小規模宅地等の特例の対象は相続人だけではなく親族も含みます!

小規模宅地等の特例を除く、相続税の諸制度では、相続人以外が財産を取得した場合、世代飛ばしによる節税を警戒して、相続人に比べて、税負担が重くなるように設計されています

しかし、小規模宅地等の特例は要件さえ満たせば、相続人でない親族でも平等に適用を受けることができます

小規模宅地等の特例の趣旨は被相続人が残した居住(特定居住用宅地等)や事業(特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等)を保護することが目的です。

つまり、被相続人から居宅や事業を引継いだ人を保護する制度ですが、必ずしも相続人(娘や息子)が居住や事業を引き継ぐ訳ではありません。

例えば、以下のような事例が考えられます。

母親(父親は死別)が所有する居宅に息子夫婦が同居していましたが、母親より先に息子が亡くなってしまいました。

息子が亡くなった後も、息子の妻は母親の介護をするため、同居していました。

母親は自身の死後の息子の妻の居住を確保するために、居宅とその敷地を遺贈したとします。

このような場合、母親の死亡により、敷地を取得した息子の元妻の居宅を保護する必要があると考えられ、必ずしも相続人に限らず、親族まで小規模宅地等の特例の対象にする必要性があることが分かります。

ただし、小規模宅地等の特例の適用を受けることができるのは親族までです。

一昔前までは、友人などの赤の他人に対しても小規模宅地等の特例の適用を認めていた時代がありました。

それまでは、土地の時価が右肩上がりで上昇を続けていたため、相続税の負担軽減から赤の他人に対しても、小規模宅地等の特例を認めていたのですが、地価の上昇が落ち着いた現在では、小規模宅地等の特例の範囲を厳格化するための改正が行われ、親族までが対象とされています