公認会計士・税理士事務所を10年経営して、また、自分が実際に不動産業務に関わってきた知識や経験を活かして、「不動産業を営む小規模会社の経理・税務マニュアル」をまとめてみたいと思いました。
今回は、その第2回目で、小規模会社にかかる税金の種類についてまとめてみました。
今回の記事は、不動産業でなくても小規模会社(目安:従業員10名未満)であれば、関係してくる記事になります。
他業種の方も含めて小規模会社にかかる税金の種類を知りたい人はぜひご覧ください。
目次
小規模会社にかかる税金の種類
小規模会社は、大会社と違い、経理・税務業務に多くの人数をかけることが出来ません。
よって、限られたリソースの中で、経理・税務業務にかかる作業量を減らしつつ、適切な節税対策を行い、税額の正確な計算をしていくことが目標になります。
そして、上記の目標を達成するために、小規模会社にかかる税金の種類を知っておくことが最初の一歩になります。
各々の税金には免税点や特例が設定されており、ルールを把握していれば、通常決められた作業量を大幅に減らすことができ、場合によっては税額まで減らすことが出来ます。
なお、社会保険料は厳密には税金ではありませんが、実質的に税金と全く変わらないので、一緒に議論していきます。
税金の種類 | 内容 |
---|---|
法人税 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内に税務署に申告する税金です。 期中の取引記録に基づき、期末日後に法人税の申告書を作成します。 中小法人の場合は、800万円まで法人税率を15%に減額できる租税特別措置法の特例がありますので、必ず申告書とともに適用額明細書を提出してください。 |
法人住民税 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内に地方自治体に申告する税金です。 期中の取引記録に基づき、期末日後に法人住民税の申告書を作成します。 なお、法人住民税は、会社が赤字の場合でも最低7万円の住民税均等割の支払い義務があります。 |
法人事業税 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内に地方自治体に申告する税金です。 期中の取引記録に基づき、期末日後に法人事業税の申告書を作成します。 事業税の申告書は法人住民税の申告書と一体となっており、地方自治体に提出することになります。 |
消費税 | ①インボイス制度に登録している場合、②2年前の売上高が1,000万円超である場合、③資本金が1,000万円以上ある場合などは、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に消費税の申告義務があります。 なお、消費税の申告義務が無くても、消費税課税事業者選択届出書を前年度末までに提出すれば消費税課税事業者になれます。 赤字幅が大きい会社の場合は、消費税が還付される可能性がありますので、消費税の申告義務がなくても、課税事業者になるか検討すると良いでしょう。 |
固定資産税 | 固定資産税の種類には、①土地・建物に対する固定資産税と②償却資産(例:事業用のエアコンや道路の舗装)に対する固定資産税の2種類があります。 土地・建物に対する固定資産税は、地方自治体の方で計算して納税者に納税額を郵送してくれますが、償却資産に対する固定資産税は、1月末までに地方自治体に申告しなければなりません。 なお、償却資産に対する固定資産税の免税点は150万円未満です。 一応、免税点未満でも申告が必要になります。 |
源泉所得税 | 従業員の給料や税理士・司法書士・弁護士などの報酬には、源泉所得税が課税されます。 源泉所得税とは、会社の給料や報酬の支払時に一定額を会社が預り、従業員や専門家の代わりに会社が税務署に支払う税金です。 通常は、毎月10日までに前月分の源泉所得税を税務署に支払います。 ただし、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を事前に税務署に提出している場合は、半年に一度(7月10日、1月20日)だけ源泉所得税を税務署に支払うことになります。 中小企業の場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、源泉所得税の支払を年2回に限定することで無駄な労力を省けます。 |
労働保険 | 役員を除く従業員が1名以上いる場合は、労働保険と雇用保険に加入しなければなりません。 労働保険と雇用保険に加入している場合、「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」を作成し、毎年6月1日から7月10日までの間に所轄都道府県労働局及び労働基準監督署に提出します。 小規模会社で労働保険の加入が伴うとかなり事務処理が増えます。 従業員0名→1名は、経理・税務業務の中で大きな違いを生み出すので、覚悟が持って従業員を雇ってください。 |
厚生年金・健康保険 | 管理会社で働く人(役員も含む)が1名以上いる場合、厚生年金・健康保険に加入しなければなりません。 厚生年金・健康保険に加入している場合、毎年6月中旬に「算定基礎届」が送られてくるので、それを7月10日までに郵送で事務センター又は管轄の年金事務所に提出します。 労働保険と違い、役員にも厚生年金・健康保険の加入義務があります。 ただし、役員報酬が0円の間は、厚生年金・健康保険の加入義務はありません。 |
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今回は、小規模会社にかかる税金の種類について解説しました。
この記事を見て、もし小規模会社の税金について細かく確認したくなった場合、以下の記事も参考にしてみてください。
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