養子縁組を行った養子は養親の子となるため、法定相続人になることができます

養子は法定相続人になるため、当然に、相続税の基礎控除の人数や生命保険金の非課税限度額の対象となり、節税効果が出てくることになります。

よって、相続税の節税対策のために養子縁組を活用する方も多くいます。

今回は、実際に相続が発生する前に養子縁組の制度やどのように相続税の節税対策に利用できるかを見ていきましょう。

この記事の対象者
  1. 養子縁組の制度を知りたい人
  2. 相続税対策で養子縁組の有用性を知りたい人
  3. 養子縁組のデメリットを知りたい人




養子縁組の制度について

養子縁組の制度には、普通養子縁組特別養子縁組の2種類があります。

いずれの養子縁組でも親子関係が成立するため養子は法定相続人になることができますが、相続税の節税対策に関して言えば、普通養子縁組が採用されることが圧倒的に多いです。

普通養子縁組とは

普通養子縁組は、養子縁組届を市区町村に提出することにより成立します。

未成年の子を養子縁組する場合は家庭裁判所の許可が必要になります。

普通養子縁組の場合、実親との親子関係は解消されません。

よって、養子には、2人の親(実親と養親)がいることになりますので、実親と養親の両方の法定相続人になります

特別養子縁組

特別養子縁組を成立させる要件は非常に厳しく、①養子は6歳未満でなければならない、②養親は夫婦共同でならなければならない等があります。

要するに、相続税対策というよりは、養子縁組をした夫婦で養子を育て上げるための制度と言えるでしょう。

よって、特別養子縁組が成立すると、実親との親子関係は解消され、養子は実親の法定相続人ではなくなります

養子の人数の制限について

養子縁組をして法定相続人を増やせば節税効果があります。

節税効果があることから、国税庁は養子縁組を行い、養子を無制限に増やすことを認めていません

不当な養子縁組を行うことで相続税を減らすことを防止するため、相続税で認められる法定相続人としての養子の人数に制限をかけています。

養子の人数制限-原則
  1. 被相続人に実の子供がいる場合⇒一人まで
  2. 被相続人に実の子供がいない場合⇒二人まで

なお、以下の場合は、実子と同様に扱うことが妥当と考えられるため、養子の人数制限に関係なく法定相続人の数に含まれます。

養子の人数制限-例外
  1. 特別養子縁組での養子
  2. 配偶者の実子で被相続人の養子になった子(再婚の場合)

養子縁組の節税効果

養子縁組をして法定相続人を増やすと、以下のようなメリットを享受できます。

基礎控除額が増加する

養子縁組をすると相続税の計算上その養子は実子と同じ扱いになります。

つまり、養子縁組をすることで法定相続人が1人増えることになります。

基礎控除額とは相続税が発生しない下限値のことで、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算することができます。

養子縁組をすることで法定相続人が1人増えれば、600万円の基礎控除額の増加し、節税対策になります

生命保険金の非課税枠が増加する

被相続人が死亡することにより相続人が取得した生命保険金で、保険料を生前に被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります

この生命保険金についてですが、500万円×法定相続人の数だけ非課税になります。

つまり、養子縁組をすることで法定相続人が1人増えれば、500万円の非課税枠が増加し、節税対策になります

死亡退職金の非課税枠が増加する

被相続人が死亡することにより、被相続人に支給されるはずだった退職金が相続人に支払われる場合があります。

この退職金を死亡退職金といいますが、死亡退職金は相続税の課税対象になります

ただし、死亡退職金は、500万円×法定相続人の数だけ非課税になります。

つまり、養子縁組をすることで法定相続人が1人増えれば、500万円の非課税枠が増加し、節税対策になります

相続税率が低くなる

相続税の計算方法は少し複雑で、まず最初に、法定相続人が法定相続分の割合で遺産を引き継ぐものと仮定して、遺産総額が按分されます。

次に、按分された個々人の遺産に対し相続税率(遺産が多いほど税率が高くなる超過累進税率)が掛け合わされ、相続税額が算出されます。

最後に、個々人の相続税額を合算して相続税の「総額」を算出することになります。

つまり、養子縁組により法定相続人が1人増えれば、按分された個々人の遺産が減少し、結果として相続税率が低くなり、節税効果が見込めます

相続税の計算をしてみるまで節税効果が分かりにくいのが難点ですが、税率が低くなることの節税効果はそれなりに期待できます

養子縁組のデメリット

相続税の節税対策としては優秀な養子縁組の制度ですが、相続トラブル(争族)に発展してしまう場合があります

例えば、二世帯住宅を建てて、長男の妻が親の面倒を良くみてくれているので、長男の妻を養子にした場合です。

この場合、相続税の節税対策としては、成立しますが、長男以外の他の兄弟との関係上、トラブルが生じる(他の兄弟の取り分が減ってしまうため)ことがあります。

また、仮に長男とその妻が離婚してしまった場合にも元妻の取り分についてトラブルが生じることがあります。

孫を養子にする場合は注意が必要!

孫に遺産を残すためには、親⇒子、子⇒孫というように2段階のステップを踏むことが通常です。

ただし、孫を親の養子にすることにより、節税対策をしながら、1段階のステップで孫に遺産を渡すことが出来てしまいます。

しかし、これでは、通常の場合に比べてあまりに不公平なので、養子縁組をして孫を親の養子にする場合は、相続税額を2割加算するという取り決めになっています。

よって、養子縁組の節税対策の効果と2割加算の影響を比較して、孫を親の養子にするかを検討することになります。