防犯カメラ(監視カメラ)の設置・交換に係る勘定科目と耐用年数について

技術的な進歩に伴い、昔より安価で高性能な防犯カメラ(監視カメラ)が購入できるようになりました。

その影響で、防犯カメラ(監視カメラ)をセキュリティ対策の一環として事務所やマンションなどに設置している事例が増えてきています

そこで今回は、経理処理上必要になる防犯カメラ(監視カメラ)の設置・交換に係る勘定科目耐用年数についてまとめていきます。

固定資産の取得単位の判定について

防犯カメラの勘定科目や耐用年数を決定する前に、防犯カメラのどこまでが1つの固定資産になるのかという取得単位の判定をすることになります。

つまり、防犯カメラ「単体」を固定資産の取得単位とするか、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルを「一体として」固定資産の取得単位とするかを判定することになります。

税法上は、固定資産の取得価額の判定について、単独で機能を発揮する最小単位を1つの固定資産としています。

これを防犯カメラに当てはめると、防犯カメラが単独で機能を発揮するためには、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルが一体として使用されることが必要になります。

よって、防犯カメラについては、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルを「一体として」1つの固定資産の取得単位と判定することになります。

ただし、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルを防犯カメラとは違う用途に使用する目的で、別々に購入しており、たまたま今回は防犯カメラとして一緒に使用しただけの場合、例外的に①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルをそれぞれ「単独で」固定資産の取得単位と判定することもできます

防犯カメラの勘定科目と耐用年数

防犯カメラを「一体として」固定資産の取得と判定するか、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルをそれぞれ「単独で」固定資産の取得と判定するかで、防犯カメラに適用される勘定科目も耐用年数も変わってきます

一体として固定資産の取得と判定する場合

防犯カメラを一体として固定資産の取得と判定する場合で、取得価額が10万円未満(青色申告の場合30万円未満)ならば、固定資産の取得であっても、重要性が乏しいので、消耗品費の勘定科目で処理され、経費に計上されることになります。

防犯カメラを一体として固定資産の取得と判断する場合で、取得価額が10万円以上(青色申告の場合は30万円以上)ならば、工具器具備品の勘定科目で処理され、耐用年数は6年になります。

単独で固定資産の取得と判定する場合

単独で固定資産の取得と判定する場合、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルごとに取得価額が10万円未満(青色申告の場合30万円未満)ならば、固定資産の取得であっても重要性が乏しいので、消耗品費の勘定科目で処理され、経費に計上されることになります。

単独で固定資産の取得と判定する場合、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブルごとに取得価額が10万円以上(青色申告の場合30万円以上)ならば、個々の固定資産ごとに勘定科目と耐用年数を決めることになります。

ただし、ビデオカメラ、ディスプレー、レコーダーは各々工具器具備品の勘定科目で処理され、耐用年数が5年と同じになります。

ケーブルだけはどう考えても、10万円以上になることは考えられないので、消耗品費として経費処理することになるでしょう。

一体として固定資産と判定した防犯カメラの一部を交換した場合の経理処理

防犯カメラを一体として固定資産に計上していた場合に、ビデオカメラの一台が壊れて取り替えを行うことやレコーダーの記憶媒体であるハードディスクの容量がいっぱいになってしまったため、取り替えを行うことがあります。

このような場合、税法上はどのように経理処理するのでしょうか?

結論を先に述べると、古くなった固定資産の除却と新しい固定資産の取得として経理処理します。

つまり、ビデオカメラやハードディスクの未償却残高(取得価額―減価償却累計額)を算出して、固定資産除却損という勘定科目で経費に計上し、購入したビデオカメラやハードディスクを新しく工具器具備品の勘定科目で固定資産に計上することになります。

ただし、新しく交換したビデオカメラやハードディスクの取得価額が10万円未満(青色申告ならば30万円未満)ならば、重要性が乏しいので、取得価額を消耗品費の勘定科目で経費に計上するだけで処理を終わらせることも可能です。