【この記事のポイント】
- 不動産売買年度の市町村への固定資産税・都市計画税の納税義務者は売主です。
- よって、不動産売買時に買主から売主に対して固定資産税・都市計画税の清算金が支払われます。
- 清算するための按分の起算日は通常1月1日からですが、地域により異なる場合があります。
- 不動産売買時期によっては、現状公表されている固定資産税・都市計画税の評価額では不公平になることがあるので、事前に調整が必要な場合もあります。

おさる先生!
今度、不動産を購入するんだけど、買主が売主の既に支払っている固定資産税と都市計画税の一部を負担しないといけないって聞いたんだけど・・・本当?



うん、本当だよ。
固定資産税と都市計画税は、期首に売主が1年分を支払っているから、買主が売主から不動産を購入し、買主所有になった期日以降の固定資産税・都市計画税部分については、売主に支払って清算しないといけないんだよ。



そうなんだ!
その他にも何か注意した方が良いことはある?



基本的には、不動産会社が作ってくれた不動産売買契約書や清算書の通りに支払えば大丈夫だよ。
ただ、固定資産税の按分についての起算日だけは、必ず不動産売買契約書や清算書で確認しておいてね。
地域によって異なることがあるからね。



そうなんだね。ありがとう!
不動産売買契約の時に、よく確認してみるよ。
固定資産税・都市計画税とは
固定資産税とは、登記の有無に関係なくその年の1月1日に土地・建物を所有している人(会社も含む)に課される市町村税です。
都市計画税とは、その年の1月1日に「市街化区域」に所在する土地・建物を所有する人(会社も含む)に課される市町村税です。
固定資産税と都市計画税は一緒に払うことから固都税と呼ばれています。
【市街化区域とは】
市街化区域とは、①すでに市街地を形成している区域、又は、②概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことで、都市計画法で指定されています。
なお、事業用不動産の売買の場合、対象物件は基本的に市街化区域内にあります。
人通りがすくないと商売にならないためです。
不動産売買時の売主と買主の固都税の按分方法について
固定資産税・都市計画税の市町村への納税義務者は、その年の1月1日に土地・建物を現に所有している売主です。
つまり、不動産売買契約がその年にあっても、固定資産税・都市計画税の納税義務者は売主で確定しており、売主が市町村に固定資産税・都市計画税を支払うことになります。
しかし、買主が不動産売買契約によって、土地・建物の所有権者になったのなら、所有権移転後の固定資産税・都市計画税は買主が負担すべきです。
既に売主が固定資産税・都市計画税を納税しているからといって、買主が清算しないという訳にはいきません。
よって、通常の場合、土地・建物の所有期間で日割りした金額を買主が売主に支払い、清算を行います。
按分の起算日をいつにするかで買主と売主の負担金額が異なってしまう
不動産売買契約時は、その年の固定資産税・都市計画税を期間按分して売主と買主で清算すると説明しましたが、按分の起算日は地域により異なることがあります。
例えば、関東は1月1日、関西は4月1日とする場合が多いですが、法律で決まっているものではないので、どのように決めるかはその地域の慣習によるでしょう。
当然ですが、その地域以外の人も不動産売買契約を行うので、按分の起算日は不動産売買契約書や清算書に記載しないと揉める原因になります。
按分の起算日を1月1日にするか4月1日にするかで、買主と売主の清算金額が変わってきてしまうからです。
按分の起算日を1月1日とした場合と4月1日にした場合の具体例を確認してみましょう。
1月1日を按分の起算日とする場合の注意点
固定資産税・都市計画税の土地・建物の評価額は3年に1度更新されます。そして、更新された評価額は4月1日に市町村より開示されます。
もし、更新年の4月1日間際で不動産売買契約が行われた場合、直近の評価額である新しい評価額は使用できません。
そのため、ほぼ3年前の古い評価額で、清算金の按分計算をすることになります。
もし、固定資産税・都市計画税の土地・建物の評価額が更新時に大幅に変わりそうなら、4月1日以降、土地・建物の評価額が大幅に変わっても、既に行われた清算金の按分計算を変更しないということを事前に取り決めておいた方が良いでしょう。
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