この記事の対象者 所要時間
  • 個人事業主で利益が多くて節税対策を考えている人
  • 個人事業主で法人成り(法人化)を考えている人
  • 個人事業主と法人の保険料の経費の取扱いについて知りたい人
10分




個人事業主が法人化(法人成り)するメリットの1つに経費に計上できる保険料が多くなり節税できるというものがあります。個人事業主の場合、いくら保険料を支払っても最高で12万円までしか経費に算入できませんが、法人の場合には支払った保険料全額を経費に算入することも可能です。

今回は個人事業主が法人化(法人成り)した時の保険料の取扱いについてみていきましょう。

個人事業主の保険料の経費部分

所得税法では、個人事業主が生命保険料、介護医療保険料、年金保険料を支払った時に、それぞれの保険で最大4万円ずつ経費に計上できると規定しています。

つまり、生命保険料、介護医療保険料、年金保険料それぞれで4万円ずつ経費になるので、合計で12万円まで経費に計上できることになります。

詳しい保険料の支払い金額と経費に計上できる金額は以下の表の通りです。

年間の保険料支払金額 経費算入額
20,000円以下
支払保険料全額
20,000円超 40,000円以下
支払保険料×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下
支払保険料×1/4+20,000円
80,000円超
一律40,000円

法人の保険料の経費部分

法人の保険料の場合、個人事業主の保険料より経費に計上できる金額は各段に多くなります。

ただ、法人の保険料でも商品によって経費に計上できる割合は違います。税法上多いのは、100%経費にできる保険50%経費にできる保険33%経費にできる保険です。一切経費にできない保険もありますので注意が必要です。

以下に税法上例示されている保険の種類と経費算入率をまとめてみます。

経費算入率 保険の種類
100%経費にできる保険
定期保険、医療保険
50%経費にできる保険
長期平準定期保険、養老保険
33%経費にできる保険
逓増定期保険
一切経費にできない保険
終身保険

支払保険料がどこまで経費に計上できるかの簡単な考え方をまとめてみましょう。

  1. 定期保険は別名「掛け捨て保険」と呼ばれ、一定期間保険に加入するもので、保険期間が終われば保障もなくなり、また、支払った保険料は一切戻ってきません。

    経営者が万が一仕事ができなくなった時に法人を守るために入る保険なので、事業上の必要性があるわけです。

    よって、定期保険料として支払った金額は全額経費に計上できます。医療保険も定期保険と同じ性質と考えられるため全額経費に計上できることになります。

  2. 終身保険は、保険に入る目的が法人を守るためという事業的必要性もありますが、会社の貯蓄のために入る保険との考え方が強いので、支払保険料は経費ではなく全額資産勘定に計上されることになります。
  3. 定期保険は掛け捨てで事業上の必要性があるから全額経費に認められていたのですが、定期保険の期間を契約者が100歳になるまでなど契約期間が実質的には終身に近い商品が発売されるようになりました。

    また、養老保険のように貯蓄性がある保険商品も増えてきたので、それらについては100%経費計上させることは正しくないという判断のもとに50%や33%を経費にできる保険のカテゴリーが税務上新しく誕生しました。

保険を経費にどこまで計上できるかは上記の考え方に従えばよいのですが、新しい保険商品がどんどん開発されているのと、それに伴い国税庁の方もいろいろ規制をかけてきている状態なので、もし法人の節税対策のために保険に入るならば具体的な商品を保険代理店に確認することが必要になります。