確定申告の金額を間違えても、気づいたタイミングに合った手続きをすれば、大きな問題にはなりません。
とくに個人事業主やフリーランスの方は、毎年の確定申告でうっかりミスが起こりがちです。
本記事では、確定申告を間違えたときの対処法を修正申告・更正の請求・期限後申告の3つに整理し、税理士がやさしく解説します。
加算税や延滞税の税率、負担を最小限に抑えるコツまで具体例つきで紹介します。
確定申告を間違えたら、まず「気づいたタイミング」を確認しましょう
確定申告の間違いは、気づいたタイミングと「追加で納めるのか・払いすぎが戻るのか」で取るべき手続きが決まります。
あわてて放置するのが一番よくありません。
大きく分けると次の4パターンです。
①申告期限内に気づいたなら訂正して出し直す「訂正申告」、②期限後に税金を納め足りなかったと気づいたら「修正申告」、③期限後に税金を納めすぎていたなら「更正の請求」、④そもそも申告を忘れていたなら「期限後申告」で対応します。
名前が似ていて混同しやすいのが「訂正申告」と「修正申告」です。申告期限内のやり直しが訂正申告、期限後のやり直しが修正申告で、期限の前か後かで呼び方も手続きも変わります。
まずは4つの手続きの違いを表で全体像をつかみましょう。
訂正申告・修正申告・更正の請求・期限後申告の違い【比較表】
4つの手続きは「いつ気づいたか」と「不足を納めるのか・払いすぎが戻るのか」で明確に使い分けます。
下の表で自分のケースを探してください。
| 手続き | どんなとき | 期限 | ペナルティ |
|---|---|---|---|
| 訂正申告 | 申告期限内に間違いに気づいた | 申告期限(原則3月15日)まで | なし |
| 修正申告 | 期限後・税金が不足していた(納め足りない) | 早いほどよい(時効は原則5年) | 過少申告加算税+延滞税 |
| 更正の請求 | 期限後・税金を納めすぎていた(戻る) | 法定申告期限から5年以内 | なし(税金が戻る) |
| 期限後申告 | 申告そのものを忘れていた | 早いほどよい | 無申告加算税+延滞税 |
ここからは、実務で特に相談の多い修正申告から順に手続きを見ていきます。
税額が少なすぎたときは「修正申告」で直す
納める税金が少なすぎたときは、修正申告書を提出して正しい税額に直します。
ポイントは早さです。
税務署の調査の事前通知が来る前に自分から修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。
事前通知の後だと新たに納める税金の5%(一定額を超える部分は10%)、調査を受けた後だと10%(同15%)が上乗せされます。
どの収入・経費が漏れていたかを特定し、正しい所得税額を計算し直します。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って金額を入れるだけで修正申告書が作れます。
e-Taxまたは郵送・窓口で提出します。
修正申告書を提出した日が納期限です。
その日のうちに不足分を納め、延滞税も併せて納付します。
修正申告では、修正申告書を提出した日が納期限です。納付が遅れるとその日数分だけ延滞税が増えるため、提出と納付はできるだけ同時に行いましょう。
逆に、税金を多く払いすぎていた場合は更正の請求で取り戻せます。
税額が多すぎたときは「更正の請求」で取り戻す(5年以内)
税金を多く払いすぎていたときは、法定申告期限から5年以内なら「更正の請求」で還付を受けられます。
更正の請求書を税務署に提出し、税務署が「納め過ぎがある」と認めると減額更正が行われ、払いすぎた税金が戻ります。
請求できる期間は原則として法定申告期限から5年以内です。
ただし、所得や控除を直しても最終的な税額が変わらない場合は更正の請求はできません。
減価償却費や修繕費の計上漏れで所得を多く申告していた、というのは不動産所得でよくある例です。払いすぎていれば、5年以内なら更正の請求で取り戻せます。
そもそも申告自体を忘れていた場合は、期限後申告で対応します。
申告そのものを忘れていたときは「期限後申告」
確定申告を忘れていたときは、できるだけ早く期限後申告をすれば無申告加算税を軽くできます。
調査の事前通知の前に自主的に申告すれば無申告加算税は5%で済みます。
令和5年分以降は、調査後だと50万円までは15%、50万円超300万円までは20%、300万円を超える部分は30%と段階的に重くなります。
法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、税金の全額を法定納期限までに納め、かつ過去5年間に無申告加算税などを受けていなければ、無申告加算税はかかりません。
間違いを放置するとどんなペナルティが上乗せされるのか、税率を具体的に見ていきます。
間違いに上乗せされる「加算税」の種類と税率
確定申告の間違いには、内容に応じて過少申告・無申告・重加算税のいずれかが上乗せされます。
- 過少申告加算税
-
税額を少なく申告したときの加算税です。
自主的な修正なら0%、調査通知後は5%(一定額超で10%)、調査後は10%(同15%)です。
- 無申告加算税
-
申告そのものをしなかったときの加算税です。
自主申告なら5%。令和5年分以降は調査後で50万円まで15%、300万円超は30%と重くなります。
- 重加算税
-
売上を隠す・書類を偽るなど悪質な場合の最も重い加算税です。
過少申告に代えて35%、無申告に代えて40%が課されます。
過去5年以内に無申告加算税・重加算税を受けていると、税率がさらに10%上乗せされます。無申告での重加算税なら最大50%に達します。
加算税に加えて、納付が遅れた日数分の延滞税もかかります。
なお、ここで紹介した加算税・延滞税は国税通則法の共通ルールで、法人税の申告でも基本的な仕組みは同じです。
延滞税の仕組みと計算例(2026年の税率)
延滞税は、本来の納期限の翌日から実際に納めた日までの日数に応じてかかる、利息のような税金です。
2026年(令和8年)の税率は、納期限の翌日から2か月以内は年2.8%、2か月を超えると年9.1%です。
延滞税は本税にのみかかり、加算税には課されません。
本税50万円を、納期限の翌日から90日後に納めたケースで計算してみましょう。
延滞税は納期限の翌日から2か月までとそれ以降で率が変わるため、期間を2つに分けて計算します。
| 期間 | 日数 | 年率(2026年) | 延滞税 |
|---|---|---|---|
| 納期限の翌日〜2か月 | 60日 | 2.8% | 約2,301円 |
| 2か月経過後〜納付日 | 30日 | 9.1% | 約3,740円 |
| 合計 | 90日 | — | 約6,041円 →(百円未満切捨て)約6,000円 |
延滞税は日割りで増え、納期限から2か月を境に率が上がります。間違いに気づいたら、早く申告して早く納めることが一番の節約になります。
では、これらのペナルティを最小限に抑えるコツを整理します。
ペナルティを最小限に抑える3つのポイント
ペナルティを抑えるポイントは、①早めの自主申告・②早めの納付・③隠さないことの3つです。
とくに税務調査の通知が来る前に、自分から動くことが最も効果的です。
事前通知の前なら過少申告加算税は0%、無申告加算税も5%に抑えられます。
延滞税は日割りで、納期限から2か月を超えると率が上がります。
売上隠しなど悪質と判断されると重加算税35〜50%という重い負担になります。
最後に要点を振り返ります。
まとめ:間違いに気づいたら、早めの自主対応が一番の節約
確定申告の間違いは、気づいたタイミングで正しい手続きを選び、早く自主的に動くほどペナルティを抑えられます。
- 申告期限内に気づいた → 訂正申告(ペナルティなし)
- 税額が少なすぎた → 修正申告(自主申告なら過少申告加算税0%)
- 税額が多すぎた → 更正の請求(法定申告期限から5年以内)
- 申告を忘れていた → 期限後申告(早いほど無申告加算税が軽い)
- 確定申告の間違いは何年前まで直せますか?
-
更正の請求(払いすぎを取り戻す手続き)は法定申告期限から原則5年以内です。
修正申告に明確な提出期限はありませんが、税金の時効(原則5年、不正があると7年)まで対応が必要です。
- 修正申告すると必ず加算税がかかりますか?
-
税務署の調査の事前通知が来る前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。
ただし、納付が遅れた日数分の延滞税は別途かかります。
- 少額の払いすぎでも更正の請求はできますか?
-
払いすぎた税金があれば金額にかかわらず請求できます。
ただし、所得や控除を直しても最終的な税額が変わらない場合は更正の請求はできません。
- 不動産所得の経費の計上漏れに後から気づいたら?
-
減価償却費や修繕費の計上漏れで税金を多く払っていた場合は、法定申告期限から5年以内なら更正の請求で取り戻せます。


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