
- 防犯カメラを設置した場合の税法上の耐用年数を知りたい人
- 税法上の防犯カメラの取得単位の判定方法を知りたい人
- 防犯カメラの一部を廃棄した時の税法上の処理方法を知りたい人
不動産賃貸業を行っていると、防犯カメラの新規設置・交換をする機会がしばしばあります。
防犯カメラは昔よりだいぶ安く買えるようになっていますが、その分、税法上の取り扱いは非常に難しくなっています。
今回はそんな防犯カメラの設置・交換の税法上の取り扱いについてまとめていきましょう。
防犯カメラの取得単位の判定について
防犯カメラの耐用年数や償却方法を決定する場合、目の前にある防犯カメラのどこまでが一つの資産かを判定することが重要になります。
防犯カメラ単体ならば、3万円前後で購入できてしまいますが、防犯カメラとディスプレー、レコーダー、ケーブル等がセットならばもっともっと値が張ることになります。
税法上は、固定資産の取得価額の判定については、単独で機能を発揮する単位をまとめて1つの固定資産の取得価額としています。
これを防犯カメラに当てはめると、防犯カメラとして機能するためには、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブル等が1組としてセットになって販売されていることが通常であり、それぞれ単独では想定される機能を発揮することはできないので、セット全体で1つの固定資産を取得したと判定することになります。
ただし、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブル等をそれぞれ違う用途に使う目的で別々に購入しており、今回はたまたま防犯ビデオカメラシステムとして一緒に使用しただけならば、それぞれの購入が別の固定資産を取得していると判断でき、個々に固定資産の取得価額の判定を行うことも考えられます。
防犯カメラの耐用年数はどうなる?
防犯カメラがセットで固定資産の取得と判断されるか、①ビデオカメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブル等の個々の単位ごとで取得と判断されるかで防犯カメラの耐用年数も変わってきますので、区別して考えていきましょう。
セットとして固定資産の取得になる場合
まず、防犯カメラのセットでの取得価額が10万円未満(青色申告の場合30万円未満)の場合、固定資産の取得であっても、重要性が乏しいので消耗品費として経費に計上されることが税法上も認められています。
防犯カメラのセットでの取得価額が10万円以上(青色申告の場合は30万円以上)の場合、器具・備品のうち、構造・用途は事務機器、通信機器となり、細目はインターホン、放送用設備にあたり、耐用年数は6年になると考えられます。
個々の単位ごとで取得と判断される場合
まず、個々の固定資産の取得価額ごとに10万円未満(青色申告の場合30万円未満)の場合、固定資産の取得であっても重要性が乏しいので消耗品費として経費に計上されることになります。
個々の固定資産の取得価額ごとに10万円以上(青色申告の場合30万円以上)の場合、個々の固定資産ごとに器具・備品のうち構造・用途、細目がどこにあたるかを考えて耐用年数を決めることになります。
例えば、防犯カメラならば構造・用途は光学機器、写真製作機器、細目はカメラ、映画撮影機、映写機、望遠鏡で耐用年数は5年になります。
ディスプレー・レコーダーならば、構造・用途は事務機器、通信機器、細目はその他の事務機器で耐用年数は5年になります。
接続のためのケーブル等は10万円以上になることは考えられないので、消耗品費として経費処理することになります。
セットで固定資産と判断した防犯カメラの一部を交換した場合
防犯用ビデオカメラシステムとして、①防犯カメラ、②ディスプレー、③レコーダー、④ケーブル等をセットで固定資産に計上していた場合に、防犯カメラの一台が壊れたため取り替えを行うことがあります。
また、レコーダーの記憶媒体であるハードディスクの容量がいっぱいになってしまったため、取り替えを行うことも頻繁に発生するでしょう。
この場合、税法上どのように経理処理するかというと、古くなった固定資産の除却と新しい固定資産の取得と考えます。
つまり、防犯カメラやハードディスクを除却するため、該当部分の未償却残高(取得価額―減価償却累計額)を除却損として経費に計上するとともに、新しく購入した防犯カメラやハードディスクを固定資産産として計上することになります。
ただし、交換した防犯カメラ・ハードディスクが10万円未満(青色申告ならば30万円未満)ならば、重要性が乏しいので交換した時の費用を修繕費や消耗品費として経費に計上するだけで処理を終わらせることも可能です。