確定申告の間違いに気づいたら|修正申告・更正の請求の手順を税理士が解説

確定申告を誤った場合や申告期限までに申告書が出来ない場合の対処方法!

個人事業主やフリーランスの方が確定申告を終えた後に「計算を間違えたかも」「経費を入れ忘れた」と気づいて不安になっていませんか。

確定申告の間違いは、気づいたタイミングと内容によって正しい直し方が変わります。

期限内なら訂正申告、税額が増えるなら修正申告、減るなら更正の請求です。

本記事では、不動産業の経理でつまずきやすい点も交えながら、ペナルティを最小限に抑える手順を初心者向けにやさしく解説します。

目次

確定申告の間違いに気づいたら、まず「直し方」を選ぶ

確定申告の間違いは、放置せず気づいた時点で正しい方法を選んで直せば、ペナルティを最小限に抑えられます。

直し方は大きく4つあり、「いつ気づいたか」と「税額が増えるか・減るか」で決まります。

まずは言葉の意味を押さえましょう。

訂正申告(=期限内のやり直し)

確定申告の期限(原則3月15日)までに誤りに気づき、正しい内容で出し直す手続きです。

ペナルティはありません

修正申告(=税額を増やす訂正)

期限後に「税額を少なく申告していた」と気づいたときに正しい税額へ直す手続きで、過少申告加算税の対象になることがあります。

更正の請求(=税額を減らす訂正)

期限後に「税金を払いすぎていた」と気づいたときに、納めすぎた分を返してもらう手続きです。

期限は法定申告期限から5年以内です。

期限後申告(=出し忘れの申告)

そもそも期限までに申告していなかった場合の手続きで、無申告加算税と延滞税の対象になります。

自分のケースがどれに当たるかを見極めることが第一歩です。

次の章で4つの違いを表で比べてみましょう。

訂正申告・修正申告・更正の請求・期限後申告の違い【比較】

4つの手続きは、気づいた時期と税額の増減で使い分けます。

下の表で自分のケースに当てはまるものを確認してください。

手続き使う場面期限の目安ペナルティ
訂正申告期限内に誤りに気づいた申告期限(原則3/15)までなし
修正申告期限後・税額が増える税務署の更正まで(早いほど良い)過少申告加算税・延滞税
更正の請求期限後・税額が減る法定申告期限から5年以内なし(還付)
期限後申告申告を忘れていた気づき次第すぐ無申告加算税・延滞税

ここからは、実務で迷いやすい修正申告と更正の請求について、具体的な手順を見ていきます。

修正申告のやり方と手順|税額を少なく申告していた場合

税額を少なく申告していたと気づいたら、税務調査の通知が来る前に自主的に修正申告するのが鉄則です。

自主的な修正なら、後述のとおり加算税を大きく抑えられます。手順は次のとおりです。

STEP
正しい税額を再計算する

漏れていた収入や誤った経費を洗い出し、正しい所得と税額を計算し直します。

根拠となる帳簿・領収書を必ず手元に残します。

STEP
修正申告書を作成する

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxで提出済みの内容を呼び出し、第一表と第五表(修正申告用)を作成します。

STEP
税務署へ提出する

e-Tax・郵送・窓口のいずれかで提出します。

提出が早いほど延滞税が少なくなります。

STEP
差額の本税と延滞税を納付する

増えた本税を納付します。

納付が遅れた日数に応じて延滞税が加算されるため、納付もできるだけ早く行います。

  • 調査通知(=税務署が「これから税務調査を行う」と事前に知らせる通知)の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません(0%)
  • 調査通知の後〜更正の予知前は、過少申告加算税の税率が原則5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)かかります。なお「更正の予知」とは、調査で誤りを指摘され、税務署から税額を直される(更正される)と分かることです。
  • 更正を予知した後は、過少申告加算税の税率が10%(同じく超過部分は15%)かかります。

逆に、税金を払いすぎていた場合は、次の更正の請求で取り戻せます。

更正の請求のやり方と期限|税額を多く申告していた場合

税金を払いすぎていたときは、法定申告期限から5年以内なら更正の請求で返してもらえます。

手順は修正申告と似ていますが、提出する書類が異なります。

STEP
誤りと正しい税額を確認する

控除の入れ忘れや二重計上など、払いすぎの原因と正しい税額を確認します。

STEP
更正の請求書を作成する

「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を作成します。

確定申告書等作成コーナーでも作成できます。

STEP
添付書類とともに提出する

請求の理由を証明する書類(控除証明書など)を添えて、所轄の税務署へ提出します。

STEP
税務署の確認後に還付される

税務署が内容を確認し、認められれば納めすぎた税金が還付されます。

  • 更正の請求の期限は法定申告期限から5年。過ぎると原則として取り戻せません。
  • 還付までは通常1〜3か月程度かかります。

では、間違いを直すと具体的にどんなペナルティがかかるのか、最新の税率で確認します。

間違いにかかるペナルティ|加算税・延滞税の最新税率

間違いを直すと、本税に加えて加算税と延滞税が上乗せされることがあります。

ただし、自主的に早く直せば大きく軽減できます。

まず加算税の種類と割合を押さえましょう。

加算税の種類かかる場面割合
過少申告加算税期限後に税額を少なく申告していた10%(一定額超は15%)
無申告加算税期限までに申告しなかった15%/20%/30%(金額帯別)
重加算税事実の仮装・隠ぺいがあった35%(無申告は40%)

無申告加算税は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものから、50万円まで15%・50万円超300万円まで20%・300万円超は30%と重くなりました(令和5年度税制改正)。

延滞税は納付の遅れに対する利息です。

令和8年(2026年)は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%2か月を過ぎると年9.1%です。

たとえば本税が30万円増え、納付が納期限から60日遅れた場合、延滞税は概算で「30万円×2.8%×60日÷365日=約1,400円」です。

さらに調査後の修正なら過少申告加算税1万5千円(30万円×5%)が加わります。

ここまでは一般的なルールです。

次は不動産業で特に間違えやすい点を見ます。

不動産業の経理で特に間違えやすいポイントと注意点

個人事業主として不動産賃貸を行う場合、家賃収入の計上時期や減価償却・修繕費の判断ミスが申告の誤りにつながりやすいです。

次の点は税務調査でも指摘されやすいので注意しましょう。

  • 家賃収入の計上漏れ・期ずれ:前受家賃や年末分の家賃を翌年に回していないか確認します。
  • 修繕費と資本的支出の混同:価値を高める工事は一括経費(修繕費)ではなく減価償却の対象です。
  • 減価償却費の計算誤り:建物と土地を按分し、建物だけを償却しているか確認します。
  • 敷金・保証金の扱い:返還しない部分だけが収入。預り分を収入に含めていないか確認します。
  • 消費税の課税・非課税の取り違え:居住用家賃は非課税、店舗・事務所の家賃は課税です。

こうした間違いも、気づいた時点で正しく直せばリスクは抑えられます。

最後に、ペナルティを最小限にするコツをまとめます。

ペナルティを最小限にする3つのコツ

ペナルティを抑える最大のポイントは、調査の通知が来る前に自分から早く直すことです。

  • 調査通知の前に自主的に修正申告する:過少申告加算税が0%になります。
  • 本税はできるだけ早く納める:延滞税は遅れた日数で増えるため、早い納付が有利です。
  • 判断に迷う論点は税理士に相談する:根拠資料を残し、特例の要件を満たすか確認してから直します。

要点を最後に整理します。

まとめ|間違いは「早く・正しく・自主的に」直す

確定申告の間違いは、気づいた時点で正しい手続きを選び、自主的に早く直すことが、いちばんのリスク回避になります。

  • 期限内なら訂正申告、税額が増えるなら修正申告、減るなら更正の請求
  • 更正の請求の期限は法定申告期限から5年
  • 調査通知前の自主修正なら過少申告加算税はかからない。

不動産特有の論点で判断に迷うときは、早めに専門家へ相談すると安心です。

よくある質問(FAQ)

確定申告の間違いはいつまで直せますか?

税額を減らす更正の請求は法定申告期限から5年以内、税額を増やす修正申告は税務署の更正があるまでいつでも可能です。

ただし早いほどペナルティは軽くなります。

修正申告すると必ず加算税がかかりますか?

税務調査の事前通知の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。

調査通知後〜更正の予知前は原則5%(一定額を超える部分は10%)です。

申告を忘れていた場合はどうなりますか?

期限後申告となり、無申告加算税(50万円まで15%、50万円超300万円まで20%、300万円超30%)と延滞税がかかります。

調査通知前の自主申告なら5%に軽減されます。

延滞税は今いくらですか?

令和8年(2026年)は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月経過後は年9.1%です。

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