小規模宅地等の特例に必要な添付書類について!

小規模宅地等の特例(敷地の減額特例)を適用するためには、相続税申告書第11表の付表1「小規模宅地等に係る課税価格の計算明細書」を作成し、提出する必要があります。

そして、小規模宅地等の特例を適用するためには申告書の提出のみではなく、それぞれの状況を証明するための添付書類が必要になります

今回は税務署に提出する小規模宅地等の特例に必要な添付書類の種類について確認していきましょう。

共通して必要な書類

小規模宅地等の特例を適用するためには、少なくても以下の添付書類が必要になります。

  1. 被相続人(亡くなった人)のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの コピーでも可)
  2. 遺言書の写し又は遺産分割協議書(相続人が1人の場合は、財産の取得の状況を証する書類 コピーでも可)
  3. 相続人全員の印鑑証明書遺産分割協議書に押印したもの 原本のみ)
  4. 小規模宅地等を取得したすべての者の合意を証する書類(取得者が2名以上いる場合)

家なき子特例を適用する場合

被相続人(亡くなった人)に配偶者や同居していた法定相続人がいない場合、一定の要件を満たせば、別居の子供などが家なき子に該当し、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例を適用できることができます。

一定の要件を満たしているかを確認するために以下の書類の添付が必要になります。

  1. 相続開始前3年以内に家なき子が居住していた家屋が、自己、自己の配偶者、三親等内の親族等の所有する家屋でないことを証する書類
  2. 相続開始の時において自己の居住している家屋を過去に所有していたことがないことを証する書類

簡単に言うと、家なき子が済んでいるマンションの賃貸借契約書のコピーを添付すればOKということになります。

老人ホーム特例を適用する場合

被相続人が老人ホームに入居した場合に空き家になった元の自宅に対しても特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例が適用できます

ただし、要介護認定を受けているかなどの一定の要件があり、その要件を確認するために以下の書類の添付が必要になります。

  1. 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
  2. 介護保険の被保険者証の写しや障害福祉サービス受給者証の写しなど、被相続人が要介護認定、要支援認定、障害支援区分の認定を受けていたことを明らかにする書類

相続開始3年以内に事業を開始している場合

相続開始3年以内に新たに被相続人(亡くなった人)が事業を開始している場合、たとえ相続人が事業を承継しても、特定事業用宅地等に該当せず、小規模宅地等の特例を適用することはできません

ただし、宅地等(土地や借地権)の評価額の15%以上の建物や設備(減価償却資産)を保有していれば、事業的規模で営む事業であり、相続税逃れのための事業とは考えられないため、相続開始3年以内に新たに被相続人が事業を開始していても、その宅地等は小規模宅地等の特例の適用対象になります

15%以上の建物や設備を保有していることを証明するために以下の書類添付が必要になります。

  1. 相続開始時における建物・設備の種類、数量、価額およびその所在場所その他明細を記載した書類

相続開始3年以内に貸付事業を開始している場合

相続開始前3年以内に新たに貸付事業を開始している場合は、貸付事業用宅地等には該当せず、小規模宅地等の特例は適用できません

ただし、被相続人やその生計一親族がすでに3年を超えて事業的規模(5棟10室)の貸付事業を営んでいることを証明する書類を相続税の申告書に添付することにより貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用できることになります。

3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合、すでに小規模宅地等の特例の対象になる貸付用の宅地等を所有しているので、新たに貸付用の宅地等を取得しても、貸付事業用宅地等の限界面積(200㎡)との関係上、過度な節税対策にならない可能性が高いためです。

特定同族会社事業用宅地等に該当する場合

個人事業主が法人成りした後にも、被相続人(亡くなった人)から相続した宅地等に小規模宅地等の特例を適用できるように特定同族会社事業用宅地等の特例があります。

被相続人から後継者が宅地等を引き継ぐことが条件になりますので、それを証明するために以下の書類の添付が必要になります。

  1. 法人の定款の写し(相続開始時に効力を有するもの)
  2. 相続開始の直前における法人の発行済株式総数、被相続人とその関係者の株式保有状況が分かる書類(法人が証明したものに限る)。