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棚卸資産の土地・建物を売却した時の売上計上時期を税理士がわかりやすく解説

2026 6/24
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会社の税金
2018年11月24日2026年6月24日
土地を棚卸資産として売却した場合の法人税法上の収益計上時期について!

不動産売買業を営む会社から「棚卸資産として所有している土地・建物を売却した場合、所有権移転登記の申請日に売上計上してよいか?」というご質問をいただきました。

決算直前の売却では、計上時期が1日ずれるだけで課税所得が大きく変わります。

実務では土地と建物がセットで売買されることが多いため、今回は棚卸資産として所有する土地・建物を売却したときの売上計上時期を、土地・建物それぞれの違いも含めて根拠通達とあわせて整理します。

目次

棚卸資産の土地・建物を売却したとき、売上はいつ計上する?

棚卸資産の土地・建物を売却したときの売上は、原則として引渡日(=物件を相手に引き渡した日)に計上します。

ポイントは、「契約した日」でも「お金を受け取った日」でもなく、実際に物件を引き渡した日が基準になることです。

これは法律で定められたルールで、根拠は法人税法22条の2(2018年4月1日以後に開始する事業年度から適用)と、その具体的な取扱いを示した法人税基本通達2-1-2です。

それぞれ、次のように定めています。

内国法人の資産の販売……に係る収益の額は、……その資産の販売等に係る目的物の引渡し……の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
― 法人税法22条の2第1項(一部省略)

棚卸資産の販売に係る収益の額は、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、その引渡しの日がいつであるかについては、例えば出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日等……その引渡しの日として合理的であると認められる日のうち法人が継続してその収益計上を行うこととしている日による。
― 法人税基本通達2-1-2(一部省略)

まずは、ここで出てくる「棚卸資産」と「引渡日」という言葉の意味を、先に確認しておきましょう。

棚卸資産とは

販売目的で持つ在庫のことです。不動産販売業の販売用の土地・建物がこれにあたり、自社で使う固定資産とは区別します。

引渡日基準とは

入金日や契約日ではなく、物件を引き渡した日に売上を立てる考え方です。

では、この「引渡日」とは具体的にいつを指すのでしょうか。土地と建物に分けて見ていきます。

「引渡日」は具体的にいつ?土地と建物で違う

土地・建物の引渡日は、実務上は代金を決済する日(=決済日)とほぼ一致します。ただし、引渡日の目安となる出来事は、土地と建物で少し異なります。

区分引渡日の目安
土地土地の占有の移転が行われる日(通常は決済日)
建物鍵の引渡しを行い、買主が使い始められる日(通常は決済日)

もっとも、引渡しの区切りがあいまいで引渡日がはっきりしない土地もあります。その場合の特例を、次に見ます。

引渡日がはっきりしない土地の特例

山林や原野などの土地は、建物のように鍵を渡して使える状態にするといった、明確な引渡しの区切りがありません。

そのため、代金決済や登記の時期がずれると、いつ引き渡したかを判定しにくいことがあります。

こうした引渡日が明らかでない土地に限り、特例として次のいずれか早い日に売上計上できます。

区分計上できる日補足
① 代金基準代金のおおむね50%以上を受け取った日目安は約50%
② 登記基準所有権移転登記を申請した日申請日(完了日ではない)

この特例の対象は、通達2-1-2で「土地又は土地の上に存する権利」に限られます。建物は使えず、引渡日基準です。

当該棚卸資産が土地又は土地の上に存する権利であり、その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、次に掲げる日のうちいずれか早い日に引渡しがあったものとすることができる。①代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日 ②所有権移転登記の申請をした日

出典:法人税基本通達2-1-2

では、引渡日が1日違うだけで税額がどう変わるのか、具体例で確認します。

具体例|決算をまたぐと税金はどう変わる?

棚卸資産の売上は引渡日に計上します。そのため、引渡日が決算期末の前か後かで、売上を計上する事業年度が変わります。

3月決算の不動産販売会社のケースで比べます。

ケース売買契約日引渡日(決済)売上計上時期
A3月25日3月28日当期(3月期)に計上
B3月25日4月5日翌期(翌3月期)に計上

契約日や入金日ではなく、引渡日で判定します。次は、実際の仕訳を見てみましょう。

売却したときの仕訳例

例として、仕入時の簿価(帳簿価額)が5,000万円の販売用不動産を、土地4,000万円・建物2,000万円(税抜・合計6,000万円の売価)で売却し、引渡日に決済したときの仕訳です。

① 売上の計上(売価で計上)

借方金額貸方金額
現金預金6,200万円売上高(土地)4,000万円
売上高(建物)2,000万円
仮受消費税等200万円

② 売れた在庫(簿価)を売上原価へ振替

借方金額貸方金額
売上原価5,000万円棚卸資産
(販売用不動産)
5,000万円

売上高には売価(6,000万円)を計上し、仕入時の簿価(5,000万円)は売上原価へ振り替えます。

なお、土地の譲渡は消費税が非課税、建物は課税です(建物2,000万円×10%=200万円)。

代金を契約時や中間時点で先に受け取ることもあります。その扱いを次に整理します。

手付金・中間金を受け取ったときの扱い

手付金や中間金を受け取っても、引渡し前は売上計上しません。

受領時は前受金(=先に預かったお金)として処理します。

例えば、先ほどの取引(税込6,200万円)で、手付金1,000万円を契約時に受け取ったとします。

① 手付金を受け取ったとき(契約時)

借方金額貸方金額
現金預金1,000万円前受金1,000万円

② 引渡日(残代金の受領と売上計上)

借方金額貸方金額
前受金1,000万円売上高(土地)4,000万円
現金預金5,200万円売上高(建物)2,000万円
仮受消費税等200万円

ここまでは「棚卸資産」の話です。同じ土地・建物でも、固定資産なら扱いが変わります。

棚卸資産と固定資産で計上時期はどう違う?

同じ土地・建物でも、在庫(棚卸資産)か自社で使う資産(固定資産)かで、選べる基準が変わります。

区分棚卸資産(本記事)固定資産の土地・建物
根拠通達2-1-22-1-14
原則引渡日基準引渡日基準
契約日基準の選択原則不可継続適用を条件に選択可
想定される納税者不動産販売業(在庫)自社利用資産の譲渡

固定資産は引渡日か契約日かを選べますが、棚卸資産は引渡日基準が原則です。

最後に、土地ならではの論点と、よくある誤解を確認します。

【土地のケース】分筆して複数回に分けて引き渡した場合

土地を分筆(=1つの土地を登記上いくつかに分けること)して複数回に分けて引き渡したときは、引渡しごとにそれぞれ売上計上します。

ただし、これはそれぞれの引渡しが独立した取引と認められる場合に限られます。具体的には、次の3つをすべて満たすときです。

  • それぞれの土地が取引の対象となり得ること
  • それぞれの土地に使用価値があること
  • 土地を分けることが可能であること

よくある3つの誤解

  • 「登記を遅らせれば売上を翌期に回せる」 → 売上は引渡日に計上します。登記の時期を動かしても、売上を計上する事業年度は変わりません。
  • 「売買契約をした日に計上する」 → 契約日ではなく、引渡日が売上計上の基準です。
  • 「建物も登記申請日に計上できる」 → 売上の計上基準に登記申請日が使えるのは、引渡日が分からない土地の特例だけ。建物は引渡日で売上計上します。

以上をふまえ、要点を最後にまとめます。

まとめ

  • 棚卸資産の土地・建物の売却は、どちらも原則引渡日に売上計上する。
  • 引渡日が不明なときの売上計上基準の特例(代金50%・登記申請日)は土地だけ。建物は引渡日基準。
  • 手付金や中間金を先に受け取っても、その時点では売上計上しません。契約した日でもなく、売上を計上するのは引渡日です。

決算期をまたぐ売却は税額への影響が大きいため、個別の事情は税理士にご確認ください。

よくある質問

棚卸資産の土地・建物はいつ売上計上しますか?

土地・建物のどちらも、原則として引渡日(通常は決済日)に売上計上します。

建物も登記申請日に売上計上できますか?

できません。代金50%・登記申請日の特例は土地に限られ、建物は引渡日基準のみ適用できます。

手付金を受け取った期に売上計上しますか?

手付金を受け取った期に受取金額を売上計上することは出来ません。引渡し前は前受金で処理し、引渡日に売上計上します。

棚卸資産である土地・建物の売買契約日に売上計上してもよいですか?

棚卸資産の売上計上基準は引渡基準が原則で、契約日基準は採れません。

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