法人で中古資産を購入した場合の耐用年数については、簡便法(20%基準)で計算することが多いです。

ただし、税務上は、中古資産の耐用年数を法人の判断に委ねると恣意性が介入してしまうため、画一的に耐用年数を求める方法を提示しているだけで、必ずしも、毎回、簡便法で耐用年数を計算出来る訳ではありません

しかし、一部の法人では、簡便法で中古資産の耐用年数を求めていれば税務上否認されることはないと誤認して、簡便法の適用条件を満たさないものについても管便法で計算しているケースがあります

そこで今回は、実務上の中古資産の耐用年数について確認していきましょう。

この記事のポイント
  1. 中古資産を取得した場合でも法定耐用年数を利用するのが原則
  2. ただし、特則として見積法や簡便法のように法定耐用年数よりも耐用年数が短くなり、税務上有利な方法がある
  3. 多額の資本的支出を計上している場合中古資産が無形固定資産に該当する場合などは簡便法を利用できない
  4. 見積法や簡便法は、事業供用日からの継続適用が前提となる。




一般的な中古資産の耐用年数の見積り方法

中古資産を取得した場合には、耐用年数省令に定める法定耐用年数ではなく、次のいずれかの方法を採用して耐用年数を決めることができますMUSTではなくCANであることに注意!)。

見積法
簡便法
中古資産を事業の用に供した時からあと何年使用できるかを「客観的」に見積もって耐用年数とする方法。 見積耐用年数が「客観的」に分からない場合に限り、下記の計算式で算定した年数を耐用年数にする方法。



【簡便法の計算方法】

経過期間
計算方法
法定耐用年数の一部が経過
(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)
法定耐用年数の全部が経過
法定耐用年数×20%

※計算の結果、耐用年数に1年未満の端数が出る場合は、端数切捨て。耐用年数が2年に満たない場合は一律2年となる。


見積法の場合、中古資産があと何年使用できるかを「客観的に」見積もる必要がありますが、使用できなくなる決定的な状況が想定されない限り、適用することは難しいでしょう。

よって、通常は簡便法を利用して中古資産の耐用年数を計算することになります。

簡便法が利用できないケース

中古資産の耐用年数を算出する際に簡便法が利用できないケースとして、以下の3つの場合があります。

再取得価額の50%超基準

法人が中古資産を事業で利用する際に支出した資本的支出の金額が、中古資産の「再取得価額」の50%を超える場合、簡便法を利用できません

再取得価額」とは、同じ新品のものを取得する場合のその取得価額のことで、「取得価額」とは若干違いますので注意が必要です。

なお、資本的支出とは、中古資産の修理や改良のために支出した金額のうち、中古資産の使用可能期間を延長させたり、価値を高める部分の支出です。

取得価額の50%超基準

法人が中古資産を事業で利用する際に支出した資本的支出の金額が、中古資産の「取得価額」の50%を超える場合、簡便法を利用できません

取得価額」は中古資産を取得した際に実際に費やした金額の合計のことです。

簡便法は適用できませんが、以下の算式の結果算出された年数を中古資産の耐用年数にすることができます

取得価額基準の耐用年数(任意)

中古資産の取得価額(資本的支出含む)÷{中古資産の取得価額(資本的支出額除く)÷簡便法により計算した耐用年数+中古資産の資本的支出÷法定耐用年数}



計算式では分かりにくいので、下記の事例で確認してみましょう。

以下の場合の中古資産の耐用年数を求めてください。
・中古資産の取得価額 34円
・中古資産に対する資本的支出 66円
・中古資産の種類 木造建物
・法定耐用年数 22年
・簡便法により計算した耐用年数 4年
【取得価額の50%超基準の判定】
34円(取得価額)×50%=17円<66円(資本的支出)なので、簡便法は使えません。


【中古資産の耐用年数の決定】
簡便法が利用できず、原則通り、法定耐用年数22年を中古資産の耐用年数とすることも考えらますが、上述の取得価額基準の耐用年数を利用した方が税務上有利になります。
よって、(34円+66円)÷(34円÷4年+66円÷22年)=8.69年⇒8年(端数切捨て)が中古資産の耐用年数になります。



なお、以下のようにイメージ出来ると「再取得価額」と「取得価額」の違いが理解し易くなります。

  • 「再取得価額」⇒将来取得する場合の価額(同じ資産を購入する場合の価額)
  • 「取得価額」⇒過去に取得した時の価額

無形固定資産

正しくは、耐用年数省令別表第三に掲げられている資産(≒無形固定資産)については、中古資産の簡便法を利用できません

耐用年数省令別表第三の中で、実務上、登場する可能性がある無形固定資産としては、特許権・商標権・ソフトウエアあたりでしょう。

特許件・商標権は存続期間の年数を耐用年数にすることができます

ソフトウエアは素直に法定耐用年数(3年又は5年)で処理するのが良いでしょう。

中古資産の耐用年数の決定時期

中古資産の耐用年数(見積法・簡便法)はあくまで法定耐用年数の特則であり、仮に中古資産を使い始めた事業年度に法定耐用年数を利用してしまった場合、後から耐用年数の変更はできないので注意が必要です。

つまり、見積法又は簡便法の耐用年数を利用したい場合、中古資産を使い始めた「一番最初の時点」で、見積法や簡便法の耐用年数を計算しておかないといけないということになります。

いつでも変更出来てしまえば、納税者側で利益調整のための恣意的な変更が出来てしまい問題になるためです。