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役員借入金の契約書の作り方|無料ひな形・記載例のダウンロード付きで税理士が解説

2026 6/11
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会社の税金
2017年4月29日2026年6月11日
役員と会社間でお金の融通をする場合は、金銭消費貸借契約書を作成しよう

「社長が会社にお金を貸すとき、わざわざ契約書を作る必要はあるの?」——役員借入金は中小企業で最もよくある取引なのに、契約書なしで済まされがちです。

結論はシンプルで、金額にかかわらず金銭消費貸借契約書を作っておくべきです。

契約書がないと、税務調査や相続の場面で「貸したお金」だと証明できず不利益を受けるおそれがあります。

この記事では、不動産業専門の税理士が、役員借入金の契約書の作り方(記載事項8項目)から利息の設定・印紙税・仕訳まで、初心者向けにわかりやすく解説します。

そのまま使える契約書のひな形と記載例(Word)も無料でダウンロードできます。

目次

役員借入金とは?会社と社長のお金は別物

役員借入金とは、役員(社長)が会社に貸したお金のことで、会社側から見た負債の名前です。

会社と役員は法律上の別人格なので、お金も当然別物です。しかし中小企業では役員=出資者であることが多く、財布が事実上一体になりがちです。

役員のお金を会社の運転資金に入れる分には、大きな問題は起きません。

逆に、会社のお金を社長が自由に使うと、事前に届け出ていない役員賞与と認定されるリスクがあります。認定された場合の影響は次のとおりです。

立場賞与認定された場合の影響
会社側賞与とされた金額を損金(≒経費)にできない
役員側所得が増えたものとして所得税・住民税が追加でかかる

だからこそ、会社と役員の間のお金の移動は「貸し借り」であることを形に残す必要があります。

とはいえ「身内の会社なら契約書は不要では?」と感じる方も多いでしょう。次章でこの疑問にお答えします。

契約書は不要?口頭でも成立するが税務・相続で困る

法律上は契約書がなくてもお金の貸し借りは成立しますが、税務と相続の場面では、契約書がない貸し借りは不利です。

「身内の会社だから契約書は不要」と言われることがあるのは、貸し借り自体は口頭でも有効に成立するからです。

しかし、書面がないと次の場面で困ります。

  • 税務調査:会社に入れたお金が「貸付け」だと証明できないと、返済不要の利益(受贈益)と認定されて会社に課税されるおそれ。逆に会社から受け取ったお金は役員賞与と認定されるおそれ
  • 相続:役員借入金は社長の相続財産(貸付金債権)。契約書がないと残高や存在の証明が難しく、相続人間や税務署とのトラブルのもと
  • 金融機関:決算書の役員借入金について、返済条件などの説明資料を求められることがある

「作らなくても成立する」と「作らなくてもよい」は別の話です。では、何を書けばよいのでしょうか。

金銭消費貸借契約書のひな形:記載事項は8つ

役員借入金の契約書には、次の8項目を入れるのが標準的です。

記載事項書き方のポイント
① 貸主・借主貸主=役員個人の氏名、借主=会社名と代表者名
② 貸付金額「金◯◯円」と確定額で記載
③ 貸付日・方法振込日と振込口座(通帳記録と一致させる)
④ 返済期限「令和◯年◯月◯日まで」など。分割なら回数・各回金額
⑤ 返済方法振込・口座・毎月の返済日
⑥ 利息無利息なら「無利息とする」と明記(後述)
⑦ 遅延損害金・期限の利益喪失入れておくと契約書としての体裁が整う
⑧ 作成日・署名押印貸主・借主双方が保管(2通作成)

ポイントは③の振込記録との一致です。契約書と通帳がセットで揃ってはじめて、貸付けの実在を証明できます。現金手渡しは記録が残らないため避けましょう。

【無料ダウンロード】この記事で解説した記載事項をそのまま盛り込んだ、契約書のひな形と記入例(Wordファイル)を無料で配布しています。ご利用はご自身の判断と責任でお願いいたします。ご利用により生じたいかなる損害についても、当事務所は責任を負いかねます。

  • 金銭消費貸借契約書のひな形(役員→会社用・Word形式)
  • 記載例(記入見本+分割返済・利息ありの条文例つき・Word形式)

次に、迷いやすい「利息をどうするか」を整理します。

利息はどうする?貸す方向で扱いが変わる

利息の税務は、「役員→会社」と「会社→役員」で扱いがまったく異なります。

役員 → 会社に貸す場合(役員借入金)

社長が自分の会社にお金を貸すときは、無利息でかまいません。

役員は利息を受け取っていない以上、課税される所得がなく、会社にも通常、追加の課税は生じないためです。

利息を取る場合は、会社が役員に支払った利息が会社の損金(経費)になります。

利息を受け取った役員には、雑所得として所得税がかかります(会社による源泉徴収は不要)。

なお、給与以外の所得が年20万円以下なら、役員側の所得税の確定申告は不要になります。

1点だけ注意点として、会社が市中金利より明らかに高い利息を役員に支払うと、高すぎる部分が役員への給与と認定されるおそれがあります。利率は市中金利並みにとどめましょう。

会社 → 役員に貸す場合(役員貸付金・参考)

逆に、会社が役員にお金を貸す場合は扱いが厳しくなります。無利息や低すぎる利率で貸すと、課税の問題が生じます。

まず役員側では、本来支払うべき利息(国税庁が定める利率で計算したもの)と、実際に支払った利息との差額に、役員への給与として所得税がかかります。

会社側では、その差額を受取利息として収益に計上し、同じ金額を役員への給与として扱います。

給与とした分には源泉徴収が必要です。

この給与課税を避けるには、会社が、貸付けを行った年に応じた利率(令和4〜7年中の貸付は年0.9%)以上の利息を取っておく必要があります。

最新の利率は国税庁タックスアンサーNo.2606で確認してください。

次は、契約書に貼る印紙の話です。

印紙税はいくら?金銭消費貸借契約書は課税文書

金銭消費貸借契約書は印紙税の第1号文書にあたり、記載した金額に応じた収入印紙が必要です(国税庁No.7140)。

契約書に記載した金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円超〜50万円以下400円
50万円超〜100万円以下1,000円
100万円超〜500万円以下2,000円
500万円超〜1,000万円以下1万円
1,000万円超〜5,000万円以下2万円
金額の記載がないもの200円

収入印紙を節約するには、甲乙双方が署名押印した原本を1通だけ作成して会社が保管し、役員はそのコピーを保管する方法があります。単なるコピーは課税対象にならないため、印紙は原本1通分で済みます(国税庁No.7120)。契約そのものは当事者の合意によって有効に成立しているため、原本が1通でも契約の効力に影響はありません。万一争いになった場合は、双方の署名押印が写ったコピーも契約内容の証拠になります。

契約書が整ったら、あとは帳簿に正しく記録するだけです。

役員借入金の仕訳

仕訳はシンプルで、借りたとき=役員借入金(負債)の増加、返したとき=減少です。

【例】社長から会社が運転資金300万円を借り入れた(無利息・期限1年):

借方金額貸方金額
現金預金300万円役員借入金300万円

期限に全額を返済した:

借方金額貸方金額
役員借入金300万円現金預金300万円

利息を支払う場合は、会社側と役員側で次のように取り扱います。

まず会社側です。

役員から300万円を年1.0%で借りていて、当月分の利息2,500円を普通預金から支払った場合、仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
支払利息2,500円普通預金2,500円

この支払利息は損金に算入できます。

また、支払先が個人である役員でも、源泉徴収は不要です。

源泉徴収が必要な利子は、預貯金の利子や公社債の利子などに限られるためです。

一方、利息を受け取った役員側では、その利息は雑所得として所得税の課税対象になります。

給与のように源泉徴収されないため、原則として確定申告で申告します。

ただし、給与以外の所得の合計が年20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要になります。

最後に、役員借入金を放置した場合の最大のリスクを確認します。

放置は危険:役員借入金は社長の相続財産になる

役員借入金は、社長から見れば会社への貸付金=財産であり、亡くなったときは相続財産として相続税の対象になります。

しかも貸付金債権は原則として額面(元本+未収利息)で評価されます(財産評価基本通達204)。

会社の業績が悪く実際には返してもらえそうになくても、回収不能と認められる場合は限定的で、額面で課税されるのが原則です。

役員借入金が大きく膨らんでいる会社は、早めに残高を減らす対策を検討しましょう。

具体的な方法は次の記事で解説しています。

  • 役員借入金のメリット・デメリットと清算方法
  • 債権放棄で役員借入金を減らす方法
  • 代物弁済で役員借入金を減らす方法

以上を踏まえて、要点をまとめます。

まとめ:貸し借りの証拠を「契約書+振込記録」で残す

役員借入金の管理は、「契約書を作る → 振込で記録を残す → 帳簿に記録する」の3点セットが基本です。

  • 契約書は8つの記載事項(貸主借主・金額・貸付日・返済条件・利息など)を押さえる
  • 役員→会社は無利息でも課税されないのが一般的。会社→役員の無利息は給与課税に注意
  • 紙の契約書には金額に応じた収入印紙が必要。1通をコピーで済ませれば、印紙代の節約になる
  • 役員借入金は社長の相続財産(原則額面評価)。膨らむ前に清算も検討

【参考】国税庁の公式情報

  • タックスアンサーNo.7140「印紙税額の一覧表(その1)」
  • 4タックスアンサーNo.7120「契約書の写し、副本、謄本など」
  • タックスアンサーNo.2606「金銭を貸し付けたとき」
  • 財産評価基本通達204(貸付金債権の評価)

よくある質問

契約書を作らずに貸し借りした分は、どうすればいいですか?

今からでも契約書を作る意味があります。

契約書がないままだと、税務調査で貸付けの実在を疑われたときや、社長に相続が起きたときに、貸付けの金額や条件を証明する手段がないためです。

具体的には、過去の貸付日・金額を通帳の記録で特定し、現在の残高を確認したうえで、債務承認弁済契約書(=これまでの借入残高を確認し、返済条件を定める契約書)を作成する方法が実務的です。

なお、過去の日付にさかのぼって契約書を作るのは避けてください。

会社と社長の貸し借りに、株主総会や取締役会の承認は必要ですか?

会社から役員へ貸す場合は利益相反取引にあたるため、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の承認が必要です。

役員から会社へ無利息で貸す場合は、会社が一方的に利益を受けるため原則承認不要とされていますが、利息を取る場合は承認を得ておくと安全です。

毎月少しずつ会社にお金を入れています。その都度契約書が必要ですか?

貸付けの上限額(極度額)と基本条件を定めた基本契約書を1本作り、個別の貸付けは振込記録で管理する方法が実務的です。

年に1回、残高を確認する書面を作っておくとより確実です。

社長への返済はいつでもしていいですか?

構いません。

役員借入金の返済自体には税金はかかりません(元本の返済は社長の所得にならない)。

ただし資金繰りを崩さない範囲で計画的に返済し、帳簿と契約書の残高を一致させておきましょう。

会社の税金
リライト済み2026-06 会社の税金
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