この記事の対象者 所要時間
  • 個人から法人に不動産を売却するときにかかる税金を知りたい人
  • 個人から法人に不動産を売却するときの注意点を知りたい人
15分




自己所有の不動産を会社に移管するだけでもかかる税金がある

個人が100%自己出資している会社に不動産を移管したいと思うことは良くあるのではないでしょうか。

例えば、不動産を初めて購入しようとした場合に、通常、新設会社で銀行から借入をすることは難しいです。実績がない新設会社に借入をさせてくれる銀行が少ないからです。最初は個人事業主又はサラリーマンとして不動産を購入し、徐々に新設会社に不動産を移管していくことになるでしょう。

自分に所有権がある不動産を自分の会社に移しても持ち主自体は当然に変わりませんので、単純に自己所有不動産の名義を個人名義から会社名義に変更すれば移管手続きは終わりだと考える人は多いです。

しかし、残念ながら、個人所有の不動産を会社に移管するだけでも、税法上は立派な不動産売却取引になります。

そのため、本人は移管したつもりでも、通常の不動産売買取引と同様に登録免許税、不動産取得税などの税金をもう一度支払わなければなりません。

仲介手数料だけは、不動産会社が仲介していないのでかかりませんが、それでも税金などで不動産価格の5%強くらいの費用がかかってしまいます。

会社への不動産売却価格は慎重に決定しなければならない

自己所有の不動産を会社に売却する場合、価格を決めるのはあなた自身なので、不動産の売買価格は恣意的に設定できます。つまり、やりようによっては、いくらでも利益操作ができてしまうことになります。

例えば、個人の場合の不動産売却損は他の所得と相殺できないので、個人から会社に不動産を売却するときは1円で売ってしまい、会社が所有権を得た後に、時価(市場価格)で売却して、売却益を、その他の利益と相殺してしまおうと考えることもできるわけです。

しかし、そんなこと許してしまっては、どんどん国が得られる税金が減っていってしまいます。

そこで、自己所有の物件を同族会社に売却するときは、「時価(市場価格)」で不動産売買契約を締結しないと個人には所得税、会社には法人税を追徴課税できるように国は定めました。

具体的には、個人が時価(市場価格)の半分未満の価格で同族会社に不動産を売却した場合には、時価(市場価格)で不動産を売却したとみなされ、追徴課税される可能性があります。

また、会社の方では、時価(市場価格)より低額で不動産を仕入れていますが、時価(市場価格)と購入価格の差額は受贈益とみなされ、法人税が追徴課税される可能性があります。

つまり、時価(市場価格)より低額で自己所有の不動産を会社に売却した場合、所得税と法人税のダブルパンチを受ける可能性があるため、時価(市場価格)で不動産を販売しないといけないことになります。

会社で購入した不動産を第三者に売却するときは時期に気をつけよう

自己所有の不動産を同族会社で購入する場合は時価(市場価格)で売却しなければいけませんでした。

不動産の時価(市場価格)は不動産鑑定士から不動産鑑定評価を受ければわかります。

不動産鑑定士は会社からお金をもらって不動産鑑定評価を行うので、どうしても会社の意向を無視した不動産の評価額は出しづらくなります。

そして、同じ不動産なんて世の中に一つもない訳で、不動産の適正価格なんて誰にも分りません。言い換えると、合理的な算定根拠に基づいた適正だと考えられる価格を時価としたならばだれも文句がつけられないわけです。

つまり、先ほど、個人から会社に不動産を売却するときは1円で売ってしまい、会社が所有権を得た後に市場価格で売却して、売却益を、その他の利益と相殺するスキームの例を挙げましたが、これが1円ではなく、合理的な算定根拠に基づいた売却金額ならば、成り立つ可能性もあるわけです。

仮にそのスキームが成り立っている場合、会社が購入した不動産を第三者に売却するのは1年超待った方が無難でしょう。第三者に不動産を売却した金額が時価(市場価格)だろうと突っ込まれたら、反論のしようがありません。追徴課税をされる可能性が非常に高くなることでしょう。

個人でローンが残っているのなら会社への不動産売却時に銀行にも許可をとろう

個人で購入した不動産にローンが残っていても、不動産売買取引自体は銀行には関係ない話なので、当然個人から会社に不動産を売却することはできます。

そして、月々の返済額が個人から返済されている限り、仮に売却することの許可を銀行に取っていなくても大きな問題にならないことも多いです。

しかし、銀行側から考えるとあまりいい気持ちにはならないでしょう。次回の銀行融資も視野にいれるなら、必ず事前に銀行の許可を得て、個人から会社に不動産を売却した方が賢明でしょう。