今回は分譲マンションを保有している場合の相続税の小規模宅地等の特例を検討していきましょう。

マンションのような区分所有建物の場合、敷地権が小規模宅地等の特例の対象になります

なお、敷地権とは、マンション1室に対するその土地の使用分のことです。

専有部分を売却すれば敷地権も一緒に移転するため、専有権の元になる建物の利用状況によって敷地権ごとに小規模宅地等の特例の判定を行うことになります。

事例で確認してみましょう。

【事例】
父親が所有していた土地にマンションを建てるため、土地とマンションの3室を交換しました。
交換により取得したマンションの利用状況は以下のようになります。
101号室(70㎡) 父親と母親が生活しています。
102号室(70㎡) 息子一家が生活しています(生計別)。
103号室(70㎡) 他人に賃貸しています。
101号室、102号室の敷地権の評価額 各1,000万円
103号室の敷地権の評価額880万円(貸家建付地のため)
父親が亡くなり、相続が発生し、101号室、103号室は母親が、102号室は息子が相続しました。

101号室、102号室、103号室の敷地権に対して小規模宅地等の特例が適用できないかを考えていくことになります。

101号室ですが、母親が暮らしていたため、配偶者特例によって、特定居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例(80%減額)が適用できることになります。

102号室ですが、息子は父親と生計を別にしていますので、小規模宅地等の特例を適用できないことになります。

なお、生計一の場合、特定居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例を適用できますが、息子が大学生や生活力がないなどで父親に扶養義務があることが生計一の要件となるため、要件を達成するのは非常に困難です。

103号室については、他人に貸し付けているので貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例(50%減額)を適用できることになります。

なお、貸付事業用宅地等の場合、小規模宅地等の特例は50%減額ですが、そもそも貸家建付地になり、敷地権の評価額自体が減額されています

特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等は限度面積までは併用して小規模宅地等の特例を適用できることになります。

計算式は以下のようになります。

併用限度面積の計算式

特定事業用宅地等の面積×0.6060+貸付事業用宅地等の面積≦200㎡

つまり、今回の事例の場合、70㎡×0.6060+70㎡=112.42≦200㎡のため、併用できることになります。

最後に相続税の対象となる敷地権の評価額を計算していきましょう。

101号室 1,000万円-1,000万円×80%=200万円
102号室 1,000万円
103号室 880万円-880万円×50%=440万円
全体の敷地権の評価額 200万円+1,000万円+440万円=1,640万円になります。