会社を設立するには、事前に決めておくべきことの整理、定款の作成、登記申請、各関係機関への届出など、多くのステップがあります。
この記事では、会社設立の準備から設立後の手続きまでを順を追ってわかりやすく解説します。
費用を抑えるポイントや節税につながる届出も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 会社設立前に決めておくべき12の項目
- 設立までの5つのステップ
- 設立後に提出が必要な書類と提出先・期限一覧
- 費用を抑えるための実践的なポイント
会社設立前に決めておくべき12の項目
定款を作成する前に、会社の根幹となる以下の項目を決めておく必要があります。
あとから変更すると手間とコストがかかるものも多いため、設立前にしっかりと検討しておくことが重要です。
| 項目 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 会社の種類 | 株式会社と合同会社の2種類があります。合同会社は費用・手続きの面で有利ですが、信用力では株式会社が優位です。 |
| 補助金・助成金 | 創業補助金を活用すれば最大200万円程度の補助を受けられる可能性があります。 ただし申請・報告の手間が大きいため費用対効果を慎重に検討しましょう。 |
| 設立手続き | 専門家(司法書士・行政書士・税理士)への外注がおすすめです。 報酬相場は5万〜10万円で、外注費は損金算入できます。 |
| 商号(会社名) | 将来の事業展開も見据えて決めましょう。 後から変更すると登記費用と手間がかかります。 |
| 本店所在地 | 自宅でも登記は可能ですが、登記簿に住所が公開されます。 プライバシーを重視する場合はバーチャルオフィスも検討を。 |
| 出資者 | 共同出資は後のトラブルの原因になりやすいため、出資者の選定は慎重に行いましょう。 |
| 出資金(資本金) | 消費税の観点から1,000万円未満が基本。 信用力の面では300万円以上が望ましいとされています。 |
| 設立日 | 住民税の均等割が月次・切り捨て計算のため、月末設立の方が初年度の税負担をわずかに抑えられます。 |
| 決算期 | 3月末は税理士の繁忙期と重なり報酬が高くなりやすいです。 設立日から1年後の月末に設定するのがおすすめです。 |
| 事業目的 | 将来行う可能性のある事業はすべて記載しておきましょう。 後から定款変更するには登記費用と手間がかかります。 |
| 役員と役員報酬 | 節税の観点から配偶者などの家族を役員にできるかを検討しておきましょう。 役員報酬の分散が所得税・住民税の節税につながります。 |
| 公告の方法 | 「官報」か「電子(自社HP)」を選択します。 電子公告の方がコストを大幅に抑えられるのでおすすめです。 |
株式会社と合同会社の比較
会社の種類は設立後の変更が非常に手間になるため、慎重に選びましょう。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約30万円 | 約15万円 |
| 設立手続きの手間 | やや複雑 | 比較的シンプル |
| 対外的な信用力 | 高い | やや低い |
| 知名度・一般的な認知 | 高い | 低め |
| 設立費用の損金算入 | 可能 | 可能 |
お住まいの自治体に補助制度がある場合も
市区町村によっては、設立前に所定の講座を受講することで登録免許税(15万円)が半額になる制度があります。例えば、東京都板橋区では「創業4分野マスターコース」の受講が対象です。また、創業時の借入に対して利子補給制度を設けている自治体もあります。設立前にお住まいの自治体のホームページを確認してみましょう。
会社設立までの5つのステップ
会社設立の流れは大きく5つのステップに分かれます。
全体の流れを把握したうえで、各ステップの詳細を確認しましょう。
| ステップ | 内容 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| ① | 定款の作成 | 会社実印・代表取締役印・銀行印の発注も同時に行う |
| ② | 公証人による定款の確認・認証 | 電子定款を利用すると収入印紙4万円が不要 |
| ③ | 資本金の振り込み | 振込の入金記録が必要(残高があるだけでは不可) |
| ④ | 登記書類の作成・収集 | 役員の実印・会社実印が必要 |
| ⑤ | 設立登記の申請 | 法務局への申請日が設立日になる |
ステップ①|定款の作成
定款とは、会社の目的・組織・運営に関するルールを定めた「会社の憲法」ともいえる書類です。
上記で決めた事項をもとに作成します。
定款作成と並行して、会社実印・代表取締役印・銀行印の発注も進めておきましょう。
登記申請時に必要になります。
ステップ②|公証人による定款の確認・認証
発起人または代理人が作成した定款を、公証役場の公証人が確認・認証します。
修正が必要な場合は指摘を受けて修正し、問題がなければ認証が完了します。
電子定款で収入印紙代4万円を節約できる
税理士などの専門家に外注すると電子定款で手続きを行えるため、収入印紙代4万円が不要になります。紙の定款では4万円の収入印紙が必要なため、専門家への外注費用と比較しても外注する方がお得なケースが多いです。
ステップ③|資本金の振り込み
発起人の個人口座に資本金を振り込みます。通帳に残高があればよいと思われがちですが、残高があるだけでは認められません。
通帳の入金欄に振込金額が明記されていることが必要です。
振り込み後の通帳コピーが登記書類に必要となります。
ステップ④|登記書類の作成・収集
株式会社設立登記申請書をはじめ、設立時役員の就任承諾書などの書類を作成・収集します。
役員の実印と会社実印が必要になるため、ステップ①の段階で準備しておきましょう。
ステップ⑤|設立登記の申請
すべての書類が揃ったら、管轄の法務局で登記申請を行います。
法務局に申請した日が会社の設立日になります。
設立日を意識している場合は申請のタイミングに注意しましょう。
会社設立後に必要な届出と手続き
登記が完了すると会社設立は完了ですが、その後も各関係機関への届出が必要です。
提出期限があるものも多いため、設立後は速やかに対応しましょう。
| 提出先 | 対象 | 主な届出内容 |
|---|---|---|
| 税務署 | すべての会社 | 法人設立届出書・青色申告承認申請書など |
| 都道府県・市町村 | すべての会社 | 法人設立届出書(地方税関係) |
| 年金事務所 | すべての会社 | 健康保険・厚生年金の新規適用届など |
| 労働基準監督署 | 従業員を雇用する場合のみ | 労働保険 保険関係成立届など |
| ハローワーク | 従業員を雇用する場合のみ | 雇用保険 適用事業所設置届など |
税務署への届出一覧
税務署への届出は複数あり、提出期限がそれぞれ異なります。
最短期限の「給与支払事務所等の開設届出書」(1か月以内)に合わせてまとめて提出すると、税務署への訪問が1回で済みます。
| 書類名 | 提出期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 2か月以内 | 法人の開業を税務署に知らせる基本書類 |
| 青色申告の承認申請書 | 3か月以内 | 必ず提出すること。 赤字の繰越控除・各種税額控除の適用に必要。 提出しないと節税機会を大きく逃します。 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 1か月以内 | 役員報酬や給与を支払う場合に必要 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時(早めに) | 給与支給人員が常時10人未満なら必ず提出。 源泉納付が年2回になり事務負担が大幅軽減。 |
年金事務所への届出一覧
年金事務所の窓口ではなく、管轄の日本年金機構広域事務センターへ書類を郵送します。
添付書類を事前に確認しておくと1回の郵送で手続きが完了します。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 会社として社会保険に加入するための基本届出 |
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 役員・従業員ごとに提出が必要 |
| 健康保険 被扶養者(異動)届 | 扶養家族がいる場合のみ必要 |
ハローワークへの届出一覧(従業員を雇用する場合)
従業員を雇用する場合のみ必要です。
1人会社(役員のみ)の場合は提出不要です。
| 書類名 | 提出期限 | 備考 |
|---|---|---|
| 雇用保険 適用事業所設置届 | 設置から10日以内 | 添付書類が多く複雑。自分で作成する場合は余裕をもって準備を! |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | 資格取得の翌月10日まで | 雇用した従業員ごとに提出が必要 |
まとめ
- 設立前に商号・資本金・決算期など12の項目を事前に整理しておくことが重要
- 設立手続きは専門家への外注がおすすめ。電子定款対応で収入印紙代4万円を節約できる
- 資本金は300万円以上、1,000万円未満が目安
- 青色申告の承認申請書は設立後3か月以内に必ず提出する
- 給与支払人員が10人未満なら源泉所得税の納期の特例を申請して事務負担を軽減する
- 設立後の届出先は最大5か所。提出期限を把握して漏れなく対応することが大切
会社設立は一度きりの手続きです。
費用を抑えながらミスなく進めるためにも、税理士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。


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