LEDの税金の処理方法について




この記事の対象者
  1. LEDへの取替費用が経費に計上できるか知りたい人




LED自体が昔に比べて比較的安くなってきたこともあり、節電対策として会社の蛍光灯や投資用不動産の蛍光灯をLED蛍光灯に取り換える事業主さんは増えてきました。

安くなったと言えど、まだLED蛍光灯の単価は高額であり、取り替えるとそれなりの費用がかかることも事実です。

税務面から考えたときに重要になるのは、LED蛍光灯が資産に計上されてしまい減価償却を通してでしか経費に計上できないか又は修繕費として全額経費に計上できるかということでしょう。

今回はLED蛍光灯に関わる税法上の処理方法を見ていくことにしましょう。

LED蛍光灯の取替費用の税務上の考え方

法人税法基本通達7-8-2では、「会社が所有している固定資産の修理・改良のために出費した金額のうち、固定資産の通常の維持管理のため、又は毀損した固定資産につき原状回復するために必要だと認められる部分の金額が修繕費になる」としています。

一方で、法人税法基本通達7-8-1では、「会社が所有している固定資産の修理・改良のために出費した金額のうち、固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すことになると認められる部分に対応する金額は資本的支出になる」としています。

LED蛍光灯の取替費用は上記法人税法基本通達7-8-2と7-8-1のどちらにあたるのでしょうか?

LED蛍光灯への取替費用は修繕費にあたる

結論から先に記載すると、LED蛍光灯への取替えに係る費用については全額、修繕費として経費に計上することができます。

普通の蛍光灯をLED蛍光灯に替えることで、使用可能期間の延長や節電効果が期待できるので、基本通達7-8-1の固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなる費用に該当し、資本的支出になるのではないかとも考えられます。

しかし、普通の蛍光灯でもLED蛍光灯でも、蛍光灯自体は、照明設備の一部分に過ぎず、LED蛍光灯に替えることで全体の一部分である部品部分の性能が高まったからと言って、照明設備自体の価値や耐久性が高まったと考えることはできません。

よって、LED蛍光灯の取替費用については修繕費として経費処理することが妥当と考えらます。

投資用不動産や事務所全体の蛍光灯をLED蛍光灯に変更しようという場合、規模によっては何百万円単位の費用が掛かりますが、上記の結論通り、LED蛍光灯の取替費用は全額修繕費として経費計上できます。

金額の多寡には影響されないので、利益が出過ぎている期にLED蛍光灯に交換してしまうのも節税対策の1つの手段になるでしょう。

LED蛍光灯とともに安定器も取り替える場合

LED蛍光灯を取り換える場合に安定器の取付けが必要になることがあります。

安定器自体はLED蛍光灯と同じように照明設備の一部分に過ぎないので、安定器とその取付け作業自体も資本的支出に該当せず、経費に計上することができます。

LED蛍光灯とともに照明設備自体を取り替えた場合

LED蛍光灯とともに照明設備自体を取り替えた場合、もはや部品の交換ではなく、本体である建物附属設備自体の交換になります。

よって、LED蛍光灯とともに照明設備自体を交換した場合は、新たな資産の取得と古い資産の除却ということになります。

取得価額が10万円(青色申告者なら30万円)未満ならば、少額減価償却資産として、取得価額相当額を取得時に経費に計上していれば全額経費処理で問題ありません。

取得価額が10万円(青色申告者なら30万円)以上ならば、取得価額を建物附属設備に計上しましょう。

その場合には取り替えた古い照明設備の未償却残高(取得価額―減価償却累計額)は除却損として、取替工事をした期の経費に計上することができます。

なお、10万円(青色申告者なら30万円)の判定は照明設備をコントロールできるスイッチの単位ごとと考えるのが妥当でしょう。