特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例が認められるのは、亡くなった人(被相続人)の残した住まいを取得した親族が居住を継続する場合に、税負担の軽減を通して、その住まいを保護するためです。

よって、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例が認められるためには、住まいを保護する必要があるかを確認するために以下の時点で要件をクリアしている必要があります

時点ごとの要件
  1. 亡くなった人(被相続人)や生計一親族の居住用宅地であったかどうか(相続開始前)
  2. 宅地を取得した親族は誰か(相続時)
  3. 相続税の申告期限までその宅地を保有し、住み続けているか(相続後)

亡くなった人(被相続人)や生計一親族の居住用宅地であったかどうか(相続開始前)

宅地とは、土地及び土地の上に存する権利のことを言います。

具体的には、土地(宅地)だけでなく、借地権や配偶者居住権に伴う敷地利用権も含まれます

なお、宅地の上に建っている建物は、宅地ではないので、小規模宅地等の特例の対象ではありません

次に宅地が居住用であったかどうかが重要になります。

仮住まいの建物や、一時的に入居しただけの建物は、生活拠点の建物と言えないため、その宅地について小規模宅地等の特例は認められません

また、被相続人が長期入院をしていて、元の住処にいなかった場合でも、入院前に住んでいた住処は小規模宅地等の特例の対象になります

宅地を取得した親族は誰か(相続時)

同居親族や配偶者がいる場合に、別居親族が宅地を取得してしまうと小規模宅地等の特例が適用できなくなってしまうため注意が必要です。

同居親族や配偶者が宅地等に居住しているのに、別居親族に小規模宅地等の特例を認めてしまうと、同居親族や配偶者を追い出して相続を行おうとする別居親族が出てきてしまう可能性があるためです。

相続税の申告期限までその宅地を保有し、住み続けているか(相続後)

相続が終了した後、相続税の申告期限(10か月)まで同居親族は居住を継続し、宅地等を保有していることが条件になります配偶者の場合は、自己の持ち物と同一視されるので継続要件・保有要件共にありません)。

つまり、相続税の申告期限までに同居親族が宅地を売却してしまった場合、小規模宅地等の特例は適用できないことになります。

なお、別居親族が宅地等を取得した場合(家なき子特例)、相続税の申告期限まで居住を継続している必要はありません

もともと、別居しているので、居住を継続自体が不可能だからです。

つまり、別居親族が自ら居住をしないで、相続後すぐに賃貸に出しても小規模宅地等の特例は認められることになります。

ただし、相続後すぐに売却してしまったら、保有要件を満たさなくなるため、小規模宅地等の特例は適用できなくなります