【建物所有者必見!】 自己所有建物の内部造作の耐用年数は間違え易い!





法人が不動産賃貸業を行っていると、部屋を2つに分けるために壁を設けるような工事や電気工事・水道工事などを行うことが多いです。

これらの工事を総称して内部造作工事といいますが、内部造作工事に要した費用は、支出年度に全額を損金(経費)にすることはできず、固定資産に計上され、減価償却により徐々に損金(経費)にしていくことになります。

つまり、建物内部に大幅な工事を加えた場合、内部造作工事に当たり、支出金額を一旦固定資産に計上し、減価償却を通して徐々に損金に取り崩していくイメージです。

今回は、減価償却計算で重要になる内部造作工事の耐用年数をどう決めていくかを見ていきましょう。




この記事のポイント
  1. 自己所有他人所有かで内部造作工事の耐用年数は異なる
  2. 自己所有建物の内部造作工事の場合は、元の建物の耐用年数と同じになる
  3. 他人所有建物の内部造作工事の場合は、合理的に見積もった耐用年数になる
  4. 内部造作工事が建物附属設備に該当する場合は、内部造作工事は建物附属設備の耐用年数で減価償却する

「自己所有」か「他人所有」かが非常に大事

まず最初にどうしても抑えておいて欲しい点は、「自己所有」の建物か「他人所有」の建物かにより、内部造作工事の耐用年数の決め方が異なるという点です。

不動産賃貸会社の場合、通常「自己所有」の建物に内部造作を施すことになります。

一般的には、オフィスや店舗を「賃借して」事業を営む会社が多いため、世の中で拡散されている情報は「他人所有」建物の内部造作工事の耐用年数です。

もし、「自己所有」建物の内部造作工事を、「他人所有」建物の内部造作工事で処理していると、正しい耐用年数の半分ほどの耐用年数で減価償却をしている場合もあり、法人税法上は非常に大きな金額を間違っている可能性もあります

内部造作は金額が大きくなりやすく、間違った時の影響額も多額になりますので、慎重に処理する必要があります。

耐用年数とは?

法人税法上、最初に支出した工事金額は一度に損金(経費)に計上できず、減価償却を通して毎年徐々に損金(経費)にしていきます。
徐々に損金(経費)にする際に大切になるのが耐用年数で、通常耐用年数が小さくなるほど一年間に損金(経費)にできる金額は大きくなります。


内部造作とは?

建物の床・天井・壁紙などの大掛かりな内装工事や電気・給排水工事をして取り付けられたものを内部造作といいます。


自己所有の建物への内部造作工事

自己所有の建物への内部造作工事については、造作の構造が建物の構造と異なった場合でも、区分せず、建物に含めて建物の耐用年数を適用することになります。

例えば、事務所用の鉄筋コンクリート造の建物に木造の内部造作(ドア等)を設置した場合には、鉄筋コンクリート造の耐用年数(50年)を適用することになります。

木造(24年)の耐用年数と大幅にかけ離れた耐用年数を適用することになりますので注意が必要です。

木造の内部造作(ドア等)を建物から分離して、木造の耐用年数(24年)を適用したいところですが、法人税法上、残念ながら許されていません。

そもそも、木造の内部造作(ドア等)を50年も使える訳がないのですが、法人税法上は「課税の公平性」を維持するために適当な耐用年数を定めているだけです。

実際のところは、10年~20年位して、除却する際に取得価額から減価償却を差し引いた帳簿価格が損金(経費)として計上されるので、その時に損金(経費)になるため問題ないというのが法人税法上の建付けなのでしょう。

他人所有の建物への内部造作工事

法人が、事務所や店舗などを「賃借」して、内部造作工事を行った場合の耐用年数は、建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積もった耐用年数になります


【例:事務所を借りて、1部屋を2部屋に区切った場合の内部造作工事の耐用年数】

工事名称
取得価額
個別耐用年数
1年の減価償却費
軽鉄工事
200万円
38年
52,631円
木工造作工事
150万円
24年
62,500円
合計
350万円
30年 ※
115,131円

※ 350万円÷115,131円=30.04年⇒30年(小数点切捨て)

建物附属設備に該当する場合

内部造作が電気設備・給排水設備・衛生設備・ガス設備に当たる場合は、自己所有の建物でも他人所有の建物でもその部分は建物附属設備に該当するため15年の耐用年数になります

勘定科目も他の内部造作工事は「建物」勘定で処理されるのに対して、ここの部分だけは、「建物附属設備」で区分処理されます。

まとめ

法人税法上は、耐用年数が短ければ、1年間の損金(経費)を大きく計上できるため、内部造作工事で建物附属設備の分離が行われていないことは実務上ほぼ皆無でしょう。

ただ、「自己所有」の建物の耐用年数を「他人所有」の建物の耐用年数で処理してしまう間違えは意外に起こり得るので注意が必要でしょう。