この記事の対象者
- リフォーム費用が経費か資産かの具体例を知りたい人
- リフォーム費用が資産計上のときの勘定科目を知りたい人
不動産賃貸業を行っていると賃貸人退去時にいろいろなリフォーム作業をすることになります。
リフォーム作業が、①修繕費にあたり経費計上されるか、②資本的支出として資産計上されるか、あるいは、③新規資産の取得として資産に計上されるかは実務上非常に微妙なものが多いところです。
今回は不動産賃貸業に関わるリフォーム費用の経費計上と資産計上の例をたくさん記載していきます。
基本的なものはすべて網羅しているので、リフォーム時は該当箇所を見つけて仕訳をして下さい。
修繕費になるリフォーム作業
まずは、事業者にとって一番ありがたい修繕費になるリフォーム作業の例です。
以下の例以外でも20万円未満のリフォーム費用は全額修繕費として経費に計上できるのでそちらも覚えておきましょう。
- 賃貸用不動産の部屋の床に大きな穴が開いてしまったので床を修理した。
- 修繕費として処理することができます。
- 賃貸人の退去時に床と壁紙の現状回復工事を行った。
- 修繕費として処理することができます。
- カメラ付きインターフォンに替えた。
- 1台ずつ判断されるので、インターフォン1台で20万円以上ということは想定されませんので、修繕費として処理することができます。
- 外壁塗装を行った。
- 外壁塗装は定期的に行わないと、建物の劣化スピードが速くなります。
通常は、現状回復費用と見なされ、修繕費として処理されます。 - 屋上の防水工事を行った。
- 雨漏りのために防水工事を行った場合、通常は、修繕費として処理することができます。
- ポストの交換工事をした。
- 1室ごとに分離できるポストならば、通常は、20万円未満で購入できるでしょうから修繕費として処理することができます。
しかし、全室一括でしかポストを交換できない場合は、総額で20万円以上になるでしょうから資産に計上しなければなりません。 - 窓ガラスが割れてしまったので取り替えた。
- 原状回復なので、修繕費として処理することができます。
- ふすまが破れてしまったので取り替えた。
- 原状回復なので、修繕費として処理することができます。
- 障子が破れてしまったので取り替えた。
- ふすまと同様、現状回復なので、修繕費として処理することになります。
- 畳の表替えを行った。
- 修繕費として処理することができます。
- エレベーターのインバーターやロープを取り替えた。
- 消耗品の取替のため、原状回復にあたり、修繕費として処理することができます。
資本的支出又は新規取得として資産に計上するリフォーム費用
修理や改良が①固定資産の使用可能期間を延長させるか②価値を増加させるものである場合は資本的支出として資産に計上しなければなりません。
また、元の資産を廃棄して、新しい資産に取り替える場合は旧資産の除却処理(固定資産除却損として未償却残高を経費処理)と新規取得資産の資産計上を行わなければなりません。
- 給湯器が古くなったので交換した。
- 旧資産を除却して新規取得資産を資産計上します。
建物附属設備に該当し、15年で減価償却します。
ただし、一般的に、20万円以上する給湯器を賃貸用不動産に設置することは稀なので、修繕費として処理される方が圧倒的に多いでしょう。 - 和室を洋室にするために、畳をフローリングに変えたり、押入れをクローゼットに変える工事を行った。
- 資本的支出として資産計上されることになります。
資産の勘定科目としては建物勘定になるでしょう。 - 鳩避けネットを取り付けた。
- 新しく取り付けたのなら新規資産の取得になるので資産勘定で処理することになります。
取り外せるのなら工具器具備品でしょうし、土地に付着しているのなら構築物でしょう。 - 駐車場を石砂利からアスファルトに変更した。
- 資本的支出として資産計上することになります。
勘定科目としては構築物になるでしょう。 - 自転車置場を設置した。
- 新設の場合は新規資産の取得なので資産勘定で処理することになります。
勘定科目としては構築物でしょう。 - コインランドリーを設置した。
- 新設の場合は新規資産の取得なので資産勘定で処理することになります。
勘定科目としては構築物でしょう。 - ユニットバスを導入した。
- 資本的支出となり全額建物勘定で処理されることになります。
- システムキッチンを導入した。
- 資本的支出となり全額建物勘定で処理されることになります。
- 部屋の間取りを2DKから1LDKに変更した。
- 資本的支出となり資産計上する必要があるでしょう。
勘定科目は建物勘定になるでしょう。