資本金5,000万円以下、従業員数が50名以下の法人(会社)の場合、中小企業倒産防止共済(以下、経営セーフティ共済)に加入することにより節税対策を行うことが出来ます。
今回は、①経営セーフティ共済の概要、②加入するメリット、③加入対象者、④加入方法、⑤加入後の注意点を確認していきましょう。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の概要
経営セーフティ共済とは、政府が全額出資している「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営している共済制度です。
主なサービスとして、取引先が倒産した場合に、加入者は無担保・無保証人で、掛金の10倍までの借入れができます。
経営セーフティ共済に加入するメリット
節税対策として経営セーフティ共済を考えると、以下の3点のメリットがあります。
- 掛金の全額(最大240万円/年)が損金(経費)になる※
- 納付月額が40カ月以上になれば、解約の場合でも、これまで支払った掛金全額が返金される
- 期末日間際(最悪、期末日1.5か月前程度)でも受け付けができ、支払い部分(最大240万円/年)は損金(経費)にできる
※ちなみに、経営セーフティ共済に期首に加入して、途中までは月次で掛金を支払い、期末日間際に翌年度分を一括で掛金前納すれば、加入初年度は20万円×12か月分+翌年度1年分(240万円)で480万円まで損金(経費)に算入できます。
加入対象者
1年以上事業を行っている中小企業であれば加入することが出来ます。
具体的には、以下の2つのうちいずれかを満たしていれば加入することが出来ます。
- 資本金の額が5,000万円以下
- 従業員数50名以下
加入方法
代理店を通して経営セーフティ共済は加入することが出来ます。
主な代理店には、①銀行と②税理士事務所があります。
融資を受けている銀行があれば、そこで加入手続きも出来ますし、税理士に顧問業務をお願いしていればそこでも加入手続きが出来ます。
加入後の注意点
経営セーフティ共済の加入後の注意点は以下の3つです。
消費税の節税対策にはならない
経営セーフティ共済の掛け金の消費税の取り扱いは非課税となります。
簡単に言うと、消費税の支払いには経営セーフティ共済の掛金は関係しないということです。
つまり、法人税法上は、経営セーフティ共済の掛金は最大で240万円/年を損金(経費)にできるので、70万円程度(240万円×税率約30%)、法人税・住民税・事業税の節税に繋がります。
しかし、消費税が240万円×10%(消費税率)=24万円の節税に繋がるかというと全く関係しないということです。
解約時期を考えて加入しよう
経営セーフティ共済は40カ月以上加入しないと多少の元本割れを起こしますので、解約時期は加入後40カ月以上経過してからになります。
また、解約時に解約返戻金は益金(収入)になります。
つまり、解約の時期に損金(経費)を増やさないと、掛金拠出時に節税していた税金分見合いの納税が求められることになります。
よって、出口戦略が非常に重要になります。
幸い、経営セーフティ共済の解約は法人(会社)側で時期が決められるので、退職金の支払いや大きな修繕費を計上する時にぶつけて解約することができます。
目先の節税対策のため経営セーフティ共済に加入すると、単純に税金を支払う時期を繰り延べただけになる可能性があるため注意が必要です。
掛け金を支払えばお金は無くなる!
当然ですが、経営セーフティ共済の掛金を毎年払い続けることになるので、その分法人(会社)のお金が減ります。
解約の段階まで掛金支払の総額は留保されてしまうので、黒字でも資金繰りが苦しい法人(会社)の場合は、ある程度余裕を持った掛金額にすることをお勧めしています。
最後に
最後の注意点では、結構厳しめのことを書きましたが、経営セーフティ共済は節税面で見ても、法人(会社)が加入するメリットは非常に大きいです。
ただし、銀行で融資を受けていなかったり、税理士事務所に顧問契約を依頼していない場合、窓口が限定されていることも事実です。
当会計事務所でも、経営セーフティ共済の加入の受付をしていますので、よかったら以下の詳細ページよりご連絡頂けると幸いです。
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