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不動産業の個人事業税とは?計算方法・10棟10室基準・節税を初心者向けに税理士が解説

2026 6/05
広告
個人事業主の税金
2026年6月3日2026年6月5日
個人事業税とはなにか

「個人事業税って、自分の不動産経営にも関係あるの?」

アパートや一戸建てを貸し出している方から、よくこんな疑問をいただきます。

所得税や住民税には馴染みがあっても、個人事業税という言葉は初めて聞くという方も少なくありません。

まずは「自分には関係ない税金」だと思わず、少しだけお付き合いください。

実は、一定の規模以上で不動産を貸し付けている場合、個人事業税の課税対象になります。

どの規模から課税されるのか、どうやって計算すればよいのか――知らないまま放置すると、後から都道府県に指摘されるケースもあります。

でも大丈夫。仕組みさえ理解すれば、対策も十分立てられます。

「個人事業税」ってそもそも何?という方へ

個人事業税とは、都道府県に納める地方税の一種です。「法人には法人事業税、個人には個人事業税」と対になるイメージで覚えてください。道路・下水道・ごみ処理など、事業活動に使う行政サービスの費用を事業者が少し負担する仕組みです。所得税や住民税とは別に、毎年8月と11月の2回、都道府県から届く納税通知書で支払います。

この記事では、個人事業税の基本から計算方法・10棟10室基準・節税対策まで、順を追ってわかりやすく解説します。

【この記事でわかること】

  • 個人事業税とは何か、どんな税金なのか
  • 不動産貸付業が課税される「10棟10室基準」とは何か
  • 具体的な計算例・仕訳と確定申告の書き方
  • 不動産オーナーが使える節税対策3つ
目次

個人事業税とは?3分でわかる基本

個人事業税とは、都道府県が課す地方税で、法律で定められた事業(法定業種・70種類)を営む個人事業主が納める税金です。

不動産貸付業はこの法定業種に含まれており、一定規模以上であれば課税対象になります。

項目内容
課税主体都道府県(事務所・事業所がある都道府県に納める)
課税対象地方税法で定められた70種類の法定業種を営む個人事業主
税率業種によって3〜5%(不動産貸付業は5%)
申告方法所得税の確定申告と一括(別途申告原則不要)
納付時期8月・11月の2回

事業主控除額290万円がポイント!

個人事業税には事業主控除として年間290万円が自動的に差し引かれます。課税所得(所得金額から各種控除を引いた後)が290万円以下であれば、個人事業税はゼロです。年の途中で開業・廃業した場合は月割計算になります。

【参照:東京都主税局「個人事業税」】

不動産貸付業は個人事業税の課税対象?10棟10室基準をわかりやすく解説

不動産貸付業は第1種事業(税率5%)として個人事業税の課税対象です。

ただし、すべての不動産収入が対象になるわけではなく、「一定の事業規模」を満たした場合にのみ課税されます。

この「一定の事業規模」を判定する基準が、いわゆる「10棟10室基準」です。

物件の種類課税対象となる規模
貸家(一戸建て)10棟以上
アパート・マンション(貸間)10室以上
上記の混在(例:一戸建て2棟+アパート8室)合算で事業的規模とみなされる場合あり
住宅用以外の独立家屋(倉庫・店舗等)5棟以上

「5棟10室基準(所得税)」と「10棟10室基準(個人事業税)」の違い

不動産貸付けには2種類の「事業的規模」の基準があり、混同されがちです。所得税の青色申告特別控除(65万円)や専従者給与の判定に使う5棟10室基準(国税庁)と、個人事業税の課税対象かどうかを判定する10棟10室基準(都道府県)は別物です。

区分一戸建てアパート等目的
所得税の事業的規模5棟以上10室以上65万円控除・専従者給与の適用判定
個人事業税(住宅用)
神奈川・大阪等
10棟以上10室以上個人事業税の課税対象判定
個人事業税(住宅用以外の独立家屋)5棟以上―個人事業税の課税対象判定

例:住宅用の一戸建てを5棟所有している場合、所得税では事業的規模として扱われますが、個人事業税(住宅用)では10棟未満のため原則として課税されません。ただし住宅用以外の倉庫・店舗等であれば5棟以上で課税対象となります。

10棟10室に満たなくても課税される場合があります!

東京都など多くの都道府県では補完基準が設けられており、床面積600㎡以上かつ収入金額1,000万円以上の場合は、10棟10室に満たなくても不動産貸付業と認定され課税対象になります。「うちは7室だから大丈夫」と思っていても油断は禁物です。

【参照:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付け」・東京都主税局「個人事業税」】

個人事業税の計算方法【不動産業の具体例・仕訳つき】

個人事業税の計算式は「(所得金額+青色申告特別控除額 ± 事業専従者給与 - 各種控除)× 税率5%」です。

5つのステップで順番に確認しましょう。

STEP
不動産所得金額を確認する

確定申告書「第一表」の不動産所得欄の金額を使います。

青色申告特別控除後の金額がそのまま起点になります。

STEP
青色申告特別控除額を足し戻す

個人事業税には青色申告特別控除の適用がありません。

そのため所得税で控除した65万円(または55万円・10万円)を加算します。

これを忘れる方が多いので要注意!

STEP
事業専従者給与を加減算する

所得税での事業専従者給与(控除)額を加算し、個人事業税での控除額を差し引きます。

青色申告の場合は実額控除なので通常プラスマイナスゼロになります。

STEP
事業主控除290万円を差し引く

年間290万円が一律に控除されます。

この控除を引いた残額がゼロ以下であれば個人事業税は発生しません。

STEP
税率5%をかける

不動産貸付業は第1種事業に分類されるため、税率は5%です。

算出された税額が納税額になります(【参照:東京都主税局】)。

【計算例】アパート12室を所有するオーナーのケース

条件金額
不動産所得(青色申告特別控除後)450万円
青色申告特別控除額(足し戻し)+65万円
事業専従者給与の加減算0円
事業主控除-290万円
課税標準額225万円
税率5%
個人事業税額11万2,500円

計算式:(450万円 + 65万円 - 290万円)× 5% = 11万2,500円

個人事業税を納めたときの仕訳

個人事業税を納めたときは、勘定科目「租税公課」を使って経費に計上します。

借方金額貸方金額
租税公課112,500円普通預金112,500円

確定申告での申告方法と納付時期

所得税の確定申告(3月15日締め)を行っている場合、個人事業税の別途申告は原則不要です。

確定申告書「第二表」の「住民税・事業税に関する事項」欄を正確に記入することで、自動的に都道府県へ情報が送られます。

確定申告書「第二表」の記入が最重要!

「住民税・事業税に関する事項」欄の②損益通算の特例適用前の不動産所得と④不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額を必ず記入しましょう。この記載漏れが最もよく発生するミスです。

項目内容
申告期限所得税の確定申告と同じ(翌年3月15日)
納付時期8月と11月の2回(8月頃に納税通知書が届く)
納付方法口座振替・コンビニ・スマートフォン決済・ATM(ペイジー)など

不動産オーナーが使える節税対策3つ

個人事業税の節税は、合法的な控除と事業構造の最適化で実現できます。

不動産オーナーに特に有効な3つの対策を解説します。

節税対策① 青色事業専従者給与を活用する

事業的規模と認められれば、配偶者や家族を青色事業専従者として届出し、給与を必要経費に計上できます。課税所得が減るため、個人事業税・所得税・住民税の3つを同時に節税できます。

節税対策② 修繕費・管理費を適切に経費計上する

修繕費・管理委託料・火災保険料・減価償却費などは正しく必要経費に算入することで課税所得を圧縮できます。「資本的支出」と「修繕費」の区分を誤ると税務調査で指摘されやすいため、正確な処理が重要です。

節税対策③ 法人化(不動産管理会社の設立)を検討する

規模が大きくなってきたら、不動産管理会社を設立して役員報酬の形で所得を分散する方法が有効です。個人事業税(5%)より法人税率が有利になるケースがあります。ただし社会保険料の負担増など総合的な判断が必要なため、専門家への相談をおすすめします。

税務調査で指摘される!よくある間違いと注意点

不動産業の個人事業税で特に多いミスを、不動産業専門税理士が解説します。

よくある間違い3つ

  • 青色申告特別控除の足し戻し漏れ:所得税では差し引いた65万円控除を、個人事業税の計算で足し戻さないと税額が過少になります。
  • 確定申告書第二表の記載漏れ:②・④欄を空欄のまま提出すると、都道府県が正しく課税できず後日修正が必要になります。
  • 10棟10室基準の誤解:「7室だから関係ない」と思っていても、補完基準(床面積・収入金額)で課税対象になることがあります。

まとめ:不動産業の個人事業税は早めの確認が大切

この記事のポイント整理

  • 個人事業税は都道府県に納める地方税。不動産貸付業は第1種事業として税率5%
  • 一戸建て10棟以上・アパート10室以上が原則の課税基準(10棟10室基準)
  • 事業主控除290万円が自動差し引きされ、課税所得290万円以下なら税額ゼロ
  • 青色申告特別控除の足し戻しと確定申告書第二表の記載が申告のポイント
  • 節税は「専従者給与・経費計上・法人化」の3方向から検討する
個人事業税はいくらから払うの?

課税所得が290万円を超えると個人事業税が発生します。

課税所得=(所得金額+青色申告特別控除額±事業専従者給与)から290万円の事業主控除を差し引いた残額です。

残額がゼロ以下であれば税額は発生しません。

アパートを数室しか持っていない場合でも課税される?

原則は10室未満なら課税対象外ですが、床面積600㎡以上かつ収入1,000万円以上の場合は補完基準により課税されるケースがあります(東京都の場合)。

都道府県ごとに基準が異なるため、所轄の都道府県税事務所か税理士にご確認ください。

確定申告で個人事業税を申告するには?

所得税の確定申告書「第二表」の「住民税・事業税に関する事項」欄にある②損益通算の特例適用前の不動産所得と④不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額を記入することで完了します。

別途都道府県へ申告書を提出する必要は原則ありません。

個人事業税はいつ、どうやって払うの?

毎年8月と11月の2回に分けて納付します。

8月頃に都道府県税事務所から納税通知書が届くので、記載の金額を期限までに納めます。

口座振替・コンビニ払い・スマートフォン決済など多様な方法が利用できます。


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