この記事の対象者 所要時間
  • 節税対策に自動車の購入を検討している人
15分




自動車の減価償却を使った節税対策はかなり優秀です

巷でもよく耳にする自動車を使った節税対策について今日は検討していくことにしましょう。記事の内容が競合すると後発組は非常に不利なので、この記事を作るにあたり、類似の記事がないか調べたのですが、結構な数ありますね。

ネットでまとめられている記事の内容を要約すると、「4年以上経過している中古の自動車を買うと減価償却が1年で終わるので、実質的に購入価格がそのまま経費に計上でき、抜群の節税効果がありますよ」ということです。

確かにその通りなのですが、あまりにもザクッとしています。考え方がごそっと抜け落ちている感じです。全部書くと商売にならなくなる?と不安を持ちつつ、今回は知っていることの全部を書いて行くことにしましょう。

まずは、減価償却の概要を知ろう

業務のために使用される自動車は、走行距離や時間の経過によって、消耗していきます。

よって、自動車の取得に要した金額は、取得した時に全額経費にしないで、自動車の「使用可能期間」に渡って、分割して経費に計上しなくてはなりません。この「使用可能期間」を表すものとして法定耐用年数が決められています。減価償却とは、自動車の取得に要した金額を「使用可能期間」の経費として分割していく手続のことを言います。

減価償却の方法には定額法定率法という2つの方法があります。定額法は毎年同額を減価償却していく方法で、定率法は序盤に大きな金額を減価償却でき、先細っていく方法だと認識しておいてください。

ここで、まず最初の注意点ですが、個人事業主の場合は届出を出さないと自動車の減価償却方法が定額法になってしまいます。自動車の節税スキームを使うのであれば、定率法へ変更する届出を変更する年の3月15日までに税務署に提出してください。そうしないと、節税額が半分ぐらいになってしまいます。

法人の場合、届出を提出しないでも自動車の減価償却方法として最初から定率法が採用されますので、そのままで大丈夫です。

次に中古の自動車を購入しよう

中古の自動車の耐用年数について

新車ではダメです。新車では減価償却のところで紹介した法定耐用年数が使用されてしまい、5年か6年(業種による)で減価償却されていくことになってしまいます。

そこで、目をつけるのが中古の自動車です。中古の自動車の耐用年数の計算は新品の場合と異なります。

中古自動車の耐用年数の計算方法
耐用年数=(法定耐用年数―経過年数)+経過年数×20%
※端数切捨てです。

2つ例をあげてみます。なお、中古自動車の節税スキームを使用するときはいったん月数に直して計算し、その後年数に直すようにしましょう。

法定耐用年数6年の自動車を中古で購入した。3年10か月使用された中古車だった場合の自動車耐用年数を計算してください。
耐用年数=(72か月―46か月)+46か月×0.2=26か月+9.2か月か月=35.2か月⇒2年11か月⇒2年
端数切捨てのため、耐用年数は2年になります。
法定耐用年数6年の自動車を中古で購入した。3年9か月使用された中古車だった場合の自動車耐用年数を計算してください。
耐用年数=(72か月―45か月)+45か月×0.2=27か月+9か月か月=36.0か月⇒3年⇒3年
端数切捨てのため、耐用年数は3年になります。

中古自動車の取得に要した金額を一括で経費にできる耐用年数

定率法の場合、耐用年数2年までは1年で全額減価償却できることになります。ちなみに、「まずは、減価償却の概要を知ろう」で紹介した定額法の場合は1年間で減価償却として経費に計上できるのは5割までになります。

詳しくは耐用年数省令別表第十の下の方に平成24年4月1日以降の償却率が載っています。細かいので原文に戻って確認したい人以外はスルーしてください。

なお、法定耐用年数は国税庁のホームページで確認できるので、あなたの自動車が当てはまる年数を調べてください。耐用年数が6年でない場合は、「中古の自動車の耐用年数について」の式に当てはめてみれば3年10ヵ月以上型落ちでなくても取得に要した金額の全額を1年で経費に計上できる可能性があります。

まとめると4年型落ちを狙えと言われていますが、微妙に4年より短い年数で良いことに気づくでしょう。法定耐用年数が6年の中古自動車の場合は3年10か月以上経過していることが必要要件になることがわかるでしょう。

購入すべき中古自動車は?

ここまでの流れに沿えば、中古自動車の節税のスキームで自動車の購入に要した金額を1年で経費に計上できるはずです。あとは、中古自動車を最終的に売却したときには中古自動車の取得価額が0になっているので、固定資産売却益がでますので、赤字の決算の時にでも売却し、納税額は調整しましょう。

ただ、忘れてほしくない最も重要な注意点があります。

自動車の売却時にある程度のキャッシュが戻ってこないと節税のスキームとしては成り立っても、現金の出入りとしては割りに合わないということです。4年程度の時間が経っても価値のある車を選ぶことが非常に重要になります。BMVやベンツだと購入金額も高くなり節税効果もあり、さらに売却の時に値段が下落しにくいので、皆さんそちらに流れていく傾向です。なお、手持ち資金が少ない場合は、他の節税対策の方が出口戦略的に楽だと思います。

最後にダメ押しの論点

最後にダメ押しの論点です。

減価償却は購入した月から行わなければなりません。月割り計上になります。耐用年数が1年で決定したとしても、期末間際に購入したら、購入した月~決算月までの月割り分しか減価償却に計上できなくなります。

つまり、新しい決算期が始まったばかりの時点で中古自動車を購入しないと節税効果が薄くなります。

でも、黒字になるかどうかは期末間際にならないと分からないことはいくらでもあります。そんな場合でも法人ならばあきらめなくても良い場合があります。

法人の減価償却は税法上任意です。つまり、赤字の場合その期の減価償却をしなくても良いことになります。お金さえあれば、新しい期の最初に中古自動車を購入して、期末に減価償却するかしないか、つまり経費を増やすか増やさないかを調整できることになります。

個人事業主の場合、残念ながら減価償却は強制ですので、期首に中古資産を購入するかどうかは慎重に判断した方がよいでしょう。