- 課税売上高が1,000万円前後の個人事業主
- 課税売上高が1,000万円前後の会社の経営者
- 事業を始めたばかりの経営者
おさる先生!
僕も新しく個人事業主になったんだけど、消費税ってどうやって払うの?
くま君、おめでとう!
ところでなんの事業を始めたの?
うん、不動産賃貸業だよ。
投資用不動産をこれからいっぱい購入して儲けるんだ!
そうなんだ。
ところで今年はいくらぐらいの売上高がある予定なの?
うん、全部で1,200万円ぐらいの予定だよ。
投資用不動産は事務所用として賃貸している?それとも居住用として賃貸している?
居住用として賃貸しているよ。
それなら今回は消費税を払わなくてもいいかもしれないね。
居住用として不動産を賃貸している場合は消費税の納税義務はないんだ。
事務所用として不動産を賃貸していて、売上高が1,000万超ある場合は消費税を納税しないといけないんだけどね。
消費税の課税事業者は売上高で判断される
あなたの事業が消費税課税事業者か消費税免税事業者かどうかは売上高で判断されます。
売上高が1,000万円超だと個人事業主でも会社でも関係なく消費税課税事業者になり、消費税の納税義務が発生します。
売上高で判断されるため、たとえ赤字でも消費税は払わなくてはなりません。
売上高が1,000万円を超えて、消費税課税事業者となる場合、速やかに、税務署に消費税課税事業者届出書を提出しなければなりません。
もっとも、売上高が1,000万円超ならば、強制的に消費税課税事業者になるため、消費税課税事業者届出書を提出しなくても手続上の不備になるだけですが、未提出の場合、思わぬ所に影響を与える恐れ(銀行融資など)があるので、忘れずに提出してください。
なお、似たような名前の書類に、消費税課税事業者「選択」届出書というものがあります。
消費税課税事業者「選択」届出書は売上高が1,000万円に届かず、消費税免税事業者であるものが、消費税課税事業者になりたい場合に税務署に提出する書類です。
消費税課税事業者「選択」届出書は提出しないと、効力を発揮せず、消費税免税事業者であるために、消費税還付事案にも関わらず還付を受けられず、大損してしまう可能性がありますので注意が必要です。
売上高は1,000万円超でも消費税が課税されない場合
消費税は売上高が1,000万円超の場合に課税されますが、実は売上高が1,000万円超でも課税されない場合があります。
非課税売上高(消費税の対象とならない売上高)があるときです。
非課税売上高の例としては、①居住用の住宅の賃貸による収入や②土地の売却の場合の収入などがあります。
消費税は、課税売上高(消費税の対象になる売上高)だけで1,000万円超ある場合のみが課税対象になります。
一般的には、課税売上高(消費税の対象になる売上高)のみが発生するため、売上高1,000万円超かどうかだけ意識すれば十分ですが、不動産賃貸業・不動産売買業を営む場合の消費税課税事業者の判定には非課税売上高があるため注意が必要です。
実際に申告・納税するのは2年後からになる
消費税課税事業者として実際に申告・納税するのは課税売上高が1,000万円超になった年の2年後からとなります。
例えば、2023年度に課税売上高が1,000万円を超えた場合には、2025年度から消費税の確定申告を行い、納税をすることになります。
もちろん、2025年度分の申告・納税額の計算は、2025年度の課税売上高と課税仕入高をもとに計算します。
つまり、2023年度は消費税の課税事業者になるかどうかを判定しただけで、実際の課税は2年後の2025年度からになります。
消費税の申告期限
消費税の申告・納税期限は以下の通りになります。
個人事業主の申告・納税期限は決算期が決まっているので固定ですが、会社(法人)の申告・納税期限は決算月(定款で定めています)によって異なることになります。
会社(法人)…その事業年度の終了後2か月以内。例:3月末決算の場合は5月末まで。
なお、初めて消費税の納税をする人向けの注意点ですが、消費税の申告書を提出したら、必ず納付手続まで行ってください。
実務上多い間違えとして、消費税の申告書だけを税務署に提出し、消費税の納税は後日、税務署から払込通知が届くと思ってしなかったというものです。
期限までに納税までしないと税務上のペナルティーを負う可能性がありますので、必ず消費税の申告をしたら、納税まであなたが主体的にしなければならないと覚えておいてください。