この記事の対象者
  1. 減価償却の内容と計上の仕方を知りたい人
  2. 個人事業主や法人経営者で減価償却の注意点を知りたい人
  3. 定額法・定率法のメリット・デメリットを知りたい人




減価償却とはなにか

業務のために使用される、建物、建物附属設備、構築物、器具備品、車両運搬具などは、時間が経過するにつれて、価値が減少していきます。

一方で、土地や借地権などは、業務に使用されても古くならないため、時間が経過しても価値の減少はありません

価値が減少していく資産を減価償却資産というのですが、減価償却資産の取得価額は、取得した時に全額を経費に計上するのではなく、減価償却資産の使用可能期間に渡って、分割して経費に計上していきます。

使用可能期間は耐用年数と呼ばれ、税法に従って決められています。

つまり、減価償却とは、減価償却資産の取得価額を各年度の経費として配分していく手続きのことを言います。

減価償却には定率法と定額法がある

減価償却とは、減価償却資産の取得価額を各年度の経費として配分していく手続きのことでしたが、経費の按分の方法には定率法定額法の2つの方法があります。

なお、10万円未満の減価償却資産は重要性がないため、減価償却を行わないで、全額購入年度の経費に計上します。

定率法

毎年、帳簿価額(取得価額-前年度までの減価償却費の累計額)に耐用年数より決定された償却率を乗じて算出した減価償却費を経費に計上していく方法です。

例えば、法定耐用年数6年の車(取得価額300万円)を定額法で減価償却する場合、300万円×0.333(法定耐用年数6年の場合の償却率)=99.9万円が1年目の経費に計上され、(300万円-99.9万円)×0.333=666,333円が2年目の経費に計上されることになります。

定額法

毎年同額ずつを減価償却として経費に計上していく方法です。

例えば、法定耐用年数6年の車(取得価額300万円)を定額法で減価償却する場合、300万円÷6年=50万円/年が各年度の経費に計上されることになります。

定率法と定額法のメリット・デメリット

定率法のメリット・デメリット

メリット

初期段階で経費を多く計上できる。

デメリット

後半になるにつれて計上できる経費が少なくなる。

定額法のメリット・デメリット

メリット

経費が毎年一定なので、利益計画が立てやすい。

デメリット

定率法に比べて経費の計上速度が遅い。

定率法と定額法を事例で確認しよう

事例を通して、定率法と定額法の経費の計上額の違いを比べてみましょう。

法定耐用年数6年の車(取得価額300万円)を定額法と定率法で減価償却する場合の各年度の減価償却費を比べてください。
年度
定率法

定額法
①-②
差額
1年目 99.9万円 50万円 ̟+49.9万円
2年目 66.6万円 50万円 +16.6万円
3年目 44.4万円 50万円 △5.6万円
4年目 29.7万円 50万円 △20.3万円
5年目 29.7万円 50万円 △20.3万円
6年目 29.7万円 50万円 △20.3万円
合計 300万円 300万円 0円

合計の所を見て頂けると分かる通り、6年間経てば経費に計上される金額はともに300万円と変わりません。

ただし、1年目と2年目の定率法と定額法の差額を見比べて頂けると分かる通り、定率法の方が早く多くの経費を計上できます。

つまり、定率法の方が定額法と比べて、早期では減価償却費を通した利益の圧縮ができ、早期の納税額が少なくなります(最終的な納税額は定率法も定額法も変わりませんが…)。

納税額が減少すると手元に残るお金も多くなるので、余ったお金を新たな設備投資などに投下できることになります。

よって、序盤に減価償却を通して経費が多く計上される定率法の方が定額法より通常は有利になります。

個人事業主と法人で減価償却方法のルールは異なる

実は、減価償却方法のルールは個人事業主と法人で異なります。

ただし、個人事業主であっても法人であっても建物、建物附属設備、構築物は定額法が強制されます。

個人事業主の場合

まず、各年度で減価償却を行うことが強制されます。

そして、原則として減価償却の方法は定額法で処理されます。

ただし、税務署に届出書を提出すれば、資産の種類ごとに定率法も採用することができます。

法人の場合

法人では、各年度に減価償却を行うことは任意です。

赤字が計上されそうならば、各々の資産ごとに減価償却をするかしないかを決めることができます。

そして、原則として減価償却の方法は定率法で処理されます。

ただし、税務署に届出書を提出すれば、資産の種類ごとに定額法も採用することができます。

固定資産の取得日と減価償却開始日の関係について

固定資産の取得日は固定資産の引き渡しを受けた日又は固定資産の検収が完了した日になります(請求書の発行日付ではありません)。

それに対して、減価償却費の計算開始日は供用日(実際に減価償却資産を使い始めた日)になります。

よって、固定資産の取得日(引渡日又は検収日)と減価償却の計算開始日(供用日)は厳密には異なる可能性があることを覚えておいてください。

経理処理を行うための固定資産台帳には、「引渡日又は検収日」と「供用日」の両方を入力できるようになっている場合が多いので、両者の違いを知らないと間違えて入力するリスクがあります。

つまり、減価償却費は月数按分で計算するので、引渡日又は検収日から減価償却の計算を開始してしまうと、本来の減価償却開始日である供用日の間の月数分だけ減価償却費が過大に計上される可能性があるということです。