法人が土地・建物を購入する事例は、不動産会社でなくても生じる可能性のある事象です。

もし、あなたが経理担当者で、不動産売買契約書から按分して土地・建物の取得価格を決定しなければならない場合、どのように処理すれば良いでしょうか?

実は、土地・建物の按分は、税務上明確な判断基準がなく、非常に困るところです。

そこで、今回は土地・建物購入時の取得価額の按分方法と注意点についてみていきましょう。




この記事のポイント
  1. 土地・建物の按分方法は①土地・建物の固定資産税評価額で按分する方法、②契約書の消費税価格から土地・建物を按分する方法等が考えられる。
  2. 土地・建物の固定資産税評価額で按分する方法の場合、固定資産税・都市計画税課税明細書の「価格」を基準とする。
  3. 契約書の消費税価格から土地・建物を按分する方法の場合、契約書の消費税額は任意なため多少の恣意性が介入する可能性がある

土地・建物の按分方法(取得価額の決定方法)

一般的に土地・建物を購入する場合、不動産売買契約書は土地・建物合わせて一本で結ばれます

よって、土地・建物の価格は一本で〇〇〇万円と不動産売買契約書上記載されますが、経理担当者が仕訳をする上では、土地と建物に価格を分けなければなりません

このための按分方法はいくつかあるのですが、税務上、特にどの方法でやるか決められていません

そこで、今回は、一番実態に近くなる方法を二つ紹介します。

とりあえず、この2つの方法で土地・建物の按分計算をして、両者の間に大きな差が出たら、実態に近くなるように調整してやる必要があると考えらます。

土地・建物の按分方法
  1. 土地・建物の固定資産税評価額で按分する方法
  2. 契約書の消費税価格から土地・建物を按分する方法


土地・建物の固定資産税評価額で按分する方法

まずは、土地・建物の固定資産税評価額で按分する方法を見ていきましょう。

固定資産税・都市計画税課税明細書の入手

売主から土地・建物を取得する際、固定資産税の清算金を確定するために固定資産税・都市計画税課税明細書を入手します(コピーや代替え書類の場合もあります)。

固定資産税・都市計画税は、1年分の税額を「事前」に計算し、その年の1月1日時点の所有者を納税義務者として定めています。

そして、固定資産税・都市計画税の清算とは、売主が既に1月1日の時点で払うことが確定している固定資産税・都市計画税のうち、不動産購入以降、本来は買主が負担しなければならない固定資産税・都市計画税の金額を不動産売買時に清算することを言います。

固定資産税は1月1日の時点で所有している人に課税される税金のため、当期の途中で固定資産を購入した場合、買主は売主に対して残余期間分の固定資産税を清算する必要があるということです。

よって、不動産の売主と買主が固定資産の清算をするために固定資産税・都市計画税課税証明書は必ず買主にも開示されます

土地・建物按分上の注意点

不動産購入時には、固定資産税・都市計画税課税明細書の「価格」の部分で土地・建物を按分することになります。

按分時に注意したいのは「課税標準額」や「納税額」で土地・建物を按分するのではないということです。

例えば、住宅用地ならば、「課税標準額」は特例により元々の「価格」より低く設定されていますし、「納税額」は「課税標準額」を元に計算するので同じように低く設定されています。

特例を採用した土地と原則通り評価された建物の「課税標準額」や「納税額」を按分割合として利用しても実態に合わなくなりますのでご注意ください。


契約書の消費税価格から土地・建物を按分する方法

次に、不動産売買契約書の消費税価格から土地・建物を按分する方法を見ていきましょう。

不動産売買契約書では消費税額が記載されている

土地・建物の売買契約を行う場合、契約書の中に消費税の価格が記載されています

売買契約書の中に記載されている消費税価格ですが、土地は消費税非課税の為、建物の消費税価格ということになります。

よって、契約書に書かれている建物の消費税価格を消費税割合で割り戻してやれば、建物の本体価格がわかります

そして、売買契約書記載の合計金額から判明した建物価格を差し引いてやれば、土地の価格が分かります

按分の際の注意点

契約書の消費税価格から土地・建物を按分する方法の注意点として、土地・建物の購入と売却がすぐに起きる場合が挙げられます。

この場合、購入時に入手した売買契約書と売却時に入手した売買契約書に消費税価格が記載されていることになります。

そして、売買契約書の消費税価格は当事者の合意による記載金額なので、購入時の消費税価格と売却時の消費税価格がまるで違うことがあります。

同じような時期に購入・売却した建物なのに、消費税価格から計算すると、購入時と売却時の建物の評価額がまるで違うという自体が生じてしまいます。

もし、私が税務調査官ならば、「契約書の消費税から割り戻した建物価格が正しい建物価格ではないじゃないか?」という疑問が生じてしまいます

よって、少なくとも同じ不動産の売買を直近で行う場合、購入時と売却時の不動産売買契約書の消費税価格は注意する必要があります

なお、直近での購入・売却でも景気の動向により、大きく建物価格が変動していること等イレギュラー事項も当然ありますので、もし、購入時と売却時で消費税価格が乖離する場合、その根拠をきちんと残しておく必要があるでしょう。