中小企業での普通預金の仕訳と期末日に追加計上する売上高等について!





普通預金の仕訳は簿記の基礎であり、簿記の勉強をしたことがある人ならば誰でも分かるはずです。

しかし、実際の中小企業(個人事業主を含む)の経理現場では、普通預金の仕訳方法だけ知っていても不十分です。

普通預金の仕訳を知りつつ、普通預金の仕訳の相手科目の意味を考えなければ、仕訳漏れを起こします。

そこで、今回は、①普通預金の仕訳を確認し、次に②普通預金の仕訳の相手科目の意味について考えていきましょう。




この記事のポイント
  1. 2つ以上普通預金口座がある場合は、「普通預金」という勘定科目を利用せず、「A銀行/東京支店」、「B銀行/横浜支店」と各々の金融機関ごとに勘定科目を変更し、特に銀行間預金振替処理を漏らさないように注意する。
  2. 中小企業の場合、普通預金の入出金日で売上高や仕入(経費を含む)を計上していることが多い。この場合、期末日に追加計上する売上高や仕入(経費を含む)がないかを出荷報告書(売上高)や納品書(仕入高)・請求書(経費)等でチェックする必要がある

普通預金の仕訳

金融機関口座を利用した取引の仕訳をする場合、「普通預金」という勘定科目を利用します。

なお、普通預金口座が複数ある時は、「普通預金」という勘定科目の代わりに「A銀行/東京支店」、「B信用金庫/埼玉支店」などのように、それぞれの金融機関名を勘定科目に設定してあげると業務効率が上がります。詳細については、「普通預金で会計帳簿(仕訳)と通帳残高の不一致を発生させないために!」をご覧ください。

普通預金は資産科目なので、増えたら借方減ったら貸方に記入します。

普通預金が増えた場合の仕訳

商品を売上げ、30万円が普通預金口座に入金された。
借方
金額
貸方
金額
普通預金
300,000円
売上高
300,000円

ATMより普通預金口座に10万円が入金された。
借方
金額
貸方
金額
普通預金
100,000円
現金
100,000円

普通預金が減った場合の仕訳

普通預金口座から電気代50,000円が引き落とされた。
借方
金額
貸方
金額
水道光熱費
50,000円
普通預金
50,000円

ATM取引により普通預金8万円が引き出された。
なお、時間外手数料100円が発生した。
借方
金額
貸方
金額
現金
支払手数料
80,000円
100円
普通預金
80,100円

銀行間預金振替仕訳

会社の銀行口座が2つ以上ある場合に、口座残高の調整などで、銀行間で預金振替を行うことがあります。

簿記理論上の仕訳を表すと以下の通りになります。

会社はA銀行東京支店とB銀行横浜支店に普通預金口座を持っている。
A銀行口座の引落しに備えるため、B銀行口座より20万円をA銀行口座に振り込んだ。
借方
金額
貸方
金額
普通預金
200,000円
普通預金
200,000円



借方も貸方も「普通預金」になり簿記理論上は全く意味のない仕訳に見えます

しかし、この銀行口座間の預金の振替仕訳は経理実務上非常に大きな意味を持ちます

経理実務上、普通預金口座の残高と会計帳簿の残高の一致は必ず確認しなければなりません

そして、普通預金口座の残高と確認しやすいように、会計帳簿でも、勘定科目を「A銀行」、「B銀行」と設定しているはずです(勘定科目ではなく補助科目で設定している場合もある)。

つまり、経理実務上は、銀行間預金振替仕訳は以下のようになります。

会社はA銀行東京支店とB銀行横浜支店に普通預金口座を持っている。
A銀行口座の引落しに備えるため、B銀行口座より100万円をA銀行口座に振り込んだ。
【勘定科目に銀行名を設定している場合】

借方
金額
貸方
金額
A銀行/東京支店
1,000,000円
B銀行/横浜支店
1,000,000円



【補助科目に銀行名を設定している場合】

借方
金額
貸方
金額
普通預金
(補助:A銀行東京支店)
1,000,000円
普通預金
(補助:B銀行横浜支店)
1,000,000円



この仕訳をしないとA銀行とB銀行の銀行口座残高と会計帳簿の残高は絶対合いませんが、経理実務初心者だと「普通預金同士が借方・貸方に計上される意味のない仕訳だ!」と思い、仕訳自体を飛ばしてしまうことがあります

経理実務経験者の方は「今更なにをいってるの?」と思うかもしれませんが、中小企業(個人事業主を含む)で普通預金の仕訳を作成するのは経理初心者が多いです。

「普通預金の口座振替仕訳は経理初心者の間違いやすい仕訳だ!」と認識していないと、月次などで普通預金口座残高と会計帳簿が一致せず、煩雑な原因究明をする羽目になるかも知れません。


中小企業(個人事業主を含む)の普通預金仕訳の相手科目について

中小企業では、普通預金の仕訳が分かっても、普通預金の仕訳の相手科目についてのルールを知らなければ、仕訳の計上漏れを起こします

仕訳計上漏れの主な例としては、仕入高(経費を含む)と売上高がありますが、今回は売上高の計上漏れリスクについて考えていきましょう。

まずは、「商品を売上げ、30万円が普通預金口座に入金された。」という問いをもう一度考えてみてください。

実は、この問いには、商品の売上日付(出荷日など)と普通預金への得意先からの入金日という前提条件が抜けています

通常の取引の場合、①商品を出荷した後、②得意先に請求書を発送して、③初めてお金が普通預金口座に入金されることになります。

つまり、売上高の計上日と普通預金への入金日は異なることになります。

よって、正しい問いにするならば、例えば、「2月1日に得意先に商品を出荷し、2月8日に得意先へ請求書を送り、3月4日に300円が普通預金に入金された」ということになります。

そして、正しい仕訳を示すならば、以下のようになります。



【商品を出荷した時の仕訳(2月1日)】

借方
金額
貸方
金額
売掛金
300円
売上高
300円



【得意先から普通預金に入金された時の仕訳(3月4日)】

借方
金額
貸方
金額
普通預金
300円
売掛金
300円

※ 売掛金とは、営業取引から発生する未収入金のことです。簡単に言うと、得意先に対するツケのことです。


ところが、中小企業(個人事業主を含む)の仕訳を見ると以下のような仕訳が行われいることが多いです。



【得意先から普通預金に入金された時の仕訳(3月4日)】

借方
金額
貸方
金額
普通預金
300円
売上高
300円

売掛金を相殺して、入金日に売上高を計上してしまうケースです。

中小企業(個人事業主を含む)の場合、仕訳が多くなることは業務処理量を増やすことになるため上記のような仕訳をすることも多いです。

そして、入金日に売上高を計上する方法も「期中であれば」全く問題ありません

ただし、「期末日」で考えた場合、出荷日は期末日前なので、当期の売上高に計上しなければならない取引が、入金日が翌期なので翌期の売上高に計上されてしまう可能性があり、注意が必要です。

もし、あなたの会社が普通預金の入金日に売上高計上をしているのであれば、期末日後に、得意先からまだ未入金でも、すでに商品等を出荷している取引を出荷報告書等で調べて、追加で以下の仕訳を行う必要があることに留意してください。



【売上高の追加仕訳(期末日終了後に期末日の日付で行う)】

借方
金額
貸方
金額
売掛金
✕✕✕円
売上高
✕✕✕円

本記事の最初でも普通預金の仕訳例として示したように、日本の場合、中小企業が非常に多いのと、期中取引が前提になるため、日付などをぼかして、定形的に、

(借方)普通預金 ✕✕✕円 / (貸方)売上高 ✕✕✕円

としていることが多いですが、この仕訳は実際には、売掛金が相殺された簡便な仕訳だということを理解しておいてください。

でないと、期末日に

売掛金 ✕✕✕円 / (貸方)売上だけ ✕✕✕円

という仕訳を追加計上することを忘れてしまいます。