会社を経営すると、利益(所得)に対して法人税・法人住民税・法人事業税という3つの税金がかかります。
これらは納め先も計算方法も異なり、赤字でも納める部分があるため、仕組みを知らないと申告や資金繰りでつまずきがちです。
この記事では、3つの税金の計算方法・税率・計算例と、申告・納付の時期を、中小企業(資本金1億円以下)向けに税理士がわかりやすく解説します。
会社が納める3つの税金(法人税・法人住民税・法人事業税)
会社の利益にかかる主な税金は、法人税(国に納める税金)・法人住民税(都道府県と市区町村に納める税金)・法人事業税(都道府県に納める税金)の3つです。
まず、それぞれの用語を整理します。
- 法人税
-
会社が1年間に得た利益(所得)に対して発生する、最も基本となる税金です。
- 法人住民税
-
会社も地域の一員として負担する税金です。利益が少ない年や赤字でも、一定額がかかる部分があるのが特徴です。
- 法人事業税
-
会社が事業を行ううえで利用する、道路などの公共サービスを支えるために負担する税金です。
3つの税金の違いを早見表で確認しましょう。
| 税金 | 納め先 | 課税のもと | 赤字のとき |
|---|---|---|---|
| 法人税 | 国(税務署) | 所得(利益) | かからない |
| 法人住民税 | 都道府県・市区町村 | 法人税額+会社の規模 | 均等割はかかる |
| 法人事業税 | 都道府県 | 所得(利益) | かからない |
法人税の計算方法と税率
法人税は、所得(利益)× 税率で計算します。
中小法人(資本金1億円以下)の税率は、所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です。15%の軽減税率は特例で、令和9年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。
| 所得の区分 | 法人税率(中小法人) |
|---|---|
| 年800万円以下の部分 | 15% |
| 年800万円を超える部分 | 23.2% |
さらに、法人税額には国税の「地方法人税」が法人税額 × 10.3%でかかります。
たとえば、所得800万円なら、法人税は800万円×15%=120万円、地方法人税は120万円×10.3%=約12万円です。
法人住民税の計算方法(均等割+法人税割)
法人住民税は、定額の「均等割」と、法人税額に応じた「法人税割」の合計で計算します。
法人住民税 = 均等割 + 法人税割
均等割は、赤字でも最低7万円(資本金等1,000万円以下・従業員50人以下の場合。道府県民税2万円+市町村民税5万円)かかります。会社の規模が大きいほど高くなります。
法人税割は、法人税額 × 標準7.0%(道府県民税1.0%+市町村民税6.0%)で計算します。自治体によっては上限10.4%まで引き上げる場合があります。
たとえば法人税額120万円の会社なら、法人税割は120万円×7.0%=8.4万円、均等割7万円とあわせて法人住民税は約15.4万円です。
法人事業税の計算方法と税率
法人事業税は、所得 × 税率(標準3.5〜7.0%の3段階)で計算します(資本金1億円以下の普通法人)。
| 所得の区分 | 法人事業税率(標準) |
|---|---|
| 年400万円以下の部分 | 3.5% |
| 年400万円超〜800万円以下の部分 | 5.3% |
| 年800万円を超える部分 | 7.0% |
さらに、法人事業税(所得割)の額に対して国税の特別法人事業税が37%上乗せされます。
たとえば、所得800万円の会社なら、所得割は400万円×3.5%+400万円×5.3%=35.2万円、これに特別法人事業税37%(約13万円)を加えて、法人事業税は合わせて約48万円です。
3つの税金をまとめた計算例
具体例として、資本金500万円・所得800万円の中小企業のケースで、3つの税金の合計を計算します(各種控除を省いた概算です)。
| 税金 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 法人税 | 800万円 × 15% | 120万円 |
| 地方法人税(国税) | 120万円 × 10.3% | 約12万円 |
| 法人住民税(均等割) | 定額(資本金1,000万円以下・従業員50人以下) | 7万円 |
| 法人住民税(法人税割) | 120万円 × 7.0% | 8.4万円 |
| 法人事業税(所得割) | 400万円×3.5% + 400万円×5.3% | 35.2万円 |
| 特別法人事業税(国税) | 35.2万円 × 37% | 約13万円 |
| 合計 | 120万円 + 約12万円 + 7万円 + 8.4万円 + 35.2万円 + 約13万円 | 約195万円 |
このケースでは、所得800万円に対する税負担は約195万円です。所得が増えて23.2%の区分に入るほど、負担の割合は上がっていきます。
会社全体の税負担の目安(法定実効税率)
会社の税負担を1つの率で表したものを法定実効税率といい、中小企業では所得区分に応じておおむね21〜34%です。
法定実効税率は、会社の利益に対する税負担の大きさをまとめて表した税率です。定額でかかる法人住民税の均等割は含みません。
中小企業の所得区分ごとの目安を表で確認しましょう。
| 所得区分 | 法定実効税率(目安) |
|---|---|
| 年400万円以下 | 約21% |
| 年400万円超〜800万円以下 | 約23% |
| 年800万円超 | 約34% |
【例題】所得1,000万円の会社の税金を、法定実効税率でざっくり見積もってみましょう。
| 項目 | 計算 | 税額(目安) |
|---|---|---|
| 所得400万円以下 | 400万円 × 約21% | 約84万円 |
| 所得400万円超〜800万円以下 | 400万円 × 約23% | 約92万円 |
| 所得800万円を超える部分(200万円) | 200万円 × 約34% | 約68万円 |
| 法人住民税均等割(定額) | 最低7万円 | 7万円 |
| 合計 | — | 約251万円 |
所得が大きいほど、税負担の割合は約34%に近づきます。これは標準税率をもとにした目安で、自治体の超過課税などによって実際の税率は変わります。
申告・納付の時期と方法
3つの税金は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内に申告して納めます。
たとえば3月末決算なら、5月末が申告・納付の期限です。
前事業年度の法人税額が20万円を超える会社は、3つの税金とも、期の途中(事業年度の開始から6か月後)に予定申告(中間申告)と納付が必要です。
確定申告書の提出先や納税先、電子申告のシステムは、税金の種類によって分かれます。表で確認しましょう。
| 税金 | 提出・納税先 | 電子申告 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 税務署(国) | e-Tax |
| 法人住民税 | 都道府県(県税事務所)と市区町村 | eLTAX |
| 法人事業税 | 都道府県(県税事務所) | eLTAX |
たとえば会社が東京23区にある場合、法人住民税と法人事業税は、市区町村の窓口ではなく都税事務所にまとめて申告・納税します(法人税はこれまでどおり税務署です)。
提出先が複数に分かれるため、申告書は提出したのに一部の納税を忘れる失敗が起こりがちです。納付先ごとに納め漏れがないか確認してください。
会社の税金で注意したい点
会社の税金でつまずきやすい点を3つにまとめます。
赤字でも法人住民税の均等割(最低7万円)はかかります。利益が出ていなくても納税資金を残しておきましょう。
事業を休んでいる休眠会社でも、原則として法人住民税の申告が必要で、最低でも均等割を納めることになります。免除の手続きは休眠会社の法人住民税・均等割は免除できる?で解説しています。
ここで扱った3税のほかに、会社には消費税などもかかります。会社にかかる税金の全体像は小規模会社にかかる税金8種類をご覧ください。
まとめ
会社の利益には法人税・法人住民税・法人事業税の3つがかかり、赤字でも法人住民税の均等割は最低7万円かかります。
・法人税=所得×税率(中小は800万円以下15%/超23.2%)+地方法人税10.3%
・法人住民税=均等割(最低7万円)+法人税割(法人税額×標準7.0%)
・法人事業税=所得×3.5〜7.0%+特別法人事業税37%
・申告・納付は事業年度終了から2か月以内
・全体の税負担(法定実効税率)は所得区分に応じて約21〜34%が目安
関連記事
税率や均等割の額は資本金や事務所のある自治体によって変わります。正確な金額は、自治体の窓口や税理士にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
- 会社にはどんな税金がかかりますか?
-
利益に対して法人税(国)・法人住民税(都道府県・市区町村)・法人事業税(都道府県)の3つがかかります。このほかに消費税などもあります。
- 赤字でも会社の税金はかかりますか?
-
法人税・法人事業税(所得割)は赤字ならかかりませんが、法人住民税の均等割(最低7万円)は赤字でもかかります。
- 中小企業の法人税率は何%ですか?
-
資本金1億円以下の中小法人は、所得のうち年800万円以下が15%、800万円超が23.2%です(15%は令和9年3月31日までに開始する事業年度の特例)。
- 会社の税金はいつ納めますか?
-
事業年度が終わった日の翌日から2か月以内に申告・納付します。3月末決算なら5月末が期限です。
- 法定実効税率は何%くらいですか?
-
3つの税金を合わせた法定実効税率は、中小企業では所得区分に応じておおむね21〜34%が目安です。
出典・参考


コメント