「固定資産税は、なぜ毎年金額が変わるの?」と感じたことはありませんか。評価額の見直しは3年に1度なのに納税額が動くのには、いくつかの理由があります。この記事では、固定資産税が毎年変わる理由を初心者にもわかりやすく整理し、租税公課としての仕訳や節税のポイントまで、不動産に強い税理士が解説します。
固定資産税とは?まず押さえたい基本
固定資産税とは、毎年1月1日時点の土地・建物などの所有者に市町村が課す地方税です。持っているだけでかかる税金で、税額は「課税標準額×標準税率1.4%」で計算します。まずは関連する用語をやさしく整理しましょう。なお、固定資産税評価額は不動産購入時の税金(取得税・登録免許税)の計算でも使われます。
- 固定資産税
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毎年1月1日に土地・家屋などの不動産を持つ人へ、市町村が課す税金です。
- 都市計画税
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市街化区域の土地・家屋にかかる税金で、固定資産税とセットで納めます。税率の上限は0.3%です。
- 固定資産税評価額
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税額計算のもとになる土地・建物の価格です。総務省の基準にそって市町村が決めます。
- 課税標準額
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税率をかける前の、もとになる金額です。特例があると評価額より小さくなります。
評価額は3年に1度なのに、なぜ納税額は毎年変わるのか
評価額の見直し(評価替え=3年に1度の価格の改定)は3年ごとですが、納税額そのものは負担調整や特例の変化によって毎年動きます。直近の評価替えは令和6年度(2024年度)で、次回は令和9年度(2027年度)の予定です。つまり「評価額が変わらない年でも、税額は変わりうる」のがポイントです。
土地の評価額は、市街地では路線価(=道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格)をもとに計算されます。地価が上がっている地域では、負担調整措置によって課税標準額が前年より数%ずつ引き上げられるため、評価替えの年でなくても税額がじわじわ増えていきます。
固定資産税が毎年変わる5つの理由
毎年変わる主な理由は、次の5つです。とくに土地の負担調整措置と特例の変化を見落としがちです。
- 評価替え(3年に1度):令和6年度のような評価替えの年に、土地・建物の評価額が見直されます。
- 土地の負担調整措置:評価替えの間の年も、課税標準額が少しずつ上がるため税額が動きます(令和6年度改正で令和9年3月31日まで延長)。
- 家屋の新築・増築:建物を新築・増築すると、翌年から家屋分の評価額が加わって税額が増えます。大規模なリフォームでも評価が変わることがあります。
- 住宅用地の特例の変化:ご本人のご自宅だけでなく、賃貸アパートなど貸付用の敷地にも小規模住宅用地の特例(×1/6・戸数×200平方メートルまで)が使えます。ただし住宅を取り壊して更地にすると特例が外れ、土地の税額が急増します。
- 新築住宅の減額の終了:新築住宅は固定資産税が3年間(マンション等は5年間)1/2に減額され、賃貸用(貸家)も対象です(床面積40〜280平方メートル・居住割合1/2以上)。この期間が終わると減額がなくなり、税額が上がります。
固定資産税の計算方法と具体例
固定資産税は課税標準額×1.4%で計算します。住宅用地なら特例で課税標準額が大きく下がります。たとえば評価額1,200万円の小規模住宅用地(200平方メートル以下)では、次のようになります。
| 項目 | 金額・税率 |
|---|---|
| 土地の評価額 | 1,200万円 |
| 小規模住宅用地の特例 | ×1/6 |
| 課税標準額 | 200万円 |
| 標準税率 | 1.4% |
| 固定資産税額(年) | 約2万8,000円 |
計算は1,200万円×1/6=200万円、200万円×1.4%=約2万8,000円です。住宅を壊して更地にすると、この1/6の特例が外れて税額が大きく増えます。
固定資産税の仕訳と勘定科目(経理処理)
固定資産税の勘定科目は、法人・個人事業主ともに租税公課(=税金や公的な負担を経費にする科目)です。事業用の不動産にかかる分は経費にできます。仕訳のタイミング(賦課決定日・納期開始日・納付日のいずれか)は法人・個人事業主とも自由に選べ、一度決めたら毎年同じ方法を続けます(詳しくは次の章の比較表)。ここでは賦課決定日に計上する例で、法人・個人事業主の順に仕訳を見ていきましょう。
法人の場合
まず法人の例です。賦課決定日に1年分の税額(ここでは年2万8,000円とします)を未払金として計上し、各納期に納めるたびに取り崩します。賦課が決まったときの仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 2万8,000円 | 未払金 | 2万8,000円 |
固定資産税は年4回に分けて納付します。第1期分(2万8,000円÷4期=7,000円)を口座から納めたときは、計上済みの未払金を取り崩します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 7,000円 | 普通預金 | 7,000円 |
個人事業主の場合
個人事業主も勘定科目は租税公課で、事業用の不動産にかかる固定資産税は必要経費にできます。自宅兼事務所のように事業と私用で兼用している場合は、家事按分(=仕事で使う割合だけを経費にすること)を行い、事業で使う割合の分だけを経費にします。
事業で使う割合が40%なら、必要経費にできるのは2万8,000円×40%=1万1,200円だけです(残り1万6,800円は私用分)。賦課決定時は、この事業分1万1,200円のみを租税公課に計上します。按分割合は使用面積や時間など合理的な根拠で説明できるようにしておきましょう(割合が高いと税務調査で指摘されやすい点に注意)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 1万1,200円 | 未払金 | 1万1,200円 |
第1期分7,000円(2万8,000円÷4期)を事業用口座から納めると、事業分2,800円で未払金を取り崩し、私用分4,200円は事業主貸になります。法人と違い、納付のたびに私用分が事業主貸として出てくるのが個人事業主の特徴です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 2,800円 | 普通預金 | 7,000円 |
| 事業主貸 | 4,200円 |
経費計上のタイミングは3つ|どれを選ぶ?
経費にするタイミングは「賦課決定日」「納期開始日」「納付日」の3つから選べ、一度決めたら毎年同じ方法を続けます(継続性の原則)。
| 計上方法 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 賦課決定日に全額 | 納税通知書で税額が確定した時点で1年分を計上 | 最も早く経費化でき節税に有利 | 未払金の管理が必要 |
| 納期開始日ごと | 各納期が始まる日に、その期の分を計上 | 費用を納期に合わせて配分できる | 期ごとに分けて処理する手間がある |
| 納付日ごと | 実際に支払った日に支払額を計上 | 処理がシンプルで分かりやすい | 期末時点で未払いの納期分を当期の経費にできない。 |
固定資産税の金額に納得できないときの対応
固定資産税の評価額に疑問があるときは、縦覧制度と審査申出という2つの手続きで確認・不服申立てができます。通知された金額をそのまま払う前に、根拠を確認できる仕組みがあることを知っておきましょう。
まず縦覧制度では、毎年一定期間、市町村の窓口で他の土地・家屋の評価額と自分の資産を見比べられます。評価が高すぎると感じた場合は、納税通知書を受け取ってから原則3か月以内に、市町村の固定資産評価審査委員会へ審査の申出ができます。期限を過ぎると申立てできないため、通知書が届いたら早めに内容を確認することが大切です。
不動産オーナーが知っておきたい注意点と節税のコツ
固定資産税には、知らないと損する落とし穴があります。とくに更地化と免税点は必ず押さえましょう。
- 住宅を壊して更地にしない:小規模住宅用地の特例(×1/6)が外れ、土地の税額が最大で約6倍になることがあります。
- 免税点を確認する:同じ市町村内で土地30万円・家屋20万円(課税標準額)未満なら課税されません。
- 納期と継続適用:納期は年4回。経費計上の方法は毎年同じにそろえます。
- 納税通知書を保管する:税額の根拠や特例の適用状況を後から確認できます。
まとめ
固定資産税が毎年変わるのは、評価替え・負担調整・特例の変化が主な理由です。最後に要点を整理します。
- 評価替えは3年に1度でも、負担調整や特例の変化で税額は毎年動く。
- 勘定科目は租税公課。勘定科目は租税公課。賦課決定日・納期開始日・納付日のいずれかで継続して計上する。
- 更地化や特例終了に注意。事前に税理士へ相談すると無駄な税負担を防げる。
固定資産税が毎年変わる理由に不安がある不動産オーナーの方は、不動産に強い税理士にお気軽にご相談ください。 売却時の土地・建物の按分などは不動産売却の税金ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問(固定資産税が毎年変わる理由)
- 固定資産税は毎年同じ金額ではないのですか?
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評価替えや土地の負担調整措置、特例の終了などにより、毎年変わることがあります。
- 固定資産税の勘定科目は何ですか?
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租税公課で処理します。事業専用の不動産なら全額が経費になりますが、自宅兼事務所など事業と私用で兼用している場合は、家事按分して事業で使う割合の分だけが経費になります。
- 次の評価替えはいつですか?
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直近は令和6年度(2024年度)で、次回は令和9年度(2027年度)の予定です。
- 更地にすると固定資産税は上がりますか?
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住宅が建っていた土地を取り壊して更地にする場合は、住宅用地の特例(小規模住宅用地は1/6)が外れ、土地の固定資産税が最大で約6倍になることがあります。もともと住宅用地でない土地は特例の対象外なので変わりません。
- 固定資産税が高いと感じたら下げられますか?
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評価額に誤りがあれば見直される可能性があります。縦覧制度で近隣の似た土地・家屋の評価額と自分の資産を見比べ、高すぎると感じたら、納税通知書を受け取ってから原則3か月以内に審査の申出を行いましょう。


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