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個人事業主が賃貸用不動産を売却する時の所得税の計算方法と注意点

2026 6/05
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不動産の税金 節税
2017年3月16日2026年6月5日
個人事業主が賃貸用不動産を売却する時の所得税の計算方法と注意点
くま君

おさる先生!
賃貸用不動産の売却を考えてるんだけど、税金はどんな感じになるのかな?

おさる先生

くま君は、会社ではなく、個人で不動産賃貸業を営んでいたよね?

くま君

うん、個人で不動産賃貸業を営んでいるよ。

おさる先生

不動産賃貸業を営んでいる個人事業主が、賃貸用不動産を売却する場合、所得税法上は、不動産所得ではなく、「譲渡所得」という区分になるんだ。
譲渡所得は、「分離課税」が行われるので、不動産所得とは合算して計算できないんだ。

くま君

どういうこと?

おさる先生

賃貸用不動産を売却して利益が出た場合、その発生した利益「単体」で税金の計算がされるんだ。
反対に、賃貸用不動産を売却して損失が出た場合、その損失は、不動産所得の利益と相殺することはできないんだ。

くま君

つまり、利益が出たときは税金を払わなくてはならないのに、損失が出たら救済されないということだね。

おさる先生

そういうことだね。
不動産賃貸業を営んでいる個人事業主の場合は、賃貸用不動産売却という「単体の行為のみ」で税金が判断されてしまうんだ。
注意が必要だね。

くま君

そうなんだね…

おさる先生

それと、くま君は、今度売却する賃貸用不動産を所有してから何年になるの?

くま君

8年だよ。

おさる先生

それなら長期譲渡所得になるから良かったね。

くま君

長期譲渡所得?

おさる先生

うん、個人事業主が不動産を5年超所有していると、課税される所得税率が低くなるんだ。
不動産の所有期間が5年以下だと「短期譲渡所得」と呼ばれて、利益に対して所得税率は39%なんだけど、5年超だと「長期譲渡所得」と呼ばれて利益に対して所得税率は20%になるんだ。

くま君

不動産を5年超所有すると、所得税率は半分になるんだね。

目次

不動産賃貸業を営む個人事業主が賃貸用不動産を売却する時の税金

不動産賃貸業を営む個人事業主が、賃貸用不動産を売却した時に発生する税金は、所得税・住民税の譲渡所得という区分に該当します。

不動産賃貸業で得られる家賃に対する税金は、所得税・住民税の不動産所得に該当し、給与所得や事業所得などと合算して計算することができました(これを総合課税と言います)。

しかし、譲渡所得は、総合課税にはならず、単独で所得税・住民税の計算を行うことになります(これを分離課税といいます)。

譲渡所得の税額の計算方法について

譲渡所得も所得税・住民税の内訳の1つなので、1月1日~12月31日の期間で区切られ、翌年3月15日までに所得税の確定申告することになります。

なお、基本的に、所得税の確定申告をすれば、住民税の確定申告をする必要はありません。

譲渡所得の税額の計算方法は以下のようになります。

譲渡所得=売却金額-(帳簿価額+譲渡費用)
譲渡所得税額=譲渡所得×税率

売却金額

売却金額とは、不動産を売却した値段+固定資産税の日割りの清算金となります。

帳簿価額

帳簿価額とは、不動産の購入価額―減価償却累計額(毎年の減価償却費の合計値)となります。

なお、土地の場合は減価償却はないので、帳簿価額=取得価額になります。

譲渡費用

譲渡費用は、立退料、抵当権の抹消登記費用、仲介手数料などが該当します。

なお、譲渡費用は、不動産売却のために直接要した費用や譲渡価額を増加させるために支出した費用のことです。

不動産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれないので注意が必要です。

例えば、不動産を売却するためのゴミ捨て費用、修繕費、固定資産税などは譲渡費用には含まれず、不動産所得の必要経費になる可能性が高いのでご注意ください。

税率

譲渡所得の税率は、不動産の保有期間の長短で変わってきます。

不動産の保有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得になり、39%(所得税率30%、住民税率9%)の税率になります。

不動産の保有期間が5年超の場合は、長期譲渡所得になり、20%(所得税率15%、住民税率5%)の税率になります。

なお、2011年の東日本大震災の影響で2037年まで、復興特別所得税2.1%が別途所得税率に加算されますので、短期譲渡所得、長期譲渡所得ともに少しだけ上記の税率より高くなっています。

譲渡所得がプラスで賃貸用不動産を売却するなら5年間待とう!

譲渡所得がプラスの場合は、譲渡所得税がかかることになります。

個人事業主が賃貸用不動産を売却する場合の譲渡所得に対する税率は、保有期間が5年超かどうかで19%も違います(短期譲渡所得39%:長期譲渡所得20%)。

よって、譲渡所得がプラスで賃貸用不動産を売却する場合、保有期間が5年超になってから売却した方がよいです。

ただし、保有期間5年超について、非常に重要な注意点が1つだけあります。

所得税法上の保有期間の計算の終点は譲渡のあった年の1月1日時点であるということです。

事例で確認した方が分かり易いので、以下の例題で確認してみてください。

不動産の購入日と売却日が以下の場合に、税法上の長期譲渡所得に該当するか判定してください。
・購入日:×1年2月28日
・売却日:×6年5月31日

【解答】
長期譲渡所得には該当しません。

【解説】
×1年2月28日~×6年5月31日までの実質的な保有期間は5年3か月です。
しかし、所得税法上の譲渡所得の長短分類の判定では、×6年1月1日までしか保有したことになりませんので、×1年2月28日~×6年1月1日までの4年10か月が保有期間となってしまいます。
よって、所得税法上の譲渡所得の長短分類の判定上は、5年超保有していないので、長期譲渡所得には該当しません。

上記の例題でも分かる通り、実質的には5年超の保有期間があっても、所得税法上は、5年以下の保有期間にされてしまうことがあります。

実質的な所有期間が5年ぎりぎりだと、長期譲渡所得にしたつもりが短期譲渡所得として扱われ、税率が19%も違うということになりかねませんので注意しましょう。

譲渡所得がマイナスの場合

譲渡所得がマイナスの場合は、不動産所得や給与所得と相殺できずに切り捨てられることになります。

難しい言い方をすると、分離課税のため、総合課税とは損益通算できないということになります。

また、譲渡所得がマイナスの場合に、マイナス分を翌年まで繰り越すというような繰越制度もないです。

つまり、譲渡所得がマイナスの場合には、そのまま終了で、他の所得に影響を及ぼして、税額を減らすことができないという非常に厳しい税制になっています。

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