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遺言書の種類はどれを選ぶべき?自筆・公正証書・秘密証書のメリット・デメリットを税理士が比較

2026 6/05
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相続-基本
2026年5月21日2026年6月5日
遺言書の種類別のメリット・デメリットと記載事項について!

「遺言書を作成したいけど、種類が多くてどれを選べばいいかわからない」「書き方を間違えると無効になると聞いたけど、何に気をつければいいの?」——そんなお悩みをお持ちではないでしょうか。

実際に、遺言書の書き方を誤って無効になってしまうケースは少なくありません。たとえば、「日付が書いていない」「全文を自書していない」「押印を忘れた」——たったこれだけで、家族のために残した遺言書が法律上まったく意味をなさなくなってしまいます。

また、遺言書は相続トラブルの防止だけでなく、相続税の節税にも大きく関わります。誰にどの財産を渡すかを生前に決めておくことで、相続税の負担を大幅に減らせるケースもあります。

この記事では、相続税を専門とする税理士が、遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)のメリット・デメリットから、遺言書に書くべき記載事項まで、初めての方でもわかるように丁寧に解説します。

この記事はこんな方におすすめ

  • 遺言書の種類と選び方を基礎から知りたい方
  • 遺言書が無効にならないか不安な方
  • 相続トラブル・相続税の負担を少しでも減らしたい方
  • 専門家に頼む前に基礎知識を身につけたい方

【この記事の概要】

  • 遺言書の作成目的は、相続人間のトラブルを避けるためと相続税を最小にするための2つがある
  • 遺言の種類は3つあるが、公正証書遺言が一般的かつ一番メリットが大きい
  • 遺言書の記載事項には書かないと効力が生じない法定遺言事項と被相続人(亡くなった人)の思いを表明する付言事項がある
目次

遺言書を作成する目的について

遺言書を作成する目的は、主に以下の2点が考えられます。

目的内容
① 相続人間のトラブル防止財産の分け方を明確にすることで、相続人同士の争いを未然に防ぐ
② 相続税の節税誰にどの財産を渡すかを指定することで、相続税の負担を最小化できる

弁護士や税理士などの専門家にアドバイスを受け、公正証書遺言を残すことも多いでしょう。

しかし、被相続人(遺産を残す人)や相続人(遺産を受け取る人)が最低限のルールを知っていないと、不利益を被ることもあります。たとえば、遺言書が民法の要件を満たさない場合、その遺言書は無効となります。

そこで今回は、遺言書の基本的な種類とそれぞれのメリット・デメリットを確認し、最後に遺言書の記載事項を解説します。

遺言書の種類

遺言は民法の定める方式に従ったもののみが有効となり、要件を満たさない遺言は効力を持ちません。

遺言の方式には「特別方式遺言」と「普通方式遺言」がありますが、特別方式遺言は緊急事態時に行う遺言であるため、普通方式遺言だけ覚えておけば十分です。

普通方式遺言には以下の3種類があります。

【普通方式遺言の種類】

  • 自筆証書遺言:遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印するもの
  • 公正証書遺言:公証人が作成し、公証役場に保管されるもの
  • 秘密証書遺言:内容を封印したまま、遺言書の存在だけを公にするもの

自筆証書遺言は民法が定める要件に当てはまらず無効になることも多く、秘密証書遺言は利用場面が限られるため、公正証書遺言を作成することが一般的です。

以下の比較表で3種類の違いをまとめました。

比較項目自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
作成方法遺言者が自書公証人が作成遺言者が作成し封印
費用無料有料(財産額に応じる)有料
証人不要2名必要2名必要
検認手続き必要不要必要
改ざんリスクありなしあり
紛失リスクありなし(公証役場保管)あり
内容の秘密保持可能困難可能
無効リスク高い低い中程度

自筆証書遺言

内容

自筆証書遺言は、遺言者が日付・氏名・全文を自書し、押印する遺言書です。遺言者がすべての部分を自書する必要があります。

ただし、遺言書に添付する財産目録についてはパソコンで作成することも可能です(毎ページに署名・押印が必要)。

  • 日付・氏名・押印のいずれかが欠けると遺言書が無効になります
  • 財産目録以外をパソコンで作成した場合も無効になります
  • 法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用すると、紛失・改ざんリスクを減らせます(検認も不要になります)

メリット

  • 遺言者1名で作成できる
  • 費用が掛からない
  • 遺言の内容を秘密にしておくことができる

デメリット

  • 検認手続き(家庭裁判所に遺言書を確認してもらう手続き)が原則必要
  • 遺言書の紛失・改ざんリスクがある
  • 民法の要件に合わず無効になるリスクがある
  • 文章が不明確なため相続人間でトラブルが起きる可能性がある

公正証書遺言

内容

公正証書遺言とは、遺言者が遺言の趣旨を口頭で述べ、公証人がそれを筆記して公正証書として遺言書を作成する方法です。

公証役場で保管されるため、紛失・改ざんのリスクがなく、最も安全・確実な遺言方式です。

作成の流れ(要件)

STEP
証人2名の確保

子・配偶者などの推定相続人は証人になれません。知人や専門家(弁護士・司法書士など)に依頼します。

STEP
公証人への口述

遺言の趣旨を遺言者が公証人に直接口頭で述べます。

STEP
公証人による筆記・読み聞かせ

公証人が筆記した内容を遺言者と証人に閲覧(または読み聞かせ)します。

STEP
遺言者・証人・公証人による署名・押印

内容を確認のうえ、全員が署名・押印して完成します。

メリット

  • 内容に不明確な点が出にくい(複数人で確認するため)
  • 証拠力が高い(公証人・証人が立ち会うため)
  • 文字が書けなくても作成できる(公証人が代わりに付記可能)
  • 改ざん・紛失リスクがない(公証役場で保管するため)
  • 検認手続きが不要(相続発生後の手間が省ける)

デメリット

  • 準備に手間がかかる(証人・公証人の関与が必要)
  • 遺言の存在や内容が証人等に知られてしまう
  • 作成費用がかかる(財産総額に応じて手数料が変わる)
  • 公正証書遺言の作成費用(手数料)は財産の価額に応じて異なります。例えば財産総額が1,000万円の場合は約17,000円、5,000万円の場合は約29,000円程度が目安です(日本公証人連合会の手数料令に基づく)。

秘密証書遺言

内容

秘密証書遺言とは、遺言者が遺言内容を封印したうえで、その封印した遺言書を公証人や証人に提出する遺言形式です。

遺言の内容を秘密にしつつ、遺言書があることだけを公にできるという特徴があります。

メリット

  • 遺言の内容を秘密にしつつ、遺言書の存在を公にできる
  • パソコンや代筆での作成も可能(自書不要)

デメリット

  • 準備に手間がかかる(証人・公証人の関与が必要)
  • 内容を公証人が確認できないため、文章が不明確で相続トラブルになるリスクがある
  • 検認手続きが必要(相続発生後に家庭裁判所での手続きが必要)
  • 作成費用がかかる

遺言書の記載事項について

遺言書の記載事項には、法定遺言事項と付言事項の2種類があります。

法定遺言事項とは

法定遺言事項とは、遺言書に記載することで具体的な法律効果が生じる事項です。記載がなければ法律上の効力は発生しません(重要なものを限定列挙)。

相続分の指定

各相続人が受け取る財産の割合を指定できます(例:長男に6割、次男に4割など)。

遺産分割方法の指定

どの財産を誰に渡すかを具体的に指定できます(例:自宅は配偶者に、預金は長男に、など)。

包括遺贈・特定遺贈

相続人以外の第三者(例:孫・友人・NPO法人など)に財産を贈ることができます。

相続人の廃除・廃除取消

虐待など著しい非行のあった相続人を廃除(相続権を剥奪)することや、その取消を指定できます。

子の認知

婚姻関係のない相手との間に生まれた子を、遺言で認知することができます。

遺留分侵害額請求の負担割合の定め

遺留分侵害額請求が起きた場合に、各受遺者が負担する割合をあらかじめ指定できます。

付言事項とは

付言事項とは、法定遺言事項以外の事項で、相続人への想いや生前の意向を伝えるために記載するものです。法的な効力はありませんが、相続人への精神的な拠り所となります。

【付言事項の記載例】

  • 遺産分割の意図・理由(「長男に多く渡す理由は、介護への感謝から」など)
  • 家業の後継者への期待・メッセージ
  • 葬儀・お墓・供養に関する希望
  • 家族へ伝えたい感謝の言葉

よくある質問

遺言書は何歳から作成できますか?

民法上、15歳以上であれば遺言書を作成できます(民法961条)。ただし、遺言作成時に意思能力があることが必要です。認知症が進行している場合は無効となる恐れがあるため、判断能力があるうちに作成することが重要です。

遺言書がない場合はどうなりますか?

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めます。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停・審判に移行します。こうしたトラブルを防ぐためにも、遺言書の作成が推奨されます。

自筆証書遺言を法務局に預けるメリットは何ですか?

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用すると、①紛失・改ざんリスクがなくなる、②相続発生後の検認が不要になる、というメリットがあります。費用は3,900円(保管申請手数料)と低コストです(法務省ホームページより)。

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