処理 |
| 司法書士法人 | 対象外(×) | 報酬の全額をそのまま支払手数料に計上 |
判断に迷うときは、源泉徴収の有無も含めて税理士に確認すると安心です。
【参考】個人の司法書士に報酬8万円を支払い、源泉所得税を預かる場合の仕訳例です。源泉所得税は(報酬8万円−1万円)×10.21%=7,147円、差引の支払額は72,853円になります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 8万円 | 普通預金 | 72,853円 |
| 預り金 | 7,147円 |
登録免許税の計算方法と税率一覧表
登録免許税の税額は、課税標準(固定資産税評価額)×税率で計算します。土地・建物の所有権移転登記では、売買価格ではなく固定資産税評価額を使う点に注意してください。
抵当権設定登記だけは、債権金額(借入額)が課税標準になります。まず、原則となる本則税率は次のとおりです。
| 登記の種類 | 本則税率 |
|---|---|
| 土地の売買(所有権移転) | 2.0% |
| 建物の売買(所有権移転) | 2.0% |
| 抵当権の設定 | 0.4% |
| 相続による所有権移転 | 0.4% |
一方、一定の要件を満たす場合に使える軽減税率は次のとおりです。適用期限を過ぎると本則税率に戻ります。
| 登記の種類 | 軽減税率 |
|---|---|
| 土地の売買(所有権移転) | 1.5% |
| 建物(住宅用家屋・所有権移転) | 0.3% |
| 抵当権の設定(住宅ローン) | 0.1% |
たとえば固定資産税評価額が2,000万円の土地を購入した場合、軽減税率1.5%なら登録免許税は30万円(2,000万円×1.5%)です。計算した税額が1,000円未満になるときは、最低1,000円となります。
【2026年最新】登録免許税の軽減税率と適用期限
登録免許税には期限つきの軽減措置があり、2026年(令和8年)度の税制改正で内容が更新されました。適用期限を過ぎると本則税率に戻るため、登記のタイミングは重要です。
- 土地の売買による所有権移転登記の軽減税率1.5%は、令和8年度改正により令和11年(2029年)3月31日まで3年延長されました(自己居住用かどうかを問わず適用)。
- 住宅用家屋の軽減(所有権移転0.3%・抵当権設定0.1%)は、令和9年(2027年)3月31日までが期限です。
- 住宅用家屋の軽減を受けるには、床面積50㎡以上・自己居住用・取得後1年以内の登記などの要件と、市区町村長の「住宅用家屋証明書」が必要です。
賃貸用不動産で間違えやすい登録免許税の注意点
不動産賃貸業で特に注意したいのは、賃貸用の建物には住宅用家屋の軽減税率(0.3%)が使えない点です。
住宅用家屋の軽減は「自己の居住用」であることが条件のため、人に貸す賃貸物件の建物は本則の2.0%で計算します。
同じく、住宅ローン向けの抵当権設定の軽減(0.1%)も自己居住用が条件のため、事業用ローンで設定する抵当権は本則0.4%になります。
- 賃貸用建物の所有権移転登記:住宅用家屋の軽減(0.3%)は対象外で、本則2.0%。
- 土地の所有権移転登記:軽減1.5%は居住用を問わず使えるため、賃貸用でも1.5%が適用可能。
- 事業用ローンの抵当権設定:住宅ローン向けの0.1%軽減は自己居住用が条件のため、賃貸用は本則0.4%。
登録免許税は必要経費にできる?取得価額との関係
不動産賃貸業など業務用の土地・建物にかかった登録免許税は、その年の必要経費に算入できます(租税公課として費用処理)。
建物の取得価額に含めて減価償却する必要はなく、支払った年の経費にできるのがポイントです(国税庁タックスアンサーNo.2215)。
これは法人でも同様で、登記のために支払う登録免許税は取得価額に含めないことができるとされています(国税庁No.5400)。節税の観点では、支払時に一括で経費(損金)計上できるためキャッシュフロー上も有利です。
登録免許税の納付方法と納めるタイミング
登録免許税は、登記を申請するときに納付します。納付方法は次の3つから選べます(実務では司法書士が代行するのが一般的です)。
| 納付方法 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 現金納付 | 金融機関で納付し、領収証書を申請書に貼付 | 高額な登録免許税のとき |
| 収入印紙 | 税額分の収入印紙を申請書に貼付 | 税額が3万円以下のとき |
| オンライン納付 | 登記・供託オンライン申請システムで電子納付 | 自分で電子申請するとき |
納めるタイミングは登記申請時です。経費に計上する時期は、原則として納付すべきことが確定した年(通常は支払った年)になります。
まとめ|登録免許税の勘定科目と仕訳のポイント
- 登録免許税の勘定科目は租税公課、司法書士報酬は支払手数料に分ける。
- 税額は固定資産税評価額×税率(抵当権は債権金額×税率)。
- 土地の軽減1.5%は令和11年3月31日まで、住宅用家屋の軽減は令和9年3月31日まで。
- 賃貸用の建物は住宅用家屋の軽減が使えず本則2.0%、事業用ローンの抵当権設定も住宅ローンの軽減が使えず本則0.4%になる点に注意。
- 業務用不動産の登録免許税は、登記して納付した年の経費(個人事業主は必要経費、法人は損金)にできる。
よくある質問(FAQ)
- 登録免許税の勘定科目は租税公課以外でもよいですか?
-
登録免許税は税金のため、原則として租税公課で処理します。会計ソフトによっては「登録免許税」という科目を設けることもありますが、いずれも経費として処理する点は同じです。
- 司法書士に支払う報酬の勘定科目は何ですか?
-
登記を代行してもらった司法書士への報酬は、支払手数料(または支払報酬料)で処理します。登録免許税(租税公課)とは分けて記帳します。
- 登録免許税はいつの年の経費になりますか?
-
原則として、納付すべきことが確定した年(通常は登記申請をして支払った年)の経費になります。個人事業主はその年の必要経費、法人はその事業年度の損金に算入します。
- 中古の賃貸物件でも軽減税率は使えますか?
-
土地の所有権移転登記の軽減1.5%は賃貸用でも使えます。一方、建物の住宅用家屋の軽減(0.3%)は自己居住用が条件のため、賃貸用の建物には使えず本則2.0%になります。


コメント