この記事の要点整理
  • 土地・建物の譲渡による収益の計上は引き渡し日を基準に考えるのが原則。
  • ただし、契約締結日に収益計上している場合にはその経理処理も認められる

法人の場合、期末日間際で不動産売買が生じることもよくあるでしょう。

不動産売買から生じる損益は多額になり、法人の利益・損失に大きな影響を与えます

法人の当期の利益・損失状態によって、当期に損益を計上したい、翌期に損益を繰り延べたいというどちらのニーズもあると思います。

そこで、今回は知っていれば少しだけ土地・建物の譲渡収益の計上時期を調整できるかもしれないというお話をします。




まずは、事例から見ていきましょう

当社(決算日:3月末)は3月31日に土地の売買契約を締結し、4月15日に譲渡代金1億円の受け取りと権利証の授受を行ない、5月1日に登記が完了しました。

当社で計上している土地の帳簿価格は8,000万円なので、土地売却益2,000万円が発生しています。

この土地売却益は3月31日、4月15日、5月1日のどの日に収益に計上すべきでしょうか?

法人税法上は、原則として引き渡しがあったと認められる4月15日を含む事業年度に収益(益金)を計上することになります。

ただし、売買契約を締結した3月31日に売買契約の効力が発生したものとして、その日を含む事業年度の収益(益金)に計上することも認められます

なお、登記はあくまで第三者に対する対抗要件を獲得するための行為であり、当事者間の売買契約の効力発生要件には含まれないので、登記が完了した日(5月1日)は収益計上日の候補にはなりません(要注意!!)。

固定資産の譲渡による収益計上の時期

固定資産の譲渡による収益の額は原則としてその引渡しがあった日の属する事業年度の収益(益金)に算入します。

ただし、その固定資産が土地建物その他これに類する資産である場合、法人がその固定資産の譲渡に関する契約の効力発生日の属する事業年度の収益(益金)に算入した場合、税務上も法人の計算を認めています(法人税基本通達2-1-14)。

なお、所有権移転登記は民法上の第三者対抗要件であり、売買当事者間の取引には影響を与えないため、所有権移転登記の完了日を収益(益金)の計上時期と関係させることは出来ません

また、上記の設問は土地の売却取引です。

建物の場合は、鍵の授受という目に見える形での引き渡しがありますが、土地の引き渡しの場合、引き渡しの日がいつであるかが明確でない場合も多いです。

ただし、譲渡代金1億円を受け取り、権利証の授受を行った4月15日に、通常は、土地譲渡承諾書が当事者間で発行されているので、形式的にも引渡しがあったと確認することが出来るでしょう。

したがって、上記の設問の場合、原則的には4月15日を含む事業年度の収益(益金)に計上することとなりますが、売買契約を締結した3月31日に収益計上することも認められます

契約日基準で収益(益金)計上できるということが重要

売買契約を締結した日、引き渡しを受けた日のどちらを収益(益金)認識日とした方が有利になるかは法人によって異なりますが、必ずしも「引き渡しを受けた日で収益計上しなければならないということではない!」とだけは覚えておくと良いでしょう。

固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「六」により改正)