- 事業年度(1月1日~12月31日)で290万円以上の利益が計上される予定の個人事業主
- 個人事業主にも事業税の課税があることを知らない人
おさる先生、個人で事業を営んでいる場合でも、会社のときと同じように事業税がかかるって聞いたんだけどホント?
個人事業税のことだね。
個人事業主として行っている業種にもよるけど、事業年度(1月1日~12月31日)の利益金額が290万円以上であればほぼ間違いなく課税されるよ。
そうなの?
個人事業主の場合は、所得税と住民税だけ払えば良いと思っていたよ。
免税点が290万円と高額なだけに意外と知られていないんだよ。
ざっくり計算するとしたら、(利益の金額―290万円)✕5%が納税額だから覚えておくといいよ。
おさる先生、ありがとう。
個人事業税とはなにか
個人事業税とは、個人事業主が営む事業にかかる税金です。
個人事業税の課税対象になるかならないかについて、本業か副業かの区別はありません。
ほぼすべての事業が個人事業税の対象になっており、個人事業主で290万円以上の利益が出ている場合、大抵は個人事業税の対象になります。
ただし、東京都で不動産賃貸業を営んでいる場合、アパート・マンションの部屋数が10室未満などのときは個人事業税の課税対象になりません(都道府県で多少の違いあり)。
詳しい課税対象は「個人事業税 〇〇県(都道府県名)」でYahoo検索かGoogle検索してみて下さい。
都道府県のホームページに課税対象となる事業が掲載されています。
申告・納税時期と方法
個人事業税の申告は、毎年3月15日までに前年の事業の所得を、都道府県税事務所に申告します。
ただし、所得税の確定申告や住民税の申告をした人は個人事業税の申告をする必要はありません。
所得税や住民税の申告をする場合、所得税や住民税の申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入してください。
個人事業税の納税時期は、8月と11月の年2回です。
8月に1年分の納税通知書が届きますので、納税通知書に従って納税を行ってください。
初めて個人事業税を納める場合は、都道府県の事務処理が遅れる場合がありますが、その場合は、納税通知書に記載されている納期も遅くなりますので安心してください。
個人事業税の納税方法については、①都道府県税事務所の窓口で払込み、②口座振替、③コンビニエンスストアで払込み、④クレジットカードによる支払い、⑤金融機関のATMによる支払いが選べます。
税率・計算方法について
個人事業税の税率は基本的に5%です。
また、個人事業税の納税額の計算方法は以下のようになります。
- 事業所得又は不動産所得の計算
事業所得又は不動産所得 = 収入 - 必要経費 - 65万円(青色申告特別控除) - 個人事業税の課税標準額の計算
課税標準額 = 事業所得又は不動産所得 + 65万円(青色申告特別控除の戻し分) - 290万円(事業主控除額といいます) - 個人事業税の納税額の計算
納税額 = 課税標準額 ✕ 5%(税率)
個人事業税の計算例を見てみよう
- 7月31日に開業した個人事業主の本年度の事業収入は500万円、事業経費は100万円、青色申告特別控除65万円、専従者なしだった場合の個人事業税の納税額を求めなさい。
- 【解答】
個人事業税の納税額は12.7万円である。【解説】
事業所得 = 500万円 – 100万円 – 65万円 = 335万円
課税標準額 = 335万円 + 65万円 – (290万円 × 6か月 ÷ 12か月)※ = 255万円
個人事業税=255万円 × 5% = 12.7万円(百円未満端数切捨て)
※ 事業主控除の290万円は1年分の控除額であり、本年度は7月開業なので、6か月分しか控除できない。なお、月末開業の場合でもその月から月数は数えられるため今回は6か月。
個人事業税の仕訳
所得税・住民税は経費にできないのに対して、個人事業税は経費に算入できます。
個人事業税は全額を「租税公課」という勘定科目で処理するといいでしょう。
なお、個人事業税を払って消費税が課税されることはありえませんので、消費税の区分は「不課税」として処理してください。
借方
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金額
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貸方
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金額
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租税公課
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127,000円
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現金・預金
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127,000円
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