【この記事の対象者】
- 免税事業者の消費税の仕訳を知りたい人
- 課税事業者(税込経理方式)の消費税の仕訳を知りたい人
- 課税事業者(税抜経理方式)の消費税の仕訳を知りたい人
消費税の免税事業者とは
消費税は、2年前の課税売上高が1,000万円以下の事業者の納税義務を免除しています。
これは、個人事業主であっても、会社であっても同じで、消費税が免除されている事業者を免税事業者と言います。
なお、消費税の納税義務が判定される2年前の事業期間が開業時期であったり、会社が決算期変更した時期であったりして、12か月間の事業期間が無い場合は、課税売上高を事業年度の月数で割った額に12をかけて計算した金額が、1,000万円以下かどうかで消費税の納税義務を判定します。
インボイス登録をすると、2年前の課税売上高が1,000万円以下かどうかに関係なく、必ず、消費税課税事業者になります。
よって、インボイス登録をすると消費税免税事業者にはなれません!
居住用の不動産の賃貸がメインで、非課税売上高が多くある場合、インボイス登録をすると不利になる場合が多いので、慎重な判断が求められます!
免税事業者の消費税の仕訳
免税事業者の経理方法は、税込経理方式になります。
つまり、売上高に関しては、消費税額も含めた全額を売上高に計上し、仕入高や経費に関しては、消費税額を含めた全額を仕入や経費科目に計上する方式を採用します。
以下の事例で、免税事業者の消費税の仕訳を確認してください。
売上が100円あり、消費税額を含めた110円が購入者より現金で支払われた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 110円 | 売上高 | 110円 |
事業用の消耗品50円分を購入し、消費税を含めて55円をお店に現金で支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 55円 | 現金 | 55円 |
消費税の課税事業者とは
2年前の課税売上高が1,000万超の事業者は、消費税の課税事業者になります。
これは、個人事業主であっても、会社であっても同様です。
課税事業者の経理方法は、税込経理方式・税抜経理方式の2つの経理方法があります。
税込経理方式は、上記の免税事業者のところで説明した通りです。
税抜経理方式とは、仕訳上、消費税部分を別に把握しようという経理方式で、売上高に関する消費税の額は、仮受消費税という勘定科目で、仕入高や経費に関する消費税の額については、仮払消費税という勘定科目で処理します。
課税事業者の消費税の仕訳
以下では、課税事業者の消費税の仕訳を、税込経理方式と税抜経理方式で分けて確認していきます。
税込経理方式の場合
消費税の課税事業者で、税込経理法方式を採用している場合、消費税の仕訳は、免税事業者の時とほとんど同じになります。
ただし、消費税の免税事業者の場合と違うのは、消費税の納税義務があるということです。
消費税の納税額は、租税公課という勘定科目で、経費に算入します。
以下の事例で、消費税課税事業者の税込経理方式の仕訳を確認してください。
売上が100円あり、消費税額を含めた110円が購入者より現金で支払われた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 110円 | 売上高 | 110円 |
事業用の消耗品50円分を購入し、消費税を含めて55円をお店に現金で支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 55円 | 現金 | 55円 |
期末に確定申告書を作成し、消費税の納税額が5円と確定した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 5円 | 未払消費税 | 5円 |
税抜経理方式の場合
1年間の仮受消費税の金額から仮払消費税の金額を控除した金額が消費税の納税額又は還付税額となります。
以下の事例で、消費税課税事業者の税抜経理方式の仕訳を確認してください。
売上が100円あり、消費税額を含めた110円が購入者より現金で支払われた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 110円 | 売上高 仮受消費税 | 100円 10円 |
事業用の消耗品50円分を購入し、消費税を含めて55円をお店に現金で支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 仮払消費税 | 50円 5円 | 現金 | 55円 |
期末に確定申告書を作成し、消費税の納税額が5円と確定した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仮受消費税 | 10円 | 仮払消費税 未払消費税 | 5円 5円 |
税込経理方式と税抜経理方式の利益の金額について
税抜経理方式の場合、消費税の確定時に租税公課は登場しません。
しかし、税込経理方式・税抜経理方式のいずれを採用したとしても、以下のように利益の金額は変わりません。
【税込経理方式】
売上110円-経費55円-租税公課5円=利益50円
【税抜経理方式】
売上100円-経費50円=利益50円
つまり、税込経理方式を採用しても、税抜経理方式を採用しても、利益の金額は同じため、消費税の納税額も変わらないという結論になります。
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