貸付事業用宅地等と貸家建付地の評価での空室の取り扱いについて

貸付事業用宅地等の空室の取り扱い

貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例(50%減額)を適用するためには、相続税の申告期限まで貸付事業を継続していることが求められます。

そこで問題になるのは、相続税の申告期限までに賃貸アパートや賃貸マンションが空室であった場合に、貸付事業が継続していると考えられるかどうかです。

貸付事業用宅地等に該当するかどうかはそもそも不動産貸付事業を実際に営んでいるかどうかが判断基準です。

そうであるならば、きちんと募集広告をして、いつでも賃貸できる状態にしてあるのならば、空室部分についても貸付事業が継続していると考えられます。

つまり、貸付事業を営む限り、空室が生じるリスクは必ずあり、空室であるというだけで貸付事業を営んでいないとは誰も言えないということです。

よって、不動産貸付事業を実際に営んでいる場合、空室があっても余程現実とかけ離れていない限り、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例(50%減額)は適用できることになります。

ただし、例えば、新たに貸付事業用の建物を建設中である場合などは、まだ貸付事業が開始されていないので、相続税法上の貸付事業用宅地等に該当せず、小規模宅地等の特例を適用できない場合があります。

貸家建付地の評価での空室の取り扱い

相続税法上の空室について、貸付事業用宅地等との類似論点に貸家建付地の評価があります。

貸家建付地とは、所有する土地の上に建築した建物を賃貸した場合におけるその土地のことを言います。

貸家建付地の場合、建物を他人に賃貸することにより、土地に使用制限が掛かってしまいます

そこで、相続税申告時に建物の賃貸による土地の使用制限のリスクを土地の評価額に反映させようというのが、貸家建付地の評価の趣旨になります。

建物使用によって土地使用が妨害されているために、評価減が成り立つという関係なので、相続時の建物使用=賃貸されているかどうか=空室かどうかは非常に重要になります

この点について、国税庁の質疑応答事例では空室が1か月程度であれば、一時的な空室のため、貸家建付地の評価による相続税減額を認めるとしています。

ただし、空室期間は地域や物件の質により様々であり、必ずしも1か月程度にこだわらず、1年超の空室期間があっても、一時的な空室として貸家建付地の評価を認めた事例もあります

まとめ

相続税法上の空室というと貸付事業用宅地等と貸家建付地の評価が頻繁に登場しますが、貸付事業用宅地等に該当し小規模宅地等の特例(50%減額)が適用できても、貸家建付地の評価が出来る訳ではないことに注意しましょう。