特別寄与料の税法上の取り扱いと請求する上での注意点について!

特別寄与料とは

特別寄与料は、被相続人の療養看護を被相続人の親族(相続人は除く)が行った場合に、その働きの程度に応じて相続財産の一部の金銭を貰える制度です。

被相続人の親族とは、①配偶者、②6親等以内の血族、③3親等以内の姻族のことを言います。

ただし、特別寄与料が成立するのは、相続人以外の親族なので、配偶者などには認められないため、想定されるのは、世話をしてくれた子供の妻ということになります。

相続税法上の特別寄与料の取り扱い

特別寄与料は相続税法上、被相続人からの遺贈と同様に処理されることになります。

簡単に言うと、相続人の相続財産と同じように相続税の計算を行うことになります。

ただし、特別寄与者の相続税額は2割加算されます

特別寄与料の金額次第ですが、特別寄与料が1,000万円で相続税額が100万円ならば、追加で20万円多くの税金を税務署に払わないといけなくなります

相続人間の仲が良い場合

相続人間の仲が良く、相談できる場合には、特別寄与料を請求しないで、配偶者や子供である相続人の相続分に上乗せしてもらうことを検討しましょう

例えば、義理の祖父母の世話をした長男の妻の特別寄与料相当額を遺産分割時に長男の相続分に上乗せしてもらう方法が考えられます。

そうすると、2割加算の論点が生じないことになります。

ただし、夫婦間や親子間でも贈与の問題が出てきてしまうので、相続後、特別寄与料相当額を妻に明確に贈与するのであれば対策が必要になります

相続人間の仲が悪い場合

相続人間の仲が悪い場合、相続人に特別寄与料の請求をするとさらに遺産分割が難しくなるケースも考えられます

そもそも、特別寄与があったかどうか、またその適正な金額をどう算定するのかは非常にデリケートな問題です。

その場合、療養介護を受けた被相続人(亡くなった人)に遺言を作成してもらっておいた方がよいでしょう。

遺言で療養介護の金額を特別寄与者に遺贈する旨を記載していれば、特別寄与の有無、特別寄与相当額が確定し、相続人間での争いも減ります

なお、自筆証書遺言は記載に不備があった場合、遺言書として効力が無くなるので、遺言を残す際には、必ず法的要件が補完された公正証書遺言で行ってください

最後に

特別寄与料は導入されてまもない制度であり、これからも相続税法上の取り扱いが徐々に変更されていくでしょう

ただし、現状では、相続税だけで考えると、特別寄与料の請求は税額を増やす方向に向かうだけで非常に適用が難しい制度です。

よって、相続人間の仲が良い場合でも悪い場合でもなるべく特別寄与料の請求をしない方向で相続が行われるのが良いと考えられます。