- 不動産取得税は①土地・建物を購入した時、②土地・建物「贈与」を受けた時に課税されます。
- 土地・建物の「相続」を受けた場合は、不動産取得税は課税されません。
- 不動産取得税の計算は、軽減措置が多く、煩雑ですので、都道府県税事務所に不動産取得税申告書を提出して、きちんと計算してもらいましょう。
- 不動産取得税の納税時期は、土地・建物の取得後、3か月~6か月後と遅いため、納税資金だけは残しておいてください。
不動産取得税とは
不動産取得税とは、土地や建物を取得した時に、取得した人に課税される税金です。
不動産取得税は、①土地・建物を購入した場合の買主、②建物を新築した人、③土地・建物の「贈与」を受けた人に課税されます。
ただし、「相続」で土地・建物を引き継いだ人には不動産取得税は課税されません。
相続で土地・建物を引き継いだ場合、相続人側が好き好んで不動産を取得しているわけではないので、不動産取得税を課してしまうのは酷だからです。
なお、不動産取得税は、取引価額の有無、登記移転の有無に関係なく、不動産を取得した人がいれば課税されます。
不動産取得税の計算方法について
不動産取得税の計算方法を理解するためには、①原則的な計算方法を理解した後に、②土地・建物それぞれの主な軽減措置適用後の計算方法を理解していく必要があります。
【不動産取得税の原則的な計算方法】
固定資産税評価額は、不動産の実際の購入価格や建築工事費ではなく、総務大臣が定めた固定資産評価基準によって評価し、決定された価格です。
土地の固定資産税評価額は、実際の購入価格のおよそ7割程度、建物の固定資産税評価額は、実際の購入価格や建築工事費の5割~6割程度と言われています(立地により異なるのであくまで目安)。
【土地の不動産取得税の軽減措置適用後の計算方法】
【建物の不動産取得税の軽減措置適用後の計算方法】
不動産取得税の計算例
不動産取得税の計算方法を理解するために以下の簡単な計算例で確認しましょう。
- 固定資産税評価額が以下の場合のときに不動産取得税を計算してください。
- 賃貸用の中古アパート(8戸)の購入
- 土地の固定資産税評価額:2,100万円(取得価格3,000万円)
- 建物(住宅)の固定資産税評価額:400万円(建築費用700万円)
- 【解答】
不動産取得税は43万5000円になります。【解説】
- 土地の不動産取得税=2,100万円÷2×3%=315,000円
- 建物の不動産取得税=400万円×3%=120,000円
- 合計=315,000円+120,000円=435,000円
※ 計算の結果、100円未満の端数が生じたときは切り捨て。
不動産取得税申告書を提出しよう!
不動産を取得した場合、不動産取得税申告書を60日以内(ただし、東京都は30日以内)に都道府県税事務所に提出しなければなりません。
ただし、不動産取得税申告書を提出しなくても、罰則はありません。
仮に、不動産取得税申告書の提出がされていなくても、不動産取得税の金額は確定され、後日、不動産取得税の納税通知書が取得者に送られてきます。
都道府県税事務所の方で、分かる限りの不動産取得税の軽減措置を適用した上で、不動産取得税の納税通知書は送られてきますし、送られてきた納税通知書の金額が間違っていた場合でも、納税者側で還付請求が出来ます。
では、なんのために不動産の取得者は不動産取得税申告書を提出する義務があるのでしょうか?
それは、都道府県税事務所に正確な不動産取得税を計算してもらうためです。
上記「不動産取得税の計算方法」のところで、不動産取得税の計算方法をざっくり説明しましたが、実はこれ以外にも細かい軽減措置の適用があります。
例えば、「新築」の賃貸用アパートを建設した時などには、不動産取得税を0円に出来るぐらいの軽減措置もあったりします。
不動産取得者が、軽減税率の適用の有無を自分で調べて、正しい納税額を算出するには限界があります。
都道府県税事務所に納税額を計算してもらうのが、一番正確な不動産取得税の算定方法であり、後で、再計算・還付請求のような非常に煩わしい追加作業を自分で行わなくても良いように、不動産取得税申告書はきちんと提出しておく必要があります。
不動産取得税の納税時期
不動産取得税は、都道府県税事務所が納税額を計算してくれることになります。
不動産取得後、3か月~6か月後に所在地の都道府県税事務所から不動産の取得者に対して、納税通知書と納付書が届き、納付書に記載されている金額を1か月以内に納付すればよいことになります。
不動産取得税の納税方法は、①都道府県税事務所・金融機関・郵便局窓口での支払い、②コンビニでの支払い、③クレジットカードでの支払い等、支払い方法も手軽なので、納税資金だけ忘れずに確保できていれば、問題なく納税できるでしょう。