少額減価償却資産は一括経費
この記事の対象者
  1. 30万円未満の固定資産全額が経費に計上できることを知らない人
  2. 30万円未満の固定資産が利益調整の手段になることを知らない人

30万円未満の固定資産の取得は経費にできる

税法上は10万円以上の固定資産を購入すると減価償却資産の対象となるため、購入時に一括で経費にすることはできず、購入した資産の耐用年数に応じて償却しなければなりませんでした。

しかし、法人でも個人事業主でも、青色申告をしている場合には、30万円未満の固定資産を一括で経費にできるという特例があります。

この特例を少額減価償却資産の即時償却の特例といいます。

例えば、20万円のパソコンを購入した場合、通常は4年で減価償却していくので、パソコンの購入費用を固定資産に計上したうえで、1年につき5万円ずつ経費に振り替えていくのが原則になります。

しかし、青色申告をしている法人・個人事業主の場合、パソコンを購入した時に20万円全額を経費処理できるということになります。

少額減価償却資産の判断基準

少額減価償却資産と判断されれば、30万円未満までの固定資産は一括で経費処理できますが、判断基準が少し難しいのが難点です。

ここでは、間違いやすいポイントを挙げていきます。

消費税部分はどう判断するの?

30万円未満が少額減価償却資産の即時償却の特例の対象になりますが、この30万円の判断は税込みなのか税抜きなのか判断に迷うところです。

結論から言うと、以下のようになります。

  • 税込経理方式又は消費税免税事業者の場合
    ⇒30万円の判定は税込み金額で判断します
  • 税抜経理方式
    ⇒30万円の判定は税抜き金額で判断します

税込経理方式とは消費税を含めた金額ですべての仕訳を切ること、税抜経理方式とは消費税を分離して、仮払消費税・仮受消費税という勘定科目を利用して仕訳を切ることでした。

会計ソフト上は、最初の設定画面で、税込経理方式か税抜経理方式かのどちらかを選ぶことができるので、、消費税の課税事業者になった時点でどちらかを選んでいるはずです。

税込経理方式又は消費税免税事業者の場合、消費税を含めた金額で仕訳を切っているので、少額減価償却資産も消費税込みで30万円未満か判断することになります。

逆に、税抜経理方式の場合、消費税を分離して仕訳を切っているので、少額減価償却資産も消費税抜きで30万円未満かを判断することになります。

判定単位はどうなるの?

固定資産1つ1つで判断します。

例えば、25万円のパソコンを4台購入したとしたら、総額100万円で判断するのではなく、1つ1つの取得価額25万円で少額減価償却資産を判断することになります。

逆にカーテンなどは、通常、1枚あたり5万円などの見積もりになりますが、1枚では意味がなく、1室全体で判断することになります。

例えば、1室で8か所カーテンを使用していたなら、5万円×8枚=40万円で少額減価償却資産になるかを判断することになります。

つまり、少額減価償却資産は意味を持つ最小の単位で判断することになりますので注意が必要です。

限度額はあるの?

1年間で総額300万円までです。

ポイントとしては、少額減価償却資産の即時償却の特例は使っても使わなくてもよいということです。

今年は利益が少ないから赤字にしたくないなと思えば固定資産に計上して減価償却を通して経費にしていくことも可能です。

経費を多く計上できる手段としてだけではなく、利益を調整できる手段でもあることを覚えておいてください。

ソフトウエアも対象になるの?

ソフトウエアも無形固定資産という固定資産の仲間に分類され、減価償却資産に含まれるので、当然に少額減価償却資産の即時償却の特例の対象になります。