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建物・建物附属設備・構築物の違いとは?区分の判定と耐用年数を税理士が解説

2026 6/13
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不動産の税金
2017年5月22日2026年6月13日
建物・建物附属設備・構築物を区分し、減価償却費(経費)を増加させよう

「エアコンは建物の一部? 駐車場の舗装はどの勘定科目?」――固定資産の経理で、建物・建物附属設備・構築物の違いに迷う方は多いものです。

実はこの3つの区分を正しく分けるかどうかで、毎年の減価償却費(経費にできる金額)が数十万円単位で変わることがあります。

この記事では、3つの区分の定義と具体例、迷いやすい資産の判定、区分するだけで経費が増える計算例までを、不動産業専門の税理士がわかりやすく解説します。

目次

建物・建物附属設備・構築物の違い【早見表】

建物・建物附属設備・構築物の3つは、「建物に固着しているか」と「土地に定着しているか」で区分が決まります。

減価償却(=固定資産の購入代金を、決められた年数に分けて毎年経費にしていく手続き)では、資産の区分ごとに耐用年数(=税法で決められた、経費に分ける年数)が変わります。

耐用年数が違えば、毎年の経費の額も変わります。

まずは3つの違いを早見表で確認しましょう。

区分定義具体例耐用年数の目安
建物屋根・壁・柱からなる工作物マンション・事務所・倉庫22〜50年
建物附属設備建物に固着して機能する設備電気・給排水・空調・エレベーター多くは13〜17年
構築物土地に定着する建物以外の工作物駐車場の舗装・塀・庭園・広告塔10〜30年など

実際に判定するときは、次の順番で当てはめていくと迷いません。

STEP
屋根・壁・柱があるか確認する

人が中で過ごす建造物なら建物です。マンション・事務所・倉庫などが当てはまります。

STEP
建物に固着して機能する設備か確認する

電気・給排水・空調など、建物と一体で使われる設備なら建物附属設備です。

STEP
土地に直接定着する工作物か確認する

建物以外で土地に定着している舗装・塀・庭園などは構築物です。

STEP
どれにも当てはまらない場合

単体で動かせる機器や家具は器具備品として登録します。

ここからは、3つの区分を1つずつ、具体例と耐用年数つきで見ていきます。

建物とは|屋根・壁・柱からなる工作物

建物とは、土地の上に建てられた、屋根・壁・柱からなる工作物のことです。

賃貸マンション・アパート・事務所・店舗・倉庫など、人が中で過ごすことを目的とした建造物が建物に当たります。

建物の耐用年数は構造と用途で細かく分かれています。賃貸経営に関係の深いものを表にまとめました。

構造・用途耐用年数
鉄筋コンクリート造(事務所用)50年
鉄筋コンクリート造(住宅用)47年
鉄筋コンクリート造(店舗用)39年
金属造(事務所用、骨格材4mm超)38年
金属造(店舗用・住宅用、骨格材4mm超)34年
木造(事務所用)24年
木造(店舗用・住宅用)22年

注意したいのは、内装工事(内部造作)の扱いです。内部造作(=内装工事でつくられた壁・天井・棚など)は独立した資産や附属設備にはせず、建物の耐用年数で償却するのが原則です(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-2-3)。内部造作の判定は関連記事「内部造作の耐用年数は何年?」で詳しく解説しています。

次は、この建物に「くっついて」機能する建物附属設備です。

建物附属設備とは|建物に固着して機能する設備

建物附属設備とは、電気・給排水・ガス・空調など、建物に固着して建物の機能を高める設備のことです。

ポイントは「建物と一体になって使われるかどうか」です。

同じ照明でも、建物に固定された照明設備は建物附属設備になり、置き型のスタンドライトは器具備品になります。

耐用年数省令の別表第一に掲げられている主な建物附属設備と耐用年数は、次のとおりです。

建物附属設備の種類耐用年数
電気設備(照明設備を含む・蓄電池電源設備以外)15年
給排水・衛生設備、ガス設備15年
冷暖房設備(冷凍機の出力22kW以下)13年
昇降機設備(エレベーター)17年
消火・排煙・災害報知設備、格納式避難設備8年
エヤーカーテン、ドアー自動開閉設備12年
可動間仕切り(簡易なもの/その他)3年/15年

建物本体が最長50年かけて償却するのに対し、建物附属設備の多くは13〜17年と、耐用年数が大幅に短いことがわかります。この差が、後ほど説明する節税効果の源になります。

続いて、建物に固着せず、土地に直接定着する構築物を見てみましょう。

構築物とは|土地に定着する建物以外の工作物

構築物とは、土地の上に直接つくられた、建物以外の建造物や工作物のことです。

屋根・壁・柱がなく、人がその中で過ごすことを目的としていない点が建物との違いです。

賃貸物件のまわりでは、駐車場の舗装や塀(フェンス)が代表例です。

不動産オーナーに関係の深い構築物と耐用年数をまとめます。

構築物の種類耐用年数
舗装路面(アスファルト敷)10年
舗装路面(コンクリート敷)15年
へい(コンクリート造)15年
緑化施設・庭園(工場緑化施設以外)20年
広告塔など広告用のもの(金属造/その他)20年/10年

月極駐車場のアスファルト舗装は10年で償却できるなど、構築物も建物より耐用年数が短いものが中心です。

定義がわかっても、実務では「どちらに入れるか」迷う資産が必ず出てきます。

次の章で代表例を判定します。

区分に迷いやすい固定資産の判定例

エアコンや看板といった同じ固定資産でも、設置のされ方によって建物附属設備・構築物・器具備品の区分は変わります。

建物に固着していれば建物附属設備、建物以外で土地に定着していれば構築物、単体で動かせれば器具備品が目安です。

実務でご質問の多い4つの資産について、判定の分かれ目を表にしました。

固定資産区分判定の分かれ目
エアコン建物附属設備(13年)または器具備品(6年)ダクトで広範囲を冷暖房するもの→建物附属設備。壁掛け型など単体の機器→器具備品
看板構築物(広告用)または器具備品野立て看板・広告塔→構築物(建物の屋上に設置した広告塔も構築物。耐用年数通達2-3-5)。ネオンサインや置き型の簡易な看板→器具備品(3年)
間仕切り建物附属設備(3年/15年)または建物取り外して他の場所で再使用できるパネル式など→建物附属設備の「可動間仕切り」(耐用年数通達2-2-6の2。動かせても器具備品にはしない例外)。固定されて動かせないもの→建物
駐車場の舗装構築物アスファルト敷10年・コンクリート敷15年

それでも迷ったときのために、確認すべき2つの質問を挙げておきます。

  • 取り外して動かせるか → 机や置き型の看板のように動かせるなら器具備品、建物に固定されていれば建物附属設備または建物(※パネル式の可動間仕切りだけは、動かせても例外的に建物附属設備)
  • 建物とセットで機能するか → エレベーターや給排水設備のように建物があって初めて機能するなら建物附属設備、塀や駐車場の舗装のように建物と関係なく機能するなら構築物

区分の仕方がわかったところで、本題である「区分すると経費が増える仕組み」を数字で確認しましょう。

区分するだけで減価償却費が増える【計算例】

同じ取得価額でも、耐用年数の短い建物附属設備や構築物を分けて計上するほど、毎年の減価償却費は増えます。

建物附属設備(15年前後)や構築物(アスファルト舗装10年など)の耐用年数は、建物(47年など)に比べて大幅に短いためです。

ここでは計算を分かりやすくするため、建物附属設備だけを区分する次の前提で、定額法(=毎年同じ金額を経費にしていく減価償却の方法)により比較してみます。

前提条件内容
建物鉄筋コンクリート造の賃貸マンション(居住用)
建物の取得価額1億円(土地を除く)
内訳建物8,000万円+建物附属設備2,000万円
償却方法定額法(償却率:47年=0.022/15年=0.067)

全額を建物で計上した場合と、建物附属設備に区分した場合の減価償却費は次のとおりです。

経理方法毎年の減価償却費計算式
全額を建物で計上年220万円1億円×0.022
建物と附属設備に区分年310万円建物:8,000万円×0.022=176万円
附属設備:2,000万円×0.067=134万円

区分しただけで、毎年の経費が90万円増える計算です。仮に税率30%なら、年間約27万円の税負担が軽くなります。

なお、経費にできる総額はどちらの方法でも同じです。区分のメリットは「経費を早く計上して税金の支払いを後ろに送れる」(課税の繰延)という点にあります。税金の支払いが先送りになるぶん手元にお金が残るため、借入返済のある賃貸経営では効果の大きい対策です。

効果が大きい一方で、区分には税法上の注意点もあります。

区分するときの注意点3つ

建物・建物附属設備・構築物の区分には税法上のルールがあり、次の3点に注意が必要です。

①鉄筋コンクリート造などは附属設備の区分が原則(木造は一括も可)

建物附属設備は、建物本体と区分して附属設備の耐用年数を適用するのが原則です(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-2-1)。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物で、附属設備を建物に含めたまま47年などの長い耐用年数で償却するのは、原則に反するうえ経費の計上も遅れます。

建物の構造ごとの扱いを表で整理すると、次のようになります。

建物の構造附属設備の扱い
鉄筋コンクリート造・鉄骨造・れんが造など建物と区分して附属設備の耐用年数を適用(原則)
木造・合成樹脂造・木骨モルタル造区分が原則だが、建物と一括して建物の耐用年数を適用してもよい

例外として、木造・合成樹脂造・木骨モルタル造の建物の附属設備だけは、建物と一括して建物の耐用年数を適用できます。

木造の耐用年数はもともと短いため、区分する手間と効果を比べて選択する余地があります。

②平成28年4月1日以後に取得した附属設備・構築物は定額法のみ

以前は初期の償却費が大きくなる定率法も選べましたが、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備と構築物の償却方法は定額法のみです(国税庁タックスアンサーNo.2100)。

資産区分ごとの償却方法を表にまとめました。

資産区分取得時期償却方法
建物平成10年4月1日以後定額法のみ
建物附属設備・構築物平成28年4月1日以後定額法のみ
器具備品(参考)現在定額法または定率法

古い書籍やサイトの「附属設備は定率法でさらに有利」という情報は、現在は使えません。

③中古建物の取得時は内訳がわからないと区分が難しい

中古建物を取得したときは、新築時の見積書や請求書が手に入らず、建物・建物附属設備・構築物の金額の内訳がわからないことがよくあります。

合理的な按分が難しい場合に全額を建物として計上することは、明文の取扱いがなく個別判断となるため、迷ったら税理士にご相談ください。

なお、中古建物の耐用年数そのものの計算方法は、関連記事「中古物件の耐用年数の計算方法」で解説しています。

最後に、この記事の要点を整理します。

まとめ|「建物に固着・土地に定着」で3つを区分する

建物・建物附属設備・構築物の区分は、固定資産に登録する時点で正しく分けることが大切な節税ポイントです。

この記事のポイントは次のとおりです。

  • 建物=屋根・壁・柱のある工作物(耐用年数22〜50年)
  • 建物附属設備=建物に固着して機能する設備(多くは13〜17年)
  • 構築物=土地に定着する建物以外の工作物(アスファルト舗装10年など)
  • 区分するだけで毎年の減価償却費が増え、課税の繰延になる
  • 鉄筋コンクリート造などは附属設備を区分して償却するのが原則(木造・合成樹脂造・木骨モルタル造は建物と一括も可)
  • 平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物の償却方法は定額法のみ
  • 中古建物の取得時は、内訳を合理的に見積もれる場合に限り区分できる(難しければ全額を建物として計上するのが実務的な対応)

建物の取得時にどこまで区分できるかは、資料の残り具合や金額によって変わります。

判断に迷う場合は、税理士に早めに相談すると安心です。

建物・建物附属設備・構築物に関するよくある質問

最後に、よくいただく質問と回答をまとめました。

建物附属設備と構築物の違いは何ですか?

建物に固着して機能するものが建物附属設備、土地に定着している建物以外の工作物が構築物です。

電気設備や空調は建物附属設備、駐車場の舗装や塀は構築物に当たります。

エアコンは建物附属設備と器具備品のどちらですか?

ダクトを通じて広範囲を冷暖房する設備は建物附属設備(冷暖房設備13年)です。

壁掛け型など単体で機能する機器は器具備品(6年)になります。

木造アパートでも建物附属設備を区分する必要がありますか?

木造・合成樹脂造・木骨モルタル造の建物の附属設備は、建物と一括して建物の耐用年数を適用できます(耐用年数通達2-2-1)。

建物附属設備の短い耐用年数を使いたい場合は、区分して計上することも可能です。

中古マンションで建物と建物附属設備の内訳がわからない場合はどうすればよいですか?

本来中古マンションを取得した時は、見積書などの信頼できる資料から建物・建物附属設備を区分します。

ただし、見積書などの信頼できる資料が残っていない場合は、建物と建物附属設備の内訳を把握することは極めて困難です。

その場合、全額を建物として計上するのが実務的な対応ですが、税法に定めらている訳ではなく、建物ごとの個別判断になるため、税理士への相談をおすすめします。

関連記事

  • 内部造作の耐用年数は何年?自己所有と賃借の判定を税理士がわかりやすく解説
  • 中古物件の耐用年数の計算方法|簡便法と減価償却を税理士が解説
  • 2つ以上の用途や構造がある建物の耐用年数のまとめ!

出典・参考

  • 国税庁タックスアンサーNo.2100 減価償却のあらまし
  • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(e-Gov法令検索)
  • 国税庁 耐用年数の適用等に関する取扱通達 第2節 建物附属設備
  • 国税庁 耐用年数の適用等に関する取扱通達 第3節 構築物
  • 国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表(PDF)
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