法人の社員や個人事業主がホテルに宿泊した場合の宿泊費(ホテル代)は経費に計上できますが、経理処理上の勘定科目は、宿泊の目的により、旅費交通費・交際費・教育研修費・福利厚生費と異なります。
また、国内のホテルに宿泊したか、海外のホテルに宿泊したかにより宿泊費の消費税区分も異なりますので注意が必要になります。
今回は、宿泊費(ホテル代)の勘定科目と消費税について確認していきましょう。
宿泊費(ホテル代)は経費に計上できる
事業の一環として利用したホテルの宿泊費(ホテル代)は経費に計上することができます。
また、宿泊費が経費に計上できる場合は、ホテルまでの交通費も経費に計上できます。
ただし、事業の一環として利用していないホテルの宿泊費は経費に計上することはできません。
個人事業主や中小の同族会社に多い事例ですが、家族旅行のために利用したホテル代を宿泊費として経費に計上していることがあります。
宿泊費(ホテル代)の領収書には、宿泊人数や大人・子供などの区分が記載されており、この区分から事業関連性がない家族旅行の判断もできてしまいます。
宿泊費(ホテル代)の勘定科目について
宿泊費(ホテル代)を経費に計上する際に使用される勘定科目は、宿泊の目的により、以下の4つに区分されます。
- 旅費交通費
- 交際費
- 教育研修費
- 福利厚生費
得意先や子会社などの事業関係先に出向くために出張した場合の宿泊費は、旅費交通費の勘定科目で経費に計上されます。
同業者団体の懇親会に出席するための出張した場合の宿泊費や取引先の接待のために利用されたホテルの宿泊費は、接待交際費の勘定科目で経費に計上されます。
研修やセミナーに参加するために出張した場合の宿泊費は、教育研修費の勘定科目で経費に計上されます。
社員旅行を目的にした宿泊費は、福利厚生費の勘定科目で経費に計上されます。
一見すると、旅費交通費・接待交際費・教育研修費・福利厚生費という勘定科目に違いはあれど、どの勘定科目を選択しても経費に計上されるのであまり問題ないように見えます。
しかし、例えば、中小企業の接待交際費は800万円までしか経費に計上できないなどの細かい決まりがそれぞれの勘定科目ごとにありますので、思いがけない損をしないために適切な勘定科目を選択する必要があります。
宿泊費(ホテル代)の消費税区分について
会計ソフト(弥生会計やFreeeなど)で使用する勘定科目では、あらかじめ消費税区分が決められています。
よって、会計ソフトへの入力時に正しい勘定科目を選択できれば、消費税の区分も基本的には正しくなります。
ただし、海外のホテルに宿泊した場合の宿泊費の消費税区分には注意が必要です。
海外のホテルの宿泊費の消費税区分は「不課税」取引に該当するため、日本の消費税は課税されません。
しかし、会計ソフトの旅費交通費・接待交際費・教育研修費・福利厚生費の勘定科目の消費税区分は、初期設定では、消費税「課税」取引に設定されています。
よって、海外のホテルに宿泊した場合の宿泊費については、会計ソフトで勘定科目を選択した後に、「個別で」消費税区分を「課税」取引から「不課税」取引に変更してやる必要があります。