事務机・オフィス家具の耐用年数と勘定科目|経費か資産かを税理士が解説

家具の耐用年数

「スチール製の事務机は何年で経費にできる?」——オフィスに机・いす・キャビネットなどを買ったとき、耐用年数や勘定科目の判断に迷う個人事業主・法人は少なくありません。

判断を誤ると、その年に全額経費にできた家具を何年もかけて償却してしまったり、反対に資産計上すべきものを経費にして税務調査で指摘されたりすることもあります。

この記事では、家具を経費にできるか資産計上するか、勘定科目と耐用年数は何年かを、税理士がやさしく解説します。

目次

オフィス家具は「作り付け・オーダー・組立」の3種類で税法上の取扱いが変わる

税法上、家具は主に作り付け家具・オーダー家具・組立家具の3つに分けて考えます。

種類特徴(定義)
作り付け家具壁や床に直接固定して設置する家具
オーダー家具サイズや形を指定して作ってもらう家具
組立家具パーツで売られたものを組み立てて使う家具(IKEA・ニトリのオフィス家具など)

どれに当たるかで、経費にできるか資産計上か、資産なら勘定科目と耐用年数が変わります。

まずは種類ごとの取扱いを確認し、そのあとで耐用年数の一覧を見ていきましょう。

作り付け家具の勘定科目と耐用年数(原則は「建物」)

作り付け家具は原則として建物の一部とみなされ、勘定科目は建物になります。

耐用年数については、その家具を取り付けた既存の建物について固定資産台帳に登録されている耐用年数と同じ耐用年数で減価償却します。

例外として、賃借している建物に固定し、更新ができない契約(定期借家契約など)で、退去時に有益費や買取りの請求もできない場合は、その賃借期間を耐用年数として償却できます。

取り替えや廃棄に備え、建物の勘定科目に計上する場合でも、固定資産台帳では既存の建物本体と分けて「造作家具」などの明細で管理しておくと、廃棄時に未償却分を除却損にしやすくなります。

オーダー家具・組立家具の勘定科目と耐用年数(器具備品)

オーダー家具・組立家具の勘定科目は器具備品になります。

耐用年数は一律ではなく、その家具の種類と素材によって5年・8年・15年に分かれます。

オーダー家具・組立家具でよく使う耐用年数を早見表にまとめました(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一参照)。

種類細目(素材)耐用年数
事務机・事務いす・キャビネット主として金属製15年
事務机・事務いす・キャビネットその他(木製など)8年
応接セット接客業用5年
応接セットその他8年
その他の家具主として金属製15年
その他の家具その他(木製など)8年

耐用年数はまず種類で選び、最後に素材で決めるのが基本です。

まず、オーダー家具・組立家具が、①事務机・いす・キャビネット、②応接セット、③その他の家具のどれに当てはまるのかを判断しましょう。

そのうえで、主要部分が、①金属製か、②その他(木製など)かで最終的な耐用年数を決定します。

オフィス家具の減価償却の方法(定額法・定率法)

建物や器具備品に計上した家具は、耐用年数にわたって少しずつ経費にします(減価償却といいます)。

償却方法には定額法(毎年同じ額を経費にする方法)と定率法(最初の年ほど多く経費にできる方法)の2つがあります。

作り付け家具の減価償却(建物・定額法)

作り付け家具は建物の勘定科目で処理するため、建物の耐用年数で減価償却します。

建物の減価償却方法は個人・法人とも定額法のみです。

【設例】木造の事務所建物(耐用年数24年)に、作り付けの収納家具を取り付けたケース

  • 収納家具の取得価額:48万円
  • 固定資産台帳に記載された建物の耐用年数:24年
  • 償却方法:定額法

減価償却費の仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
減価償却費2万円建物2万円

48万円 ÷ 24年 = 2万円を、毎年の経費(減価償却費)にします。

オーダー家具・組立家具の減価償却(器具備品)

オーダー家具・組立家具は器具備品の勘定科目で処理するため、種類と素材によって選定された耐用年数で減価償却します。

なお、個人事業主は定額法、法人は定率法で計算します。

【設例】金属製の事務机セット(事務机・主として金属製=15年)を購入したケース

  • 取得価額:45万円
  • 耐用年数:15年(事務机・主として金属製)
  • 償却方法:定率法(法人の例)

減価償却費の仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
減価償却費59,850円器具備品59,850円

取得1年目は 45万円 ×償却率 0.133(耐用年数15年に対応する定率法の割合)= 59,850円です。

定率法は最初の年ほど多く、2年目以降は前年末の残高に同じ割合をかけるため、年々小さくなっていきます。

なお、定率法の償却率(耐用年数別の割合)は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第八〜十で確認できます。

10万円・20万円・40万円未満は減価償却せず早く経費にできる

取得価額が少額の家具は、耐用年数で何年もかけて償却せず、もっと早く経費にできる方法があります。

なお、ここでいう取得価額には、本体価格だけでなく運送費や設置費用などの付随費用も含めて判定します。これは作り付け・オーダー・組立のいずれの家具でも同じです。

なお、組立家具は、パーツ単位ではなく、組み立てた家具1つを単位として取得価額を判断します。

取得価額に応じて、次の3つの方法を使えます。

取得価額取扱い勘定科目・制度
10万円未満その年に全額を経費にできる消耗品費など(少額の減価償却資産)
20万円未満3年で均等に経費にできる一括償却資産
40万円未満その年に全額を経費にできる(年300万円まで)中小企業者等の少額減価償却資産の特例

40万円未満の家具は、その年に全額を経費にできる少額減価償却資産の特例があります(同じ年に使える特例の合計金額は300万円まで)。利益が多く出ている年にこの特例を使えば、その年の経費が増え、税負担を抑えられます。

ただし、この特例を使えるのは「中小企業者等(青色申告をしている資本金1億円以下の法人や個人事業主で常時使う従業員が500人以下の事業者)」に限られます。

20万円未満の家具は、3年で均等に経費にする「一括償却資産」も選べます。一括償却資産は固定資産税(償却資産税)がかからないのが利点です。

償却資産税は、対象となる資産の合計が150万円以上になるとかかります。すでに他の資産でこの150万円を超えていて、その年に全額を経費にする必要がなければ、40万円未満の特例よりも一括償却資産にしたほうが、毎年の償却資産税を抑えられて有利なことがあります。

事務机・オフィス家具の耐用年数と取扱いのまとめ

オフィス家具は、まず作り付け・オーダー・組立のどれかを確認し、取扱いと耐用年数を判断します。

迷いやすい点を整理します。

項目ポイント
作り付け家具壁・床に固定するものは建物として、既存の建物の耐用年数と同じ耐用年数で償却。
ただし、定期借家契約で、退去時に有益費や買取りの請求もできない場合は、その賃借期間を耐用年数として償却できます
オーダー・組立家具建物に固定しないものは器具備品。耐用年数は種類と素材で5年・8年・15年に分かれる
少額の家具10万円未満は全額経費、20万円未満は3年償却、40万円未満は中小特例で全額経費(年300万円まで)にできる

オフィス家具の耐用年数についてよくある質問

事務机の耐用年数は何年ですか?

スチール製など主として金属製の事務机は15年、木製などその他の事務机は8年です。

事務いすやキャビネットも同じく、金属製15年・その他8年で判定します。

作り付け家具の耐用年数は何年ですか?

壁や床に固定する作り付け家具は建物として扱うため、家具自体ではなく、取り付けた建物の耐用年数で減価償却します。

オーダー家具や組立家具の耐用年数は何年ですか?

建物に固定しないオーダー家具・組立家具は器具備品にあたり、耐用年数は家具の種類と素材によって5年・8年・15年に分かれます。

たとえば金属製の事務机は15年、木製の家具は8年、接客業用の応接セットは5年です。

安い家具でも耐用年数で何年も償却しないといけませんか?

いいえ。10万円未満なら全額その年の経費にでき、20万円未満は3年で均等償却できます。

さらに中小企業者等(青色申告をしている資本金1億円以下の法人や個人事業主で、常時使う従業員が500人以下の事業者)なら、40万円未満の家具を買った年に全額経費にできます(年300万円まで)。

出典

本記事は2026年6月時点の法令に基づきます。

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