会費には、様々な種類のものがあり、仕訳をする際に、勘定科目の選択や消費税の区分で非常に悩まれる機会が多いのではないでしょうか?
1つ1つの会費はもともと少額なため、仮に勘定科目の選択や消費税の区分を間違っていても、多額の追徴課税を受けるような案件にはなりません。
ただし、会費は毎年発生するものなので、一度間違った処理をすると長く間違え続けることになり、地味に痛手を負うことになります。
そこで、今回は、会費の勘定科目と消費税について解説していきます。
会費は経費に算入できるか?
会費を経費に算入できるかどうかは、営んでいる事業に関連しているかどうかで変わります。
例えば、税理士が支払う税理士会に対する年会費は会費として経費に算入できます。
もし税理士が、年会費を支払わず、税理士資格をはく奪された場合には、税金の申告業務などの本業を廃業しなくてはなりません。
よって、税理士会に対する会費は、間違いなく営んでいる事業に関連していますので、経費に算入できます。
ただし、営んでいる事業に関係しているかどうかの判断は、税法では詳細に定められていません。
所得税法基本通達37‐9などで、中小企業協同組合、商工会議所、同業者団体の年会費については、経費になる旨を定めていますが、あくまで一例に過ぎません。
会費のうち経費に算入できるかどうかの判断、つまりは、支払った会費が営んでいる事業に関連しているかどうかの判断は各々の納税者が行うことになります。
会費を経費にするための資料の残し方について
会費は月額制のものや年額制のものが多く、個別に請求書や領収書がない場合が多いです。
その場合に、会費の引き落としがされたクレジット明細や銀行口座の出金履歴を経費計上の根拠書類としている方がいます。
クレジット明細や銀行口座の出金履歴が残っていれば、確かに会費の存在は分かりますが、営んでいる事業に関連しているどうかの判断をすることができません。
よって、営んでいる事業に関連しているかどうかを判断するためには、入会時にもらった会則や規約の条項(会費の内容や月会費の条項)を確認する必要があります。
税務調査が来た場合に備えて、会費の引き落としがされたクレジット明細や銀行口座の出金履歴だけでなく、最初にもらった会則や規約の書類も必ず保管しておきましょう。
会費の勘定科目と消費税について
会費の仕訳で使用する勘定科目には、主に諸会費・交際費・教育訓練費・支払手数料・福利厚生費があります。
使用する勘定科目が多岐に渡る理由は、会費の性質の違いによるところもありますが、主な理由は、消費税の課税・不課税を区分するためです。
例えば、諸会費の勘定科目で処理するものを交際費として処理しても、どちらも費用になるので、所得税や法人税の納税額は変わらず、さほど大きな影響を与えません。
ただし、諸会費の消費税区分は不課税で、交際費の消費税区分は課税と決められています。
よって、消費税だけは、勘定科目の選択を間違えると、勘定科目に紐づけられている課税・不課税の区分を間違えるので、納税すべき消費税が違うことになります。
以下では、会費の性質の種類ごとの勘定科目をまとめていきます。
- 同業者団体の年会費(例:税理士会・弁護士会の年会費)
- 町会費
- 商工会議所の会費
上記会費は消費税不課税になるため、諸会費という勘定科目で仕訳をすることになります。
- 懇談会や会費制のパーティーの費用
上記会費は消費税課税になり、交際費という勘定科目で仕訳をすることになります。
- セミナーなどの会費
上記会費は消費税課税になり、教育訓練費という勘定科目で仕訳をすることになります。
- クレジットカードの年会費
上記会費は消費税課税になり、支払手数料/span>という勘定科目で仕訳をすることになります。
- フィットネスクラブの月会費
上記会費は消費税課税になり、福利厚生費という勘定科目で仕訳をすることになります。
会費の仕訳について
最後に会費の仕訳を確認しておきましょう。
仕訳を行うのは、会費の支払日になります。
借方
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金額
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貸方
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金額
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諸会費
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5万円
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普通預金
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5万円
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なお、期末日には注意が必要で、今年度分の会費なのに、未払いになっている会費を追加で仕訳しなければなりません(期末日の日付で仕訳をします)。
具体的には、会則や規約の月会費の条項をもとに、期末日の翌月(例:3月決算ならば4月)支払いで、当月の会費であるものを探して追加で仕訳を計上してください。
借方
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金額
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貸方
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金額
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---|---|---|---|
諸会費
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10万円
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未払費用
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10万円
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