- 外壁塗装費用が経費になるか固定資産になるか知りたい人
- 中古マンションの買主が外壁塗装工事の費用を負担する場合の注意点を知りたい人
- 税理士に外壁塗装費用が固定資産計上だと言われて納得ができない人
修繕費(経費)か資本的支出(固定資産)かの実質判断が必要になる
まず、外壁塗装費用が20万円未満の場合、細かい判断は不要で全額経費計上できることになります。
ただし、外壁塗装費用で20万円未満ということは非常に稀なケースでしょう。
よって、外壁塗装費用が修繕費として経費計上されるか、資本的支出として固定資産計上(建物勘定)されるかは実質によって判断されることになります。
外壁塗装工事の費用は修繕費として経費計上される場合が多い
建物については、年数の経過により外壁のひび割れやシーリングの割れ・劣化などが生じ、そのままにしておくと雨漏りの発生などの原因にもなるため、定期的に外壁塗装工事を行うことが想定されます。
この外壁塗装工事の費用は建物の通常の維持管理行為に該当し、基本的には修繕費として経費計上されることになります。
ただし、外壁塗装のかわりにタイルを貼り付けた場合などは、通常の維持管理行為には該当せず、機能強化となり、資本的支出に該当することになります。
資本的支出に該当する場合、修繕費として経費計上することはできないため、建物として固定資産に計上することになります。
中古マンションの買主が外壁塗装工事の費用を負担する場合の注意点
マンションの大規模修繕の費用は、大規模修繕は定期的に行われて、通常の維持管理の性格が強いため、修繕費として経費計上できる可能性が高いです。
しかし、中古マンションの大規模修繕としての外壁塗装工事があらかじめ予定されており、不動産売買契約の買主がその費用を負担する場合、資本的支出として固定資産に計上されますので注意が必要です。
実務上の中古マンションの売買取引では、あらかじめ予定されている大規模修繕としての外壁塗装工事の費用を買主が負担する約束をすれば、その費用部分だけ売買価額に反映されることになります。
つまり、元の売買価額から大規模修繕としての外壁塗装費用相当分を減額した金額が実質的な中古マンションの売買価額になります。
もし、大規模修繕としての外壁塗装費用が中古マンションの売買価額に反映されるならば、外壁塗装費用は売買価額の一部を構成していると考えられるので、あらかじめ予定されていた大規模修繕としての外壁塗装の費用は資本的支出として、建物勘定に計上されることになります。
ただし、以下の2つの場合は、資本的支出として建物取得価額に計上する必要はなく修繕費として経費に計上できます。
- 大規模修繕としての外壁塗装工事の費用を買主が負担していても、売買価額に反映されていないことが明白な場合
- 不動産売買契約時にあらかじめ大規模工事が予定されていた訳ではなく、不動産売買契約後に外壁塗装工事の必要性が明らかになった場合
まとめ
外壁塗装費用については、基本的には修繕費ということになりますが、売買契約の買主が負担する外壁塗装費用には注意が必要です。
税理士の立場からすると、どうしても保守的な判断になり、修繕費として経費に計上できる可能性があるものを資本的支出として固定資産に計上しなければならないと指導することもあります。
もしあなたがどうしてもこれは修繕費として経費に計上できると思う費用があるときは、上記の事例を参考にして、理論を組み立ててください。
理論的で反論の余地がない場合は修繕費として経費に計上できる可能性は十分にあるでしょう。