研修費の勘定科目がない時の選び方|仕訳例・消費税まで税理士が解説

研修費の勘定科目がない!研修費の勘定科目の選択と経費計上について!

会計ソフトを開いて仕訳をしようとしたら、「研修費」という勘定科目が見当たらない——そんな経験はありませんか。

科目の選び方を間違えると、本来は経費にできる費用を計上し損ねたり、税務調査で否認されたりすることもあります。

この記事では、研修費の科目がないときの選び方から、仕訳例・経費にできる条件・消費税の扱いまで、順番にやさしく解説します。

目次

研修費の勘定科目がない時は「教育研修費」などで代用してよい

「研修費」の勘定科目がなくても、「教育研修費」や「採用教育費」など意味の近い科目で代用すれば問題ありません

研修費(=仕事に必要な知識・技術を身につけるために払う費用)の科目名は、法律で決められていないからです。

会計ソフトは、最初から登録されている科目が少しずつ違います。弥生会計に「研修費」がなくても、freeeにはある、というケースもよくあります。

科目がなければ、近い意味の科目を選ぶか、自分で「研修費」を追加してもかまいません。大切なのは、毎回同じ科目に統一することです。

研修費

仕事に必要な知識・技術を身につけるためのセミナー代・受講料などの費用。

教育研修費

研修費と同じ意味で使われる科目名。税務上の扱いは研修費と同じ。

採用教育費

採用や社員教育にかかる費用をまとめる科目。研修費の代用にも使える。

研修費の勘定科目は費用の中身と状況で使い分ける

研修費の勘定科目は、費用の中身や状況に合わせて使い分けるのが基本です

代表的に使われるのは、次の6つの科目です。下の表で、それぞれの使いどころを確認しましょう。

勘定科目使いどころ
研修費/教育研修費仕事に直接必要なセミナー・講習会・受講料(基本はこれ)
福利厚生費全従業員が対象の研修・資格支援など、福利厚生として行うもの
新聞図書費研修に使う書籍・教材・テキスト代
雑費金額が少なく、他の科目に当てはめにくい単発の費用
前払費用決算をまたぐ研修で、まだ受けていない分の受講料
開業費開業前に受けた研修費用(繰延資産として計上)

迷ったら、まずは「研修費(または教育研修費)」を使えば大丈夫です

研修費の仕訳例|セミナー・受講料を払ったとき

セミナー受講料を払ったときは、借方に「研修費」、貸方に「現金・普通預金」で仕訳します

例として、業務に必要なセミナーを受講し、受講料3万円を普通預金から支払ったケースを見てみましょう。

借方金額貸方金額
研修費3万円普通預金3万円

次に、決算をまたぐ場合です。翌期に受ける研修分を先に払ったときは、その分は当期の経費にできません

たとえば受講料3万円のうち1万円が翌期分なら、当期の決算で次のように「前払費用」を計上します。

借方金額貸方金額
前払費用1万円研修費1万円

これで、当期の研修費は2万円になります。

そして翌期になり、その研修を受けたときに、前払費用を「研修費」へ振り替えます

借方金額貸方金額
研修費1万円前払費用1万円

この振替で、残りの1万円が翌期の経費になります。

個人事業主が研修費を経費にできる・できない判断基準

個人事業主の場合、本人の研修費は「事業に直接必要か」で経費にできるかが決まります

国税庁も、業務の遂行に直接必要な技能・知識を習得するための費用は必要経費になるとしています(所得税基本通達37-24)。

個人事業主でとくに注意したいのが、プライベートの費用(家事費)との線引きです。

宅地建物取引士(宅建)・簿記検定・FP(ファイナンシャルプランナー)など、新しく資格を取るための費用(受験料・講座代)は、原則として経費になりません

これらは「新しい地位や知識を得るための個人の支出(家事費)」とされやすいためです。不動産業でも、開業のために本人が宅建を取る費用は経費にできないと考えられています。

一方、すでに営む事業に直接必要な知識・技術を学ぶための研修・講座の受講料なら、経費にできる場合があります

経費にできる研修経費にできない研修
事業に直接役立つ実務セミナー趣味・教養のための講座
取引や法改正の最新情報の研修事業と関係のない自己啓発セミナー
いま営む事業に必要な技能の講習宅建・簿記・FPなど資格を新たに取る費用
  • 判断のポイント:税務調査で「なぜ事業に必要か」を説明できるかどうか
  • 証拠を残す:領収書だけでなく、研修の案内や内容がわかる資料も保管する

事業と関係のないセミナーは、研修費に計上しても税務調査で否認されます

法人が研修費を経費にできる・できない判断基準【給与課税に注意】

法人の場合、業務上の必要があれば研修費は原則として経費(損金)にできます

会社が業務上の必要性を判断するため、個人事業主よりも研修費を経費にしやすいのが特徴です。

ただし注意点があります。従業員や役員への研修費が「給与」とみなされると、その人に所得税がかかってしまいます

給与として課税されないためには、次の3つの要件を満たすことがポイントです(所得税基本通達36-29の2)。

  • 業務上の必要があること:会社の仕事のために受けさせる研修であること
  • 職務に直接必要な技術・知識であること:仕事に直結する内容であること
  • 金額が適正であること:不相当に高額でないこと
経費にできる研修給与とみなされやすい例
全社員が対象の業務スキル研修業務と無関係な個人的な習い事
職務に必要な資格・技能の講習一部の役員だけの私的な高額セミナー
取引・法改正など実務の研修規程がなく特定個人にだけ負担

資格取得費も、業務に必要で社内規程があれば経費にできます。第三者である会社が必要性を判断するため、個人事業主より説明しやすいのが利点です。

研修費の消費税は原則10%の課税仕入れ(法定講習は非課税)

民間のセミナーや研修の受講料は、原則として消費税10%の課税仕入れです

ただし例外もあります。法律で受講が義務づけられた「法定講習」や、学校の授業料・検定料は非課税です。

区分主な例
課税仕入れ(10%)民間セミナー・実務講座・オンライン研修の受講料
非課税宅地建物取引士などの法定講習、学校の授業料・入学検定料

仕入税額控除を受けるには、受講料の「適格請求書(インボイス)」を保存しておく必要があります。

主催者がインボイスの登録事業者かどうかも、申込時に確認しておくと安心です。

まとめ|研修費は「同じ科目で・事業との関係を残して」

  • 科目がなければ代用でOK:教育研修費・採用教育費など近い科目を使い、毎回統一する
  • 個人事業主は事業との直接の関係が必須:趣味・一身専属の資格取得はNG
  • 法人は業務上の必要があれば経費:ただし給与課税の3要件に注意
  • 消費税は原則10%の課税仕入れ:法定講習は非課税、インボイスを保存

よくある質問

会計ソフトに研修費の勘定科目がないときはどうすればいいですか?

「教育研修費」や「採用教育費」など意味の近い科目で代用するか、自分で「研修費」を追加して、毎回同じ科目に統一すれば問題ありません。

セミナー受講料の仕訳の勘定科目は何になりますか?

仕事に直接必要なセミナーなら、借方を「研修費(または教育研修費)」、貸方を「現金・普通預金」で仕訳します。

個人事業主は資格取得の費用を研修費にできますか?

宅建・簿記検定・FP検定など、新しく資格を取るための費用は原則できません。すでに営む事業に直接必要な知識・技術を学ぶ研修・講座の受講料なら経費にできる場合があります。

研修費に消費税はかかりますか?

民間のセミナー・研修の受講料は原則10%の課税仕入れです。法律で受講が義務づけられた法定講習や学校の授業料は非課税です。

研修費は10万円以上でも全額経費にできますか?

はい。セミナーや講座の受講料は、金額にかかわらず全額をその年の経費にでき、資産計上や減価償却は必要ありません。ただし、研修用に10万円以上の機器を買った場合は、その機器は固定資産として扱います。

弥生会計やfreeeに「研修費」の科目がない場合は追加できますか?

はい。どちらも設定画面の勘定科目一覧から「研修費(または教育研修費)」を追加できます。追加せずに「採用教育費」など近い科目で代用してもかまいません。

研修に行くための交通費や宿泊費も研修費に含めますか?

受講料は研修費ですが、会場までの交通費や宿泊費は「旅費交通費」で分けて処理するのが一般的です。科目を分けておくと、後から金額を把握しやすくなります。

オンライン研修や教材・書籍の費用も研修費になりますか?

オンラインセミナーの受講料は研修費にできます。研修で使う書籍やテキスト代は「新聞図書費」で処理することも多く、どちらでも問題ありませんが、毎回同じ科目に統一しましょう。

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